何故、そんな質問を?
基本的には、冒険者でもある貴族は、貴族としての仕事が有るので、王都や領地からはあまり離れません。
そんな訳で、聖職者に付いて来たゴミ掃除に2週間掛かったが、新しい従者も来た事で、やっと冒険に出る事になったのだが、レイフィリアから西に向かって進むと「ザナルザンド」と言う街があって、後、10分の所で助けを呼ぶ声がして、俺達の馬車の前に出た。
「助けてください!」
俺達は馬車から降りて、説明をして貰おうと近付くと……
「やっと追い付いたぞ。」
そして、彼女は俺の背中に回り俺の左腕を抱き締めて何か柔らかいモノが当たっている状態で、「この人達は盗賊です。」と言っている。
「お前達、盗賊か?」
「ち、違う!」
「本当か?」
「本当だ。オレ達はこんな服装だが、ザナルザンドの領主の私兵だ。コレが証拠だ。」
そう言って、リーダーらしき男が懐から手紙を出した。
ヒナが受け取り中身を確認する。
「レキ、書いてある事が本当なら、この人達は盗賊じゃないわ。」
そう言った瞬間、俺から少しずつ離れていた彼女は逃げ出したが、リンからは逃げきれずに、呆気なく捕まった彼女は、俺達が預かりザナルザンドの街に向かって到着した。
そして、事実確認すると、私兵と名乗った男達の方が正しかった。
彼女は、そのまま留置所に泊まる事になり、俺達も俺達で泊まる事になるだろう領主館に行く事になった。
そして、俺達は領主館の応接室で美味しい紅茶とお菓子を頂きながら待っていると、男性1人と女性1人に執事らしき渋い男性が入って来た。
「遅くなってすまない。私は、この街の領主をしている『デイヒルト=チリン=ザナルザンド』子爵だ。」
「私は、この人の妻で『ユリアーナ=チリン=ザナルザンド』よ。」
「執事のリスタです。」
今度は俺達の番だな。
「Dランク冒険者のレキウスだ。」
「同じくDランク冒険者のヒナセーレよ。」
「同じくDランク冒険者のリンです。」
「ハクガだ。」
「セイルだ。」
「シュナよ。」
「クロードじゃ。」
デイヒルトさんは、ハクガからの自己紹介に若干眉が動いたが、流したようだ。
「先ずは、彼女を捕らえてくれた事に感謝する。」
「それで、彼女は何をしたのですか?」
「あの者は、この領主館で働いていたメイドなのだが、あまりにも仕事が不真面目で昨日付けで解雇したのだが、最後の慈悲として今朝まで居させていた。
そして、今朝、ユリアーナから宝石が幾つか無いと言われましてな。」
「捜査したら案の定、解雇した彼女が盗んでいたと。」
「ああ、その通りだ。しかも、盗まれた幾つかの宝石の中には、ユリアーナの祖母から頂いた指輪も有ったので、本当に助かったのだ。是非、お礼がしたい。」
「私からも言わせてください。ありがとうございます。」
「お礼だが、コレを受け取って欲しい。」
そう言って執事のリスタから、俺の前に小袋を置いた。
「金貨20枚入っている。受け取って欲しい。」
「分かりました。ありがたく頂きます。」
「良かった。それと、このまま帰したら領主としての名にキズが付く。泊まっていって欲しい。」
答えは決まっているが、一応ヒナ達を見るが頷いていた。
「分かりました。お言葉に甘えたいと思います。」
「それは良かった。ゆっくりしていって欲しい。」
「デイヒルト様、そろそろお客様が来られる時間です。」
「分かった。それでは、私は来客の予定がありますので席を外して失礼する。ユリアーナ、後は頼むぞ。」
「はい。」
そうして、デイヒルトさんと執事のリスタは、応接室から出て行った。
「それで不躾な質問ですが、ヒナセーレさんとはどういう関係で?」
「何故、そんな質問を?」
「ごめんなさい。ヒナセーレさんは隣に座っているのに、他の方は後ろに立っているから。」
「そうでしたか。先ずは、後ろに居る厳つい4人ですが……」
「おい、レキ。」
「こんな風に気安く会話が出来る兄姉の様な存在であり、ある人から譲って貰った部下でもあります。」
「まあ、そうですの。」
「次にリンですが、俺の奴隷であり、冒険者としての仲間でもあるのですが、どうも奴隷故か、従者気質が強くて、こういう場では後ろに立つ様にしているみたいで。」
「そうなのね。」
「最後に、彼女は、まだ内々ですが婚約者です。」
「まあ! そうだったの。」
そんな風に話しているとノックが響く。
ユリアーナさんが入室の許可を出すと、入って来たのは、俺達と同じ年くらいの美少女が入って来た。
天の声
貴族は、1に家柄、2に外見(学歴等も含む)、3に人柄の順で男女共に選ばれる事が多い事から将来は美男美女になる子供が出来やすい。
「どうしたの、リリーアナ。」
「お父様から、此方の部屋に居る方を持て成す様にと言われました。」
「そうですか。」
「はい、お母様。」
「リリーアナ。お客様にご挨拶を。」
「はい。私、『リリーアナ=チリン=ザナルザンド』です……え!?」
「どうしたの?」
「貴方は、レキウス……様?」
「え、『様』? どういう事?」
「もしかして、王立学園に在学していた、『あの』レキウス=フォン=レイロード様ですか?」
「……はい。」
「大変! 貴女。」
「はい、リリーアナお嬢様。」
「レキウス様とヒナセーレ様に使って頂くお部屋は最上級に変更しなさい。」
「はい。畏まりました。」
そう言って壁の花になっていたメイドが退室した。
「どういう事、リリー。」
ユリアーナさん、「お母さん」になっているよ。
「お母様。確かにレキウス様は冒険者ではありますが、同時に領地レイフィリアを治める子爵位を賜った貴族でもあります。」
「え!?」
「お母様。以前にお話した私と同じ年でありながら、単独での竜殺しを達成した学生が彼レキウス様です。」
「本当ですか?」
「……はい。」
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