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こうなったレキは、誰の話も聞かないんだから。

メインストーリーがちょっと動きます。


今年も、今日で最後です。

読んでくださった方々、応援してくださった方々、ありがとうございます。

来年もよろしくお願いいたします。

 簡単に言うと、種も仕掛けもなく空中に浮かぶ紫色に光るオーブだか、見た瞬間に自分でも信じられない程の戦慄を覚えて、俺は、そのオーブを刀の居合で破壊した。


「レキ、どうして?」

「……俺も分からない。」

「分かったわ。オーブの事は諦めましょう。」

「レキウス様、それよりも……」

「ああ。」


 オーブが有った場所には、白骨の方が近い「ミイラ」が10体転がっていた。

 更に、その奥には何らかの書物が無造作に置かれていた。

 その書物を拾って内容を確めると、「召喚術」に関する事が書かれていた。

 しかも、かなり詳しく書かれている上に、「高位の存在」を召喚する為の方法まで書かれていた。


 ……どうやら隣国は、この「高位の存在」を召喚して俺達の国に侵略させて、最終的には支配を目論んでいたのだろうなぁ。

 しかし、何らかの不具合が起きたか、術者の力量不足からの召喚したモンスターの暴走が始まったと考えられる。


 ふ~ん。

 なるほどな。

 しかし、そうなると、ここの式が不安定になるな。

 それなら、ここの式をこうすれば……

 後、ここをこっちに繋げれば、より魔力の通りが良くなるな。

 それに……


「レキ!」

「……ヒナ?」

「どうしたの、急に黙って読み更けて。」

「悪い。何故か、この召喚術の改良するべき所が、どんどん頭に浮かんだんだ。」

「それでどうなの?」


 ヒナの言いたい事を理解した俺は答えた。


「そうだな。この世界の召喚術は、基本的な知識を授業で教わっただけだから、断言は出来ないけど、この書物に書かれている内容は、充分に国宝級だと思うよ。」

「……つまり、このミイラは何処かの他国から来た、国王かそれに近い人から命令を受けた人達と言う訳ね。」

「可能性は否定出来ないな。」

彼女達(・・・)にお願いして、アリウス殿下とライロード公爵と、レイロード辺境伯様には伝えた方が良いわね。」

「そうだな。」


 王都に帰ったら、彼女達に直接届ける様にお願いしないといけないな。

 ……それにしても凄いな。

 この召喚術は、魔法陣に注ぐ魔力次第でかなり高位の存在さえ召喚出来る上に、必要な代償が召喚者の魔力だけ、というのが本当に凄いな。

 ……ちょっとやってみたいな。


「レキ。読むのは後にして。」

「分かった。」


 後片付けが済んだら、ちょっと試してみるか。


「レキ、終わったから帰ろう。」

「ああ。皆、ちょっと待って欲しいんだ。」

「どうしたの、レキ。」

「この書物の召喚術を少し試してみたいだ。」

「……大丈夫?」

「危険は無い……と思う。」

「思う?」

「……いや、俺ならミイラになった人達よりかは魔力は有るし、ハクガ達が居るから心配も無いよ。」

「……はぁ。仕方ないわね。こうなったレキは、誰の話も聞かないんだから。」

「あははは。それじゃあ、洞窟から出て試してみよう。」


 こうして、俺達は洞窟の外に出て召喚術を試してみる事にした。

 念の為に、クロードには多重複合結界を張って貰い、セイルとシュナには臨戦態勢を取って貰い、ハクガにはヒナとリンの護りをお願いした。


 書物に書かれた召喚に必要な魔法陣だが、俺は改良したヤツを地面に書き、周りの承諾を得て、俺は召喚術を発動した。


 ……凄い!

 どんどん魔力を吸われていく。

 俺は面白いと感じて更に魔力を注いでいった。


「レキヤ!」


 俺はクロードの声に振り向くと、クロードは多重複合結界に追加の結界を張っていた。


 俺は目を疑った。

 天照とかの三貴子(ミハシラノウズノミコ)程では無いものの、四方将神は上位の神々だ!

 そして、クロード、いや、玄武は「守護」の象徴だ。

 その玄武が、結界を追加(・・)した!?


 俺は魔法陣に魔力を注ぐのを止めた。

 それでも、自分の魔力の7割は注いだ。

 此処で止めたら、それこそ大惨事だ!


 ……やるしかない!


 俺は召喚に必要な呪文を唱え召喚術を発動する。


「世界の(ことわり)を越え、我の求めに(こた)えよ!」


 俺がそう言った瞬間、結界内は暴風で吹き荒ぶれ、セイルまでも攻性結界を張った。

 ハクガも構えてまでヒナやリンを護っている。

 そして、クロードは疲労が顔に出ている。


 どれ程経過したのか、いつしか暴風は収まり、召喚に必要な魔法陣も消え、その中心には、赤目の白い身体の飾り意匠の様な青い紋様が有る「蛇」が居た。


「……え!?」


 あれだけの事が有ったのに、召喚術で喚んだのが、小さい50cmも無い「白蛇」!?


「老骨に鞭打つのは疲れるのじゃ。」

「お疲れ様、クロード。」

「レキヤ、大丈夫か?」

「大丈夫だ、セイル。」

「レキヤよ、肝を冷したぞ。」

「ハクガも、ヒナとリンを護ってくれてありがとう。」

「レキヤ、どうするんだい、ソレ?」

「そうだよ、レキ。」

「そうです、レキウス様。」

「そうだね。キメラキングみたいに大きい場合は返還とかしないといけなかったけど、これなら連れて行けるな。」


 召喚術が成功した場合、「名」を与える事で主従が成立するみたいだから名前を付けないといけないんだよな。

 ……え~と。

 名前、蛇……

 蛇をモチーフにした神話の怪物は洋の東西に幾つも有るけど、やはり、元日本人としては、東洋系にしたいな。

 日本、神話、蛇、と来たら1つしか無いな。

 しかし、そのモノを名付けたら、周りが「?」になるしな。

 ……

 ………………

 ………………………………

 ヤタ……は、カラスだしなぁ。


 ……!


「お前の名は『ヤエ』だ!」



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