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ごきげんよう。

ヒロインは大変だ。

 冒険者ギルドでの模擬戦の後、短いが1時間の自由時間になった。

 そんな訳で、冒険者ギルドから出ようとすると、声を掛けられた。


「まさか、本当にお前みたいなガキが竜勇者(ドラグブレイヴァー)だとはな。」

「納得したか?」

「ああ。最低でも子守りは要らんみたいだしな。」


 この後、普通に別れて俺達は軽く食事をした。

 今回のスタンピードは、スタンピードと呼べるギリギリの規模で、正直、ゴブリンだけなら、この町の戦力を全て使えば対処出来たが、そこに加えてオークとオーガだ。

 特に、オークの数が厄介な為に近辺に応援要請を出した、と領主のラーキさんが移動中の馬車の中で言っていた。


 平均的なDランク冒険者パーティー4人組が、オーク1匹を倒せば、周りから拍手が起きるレベルだ。



 そして、いよいよ、スタンピードが始まったみたいだが、ヒナもリンも落ち着いている。

 まあ、緊急時は俺が本気出せば良いしな。

 ……本気出した後の有名税は、怖い気がする。


 ギルドマスターの説明と鼓舞が終わり、振り分けられた。

 ……と、言っても、ゴブリンは地元の冒険者が対処して、ゴブリン以外が来たら、応援組の冒険者が対応する、というシンプルな内容だ。

 町の衛兵は5つに分けられ、東西南北の門を守り、残りが町の見廻りをしている。


 西から火球(ファイヤーボール)が打ち上げられた。

 コレは開戦の合図だ。


 俺達はというと、少し遠回りをして、オーガを討伐する為に向かっている。

 ゴブリンとオークの戦闘で疲労した所をオーガとの戦闘は危険な為に、ドラゴンもを倒す戦力を持つ俺達がオーガを担当する事になった訳だ。

 それに、オーガ以上が潜んでいる可能性もあるしな。


 そして、俺達はスタンピードの最奥のオーガが居る場所を発見した。

 周りを魔力探知等で調べたが、誰かが潜んでいる可能性は低いだろうと思う。


「どうする?」

「私なら大丈夫だから、レキはリンのサポートをお願いしたいけど良いかな?」

「リンはどうする?」

「はい。私もそれで良いです。」

「分かった。」


 それから、俺達は行動開始した。


 俺は、適当にタンクみたいな事をしながら、リンに助言したり、魔法で援護しながら、リンのサポートをした。

 因みにヒナは、見事にオーガの馬鹿げた腕力を躱したり流したりしながら、戦っている。

 まるで、アニメやゲームの宣伝用に洗練されたバトルシーンを見ているかの様な「美麗」な戦いを繰り広げている。


 ちょっと時間は掛かったが、ヒナもリンも怪我らしい怪我を負う事もなく、ヒナが10匹、俺が2匹、リンが6匹討伐した。


 オーガを俺の異空間収納に仕舞うと同時に、いきなり如何にもな黒服の男が現れた。


「おや、作戦は失敗に終わったみたいですね。」

「誰だ! ……って答える訳が無いか。」

「勘が良いのは好ましいですねぇ。ですから、逃げる為の時間稼ぎは、即死は止めておきましょう。」

「え!?」

「あっ……」


 黒服がそう言った瞬間、ヒナの腹に向こう側が見える穴が開いた。


「ヒナ!!!」

「ごきげんよう。」


 俺は、消えた黒服を無視して、直ぐにヒナを復元再生(フルリバース)で治した。


「レキ、ごめんなさい。」

「気にしなくて良い。」


 ヒナへの治療が間に合って安心するも、黒服の置き土産かは分からないが、俺の魔力探知の範囲内に居なかったモンスターが俺達の方へ向かって来ていた。


「リン。ヒナを見ていてくれ。」

「……分かりました。レキウス様は?」

「こっちに近付いているモンスターが居る。」

「それなら、私が行った方が……」

「いや、俺が行く。」


 俺の空気が変わった事を察したリンは、冒険者仲間から、奴隷であり従者としての態度になった。


「……畏まりました、レキウス様。」

「ヤエも、此処で2人を守っていてくれ。」

(分かりました、主様(ぬしさま)。)


 そして、俺達の前に現れたモンスターは、ミノタウロスの上位種の「ミノス」で、しかも、その「亜種」の「ブラックミノス」だった。

 一夜で王都が滅びると言われている。

 ……しかも、亜種とはな。


 ちょうど良い。

 俺の反省と憂さ晴らしに付き合って貰うぞ!


「リン、ヤエ。ヒナを頼む。」

「畏まりました。」

(任せて!)


 そして、俺はブラックミノスと戦った。

 俺は、わざと拳からの攻撃を受けた。


「レキウス様!」

(主様(ぬしさま)!)


 これは、俺の傲慢から来る油断からヒナに瀕死の重症を負わせた俺への罰だ。

 その後も、武器攻撃は避け、拳からの攻撃を受けていると、ブラックミノスは、手に持っていた大斧を放り投げて拳だけで攻撃を始めた。

 一応は身体強化してあるから、攻撃を受けても致命傷にもならないしあまりダメージも受けていないが、攻撃を受ける事に意味がある。

 俺は慢心や傲慢からヒナに瀕死の重症を負わせた。

 そんな事、俺自身が許さない。

 だから、コレは「(みそぎ)」だ。

 中学の時の、あの気持ちを忘れてはならない。

 気持ち的にはまだまだ受けたいが、今の俺が背負った責任を放棄する訳にもいかない。

 そろそろ、ヒナも心配するだろうし終わりにしよう。


 ……そして、俺の八つ当たりの獲物になって貰うぞ!


 俺は、ブラックミノスに深いボディブローを喰らわして足を止めた所で、距離を開け準備を始める。



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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