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あの怖い人達は?

小さい子供は、何故か、良く誰かにぶつかりますよね。

 俺達は、アスカロカを出発して次の町に向かっている。

 一応、出発する際に、領主館に挨拶しに行ったのだが、次女のユリシズ(7才)に「行かないで!」と、ガン泣きされたが、何とか、母親である男爵夫人が収めてくれたから良かった。

 ラーキ男爵からお礼をと言って来たが、冒険者としてギルドからの依頼を受けた形になっているからと断った。


 さて、太裳から貰った服だが、流石は「服」と言っているだけあって、着心地も良いし、防御力も馬鹿げていた。

 だって、最終的には俺の通常の魔法の付与とか、身体強化の状態で、激しく動いても服には糸のほつれ1つとして無かった。

 そして、謝罪すれば許してまた作ってくれるだろうと思って、振るった俺の全力の一刀すら弾いた。

 また、俺の雷撃槍(ライトニングランス)や、白炎爆裂(ホワイトバースト)すら、服にはシミの1つも付かなかった。

 更に、そんな馬鹿げた防御力の上に高い状態異常耐性付きな訳だから良いよな。

 俺の心配事がかなり減ったよ。


 そんな訳で、馬車でのんびり旅をしていると、不意に馬車が停まり、御者に偽装していたスズカから、対応を求められた。


「レキウス様。」

「どうした、スズカ。」

「はい。前方に馬車が停まっており立ち往生しているのですが、如何いたしましょうか?」

「分かった。スズカは此処で待機していてくれ。」

「畏まりました。」


 このスズカは、「鈴鹿御前」で、御者を誰がやるかで話している最中に、試しに召喚したら喚べた。

 前世の家には、その手の文献(資料としてなのでコピー本)が有るから暇潰しに読んでいたのが役立った。

 何故、女性型かというと、周りも野郎よりかは美女の方が甘い対応になるし、盗賊ホイホイのエンカウント率が上がるからの理由でこうなった。

 それに、前世での彼女の逸話からか結構優秀なんだ。


 俺達は、その立ち往生している馬車の方に行ってみた。


「どうされました?」

「……馬車の車軸が壊れてしまって。」


 話を聞くと、5人家族の家名が「ガランスタ」で、父親ジェフ、母親ナリン、長男ジャス、長女カリン、次女アリンで、子供の上2人が冒険者として稼ぎ、地元の村から引っ越し、俺達の目的地の町「アラベスタ」に向かう途中で馬車の車軸が壊れてしまったらしい。


 話し合いの結果、依頼という形になり、馬車と荷物は俺のマジックバックに収納して一緒に行く事になった。

 報酬は、銀貨5枚とお勧めの宿屋と旨い飯屋の情報だ。


 この家族は農業と畜産で生活していたが、村での生活に限界を感じて、村を出る事にしたらしい。


 そして、箱馬車の上では、俺達と兄妹(きょうだい)の会話を楽しみながら、目的地の町「アラベスタ」を目指した。


 午後2時頃に、目的地の町「アラベスタ」に到着した俺達は、そのままお勧めの宿屋に向かった。

 向かった宿屋は、大通りを1つ入った所にあり、馬車が通っても余裕のある道幅で、綺麗な宿屋だ。

 しかも、馬車を預ける場所まである。

 とりあえず、外見は合格だ。


「此処が私達のお勧めの宿屋『飛竜の微睡(まどろ)み亭』です。

 序でに言えば、私達が今日から開く私達の宿屋でもあります。」

「……あははははは。良いな、その次に活かす姿勢は。

 それなら、今日の宿屋は此処にするよ。」

「ありがとうございます。料理には自信がございますので、期待しててください。」

「分かった。それじゃあ、馬車をお願いします。」

「畏まりました。それでは、当宿屋最初のお客様の名前をこの台帳に記入してください。」


 その後、父親のジェフは夕食の買い出しに、母親のナリンは俺達の泊まる部屋(スィートルーム)の準備を、長男のジャスは開店の準備を、長女のカリンは家族の荷物の整理を、次女のアリンは俺達と一緒に町を散策しながら、車軸が壊れた馬車の修理をして貰う為に馬車屋に向かった。

 因みにアリンの馬車は、これから向かう馬車屋で購入したから、修理依頼はアリンでも大丈夫らしい。


 用事が済んだ俺達は、夕食までの時間潰しで町を散策するのだが、楽しくて前を見ていなかったアリンは、見事に町のチンピラとぶつかった。


「痛ぇな。」

「ごめんなさい!」

「ぶつかった所の骨が折れたじゃねぇか!」

「こりゃあ、治療費を貰わないといけないなぁ。」


 ……はぁ。

 この手の「たかり」は異世界ですら共通なのか?


 俺は舌先三寸でチンピラを路地裏に連れ込み、これからこの町で生きていくアリン家族の為に、チンピラの心を完全に折った。

 プロでも無い限り、再起不能から完全回復、また再起不能から完全回復を繰り返せば、チンピラ程度なら簡単に大人しくなる。


「あの怖い人達は?」

「俺達からも、あの人達に『ごめんなさい』と言ったら許してくれたよ。後、アリン。きちんと前を向いて歩こうな。」

「はい! ありがとうございます!」


 そして、俺達は町の散策を終わらせ宿屋に帰ると、ちょうど夕食が出来て、自慢するだけあって旨い料理に舌鼓を打ち、父親ジェフと長男ジャスが厨房を担当して、母親ナリンが厨房とホールのサポートを、長女カリンと次女アリンがホールを担当して、この家族を応援していた人達が集まり繁盛していた。


 そして、俺達が泊まる部屋には、お風呂とトイレが完備してあった。

 町の散策中にアリンから聞いたが、部屋にはシャワーとトイレ付きで、お風呂付きは俺達が泊まる部屋ともう1つの同階のスィートルームだけらしい。


 翌日、朝食を頂いたがこれも旨く、3泊する事にした。


「払うわ。幾らかしら?」



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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