良い買い物をしたよ。
OLが異世界転生や転移するのなら、女社長も有りですよね?
今、レイフィリアに向かっている途中で、夜営する事になり準備は終わって1人除いて喧しい夕食も終わり風呂も入ってのんびりしている所だ。
やっぱり、リースも白虎のハクガを初めて見た時は、リンと同じ様に畏まり、そして、リンがきちんと説明するまでは俺にビシバシと殺気を叩き付けていた。
そして、俺の異空間収納の容量に驚き、俺の料理を食べて色々と悔しがっていたし、食後の運動とばかりにした模擬戦で、俺とヒナにボロ負けして涙を流して悔しがっていた。
更に、初めて見て入った風呂に凄く感動をしていた。
勿論、風呂は土魔法で囲んだ上にクロードの結界で物理的にも魔法的にも盗撮出来ない様にしている。
そして、ハクガ達が寝ずの見張り番をして、俺、ヒナ、リン、リース、アンズは馬車の中で就寝。
アンズside
どうやら私は買われたらしく、村娘だった頃とは比べられない上等な服や靴を用意されたし、その前に、同じ女奴隷に身体を石鹸とお湯で本当に隅々まであんな所まで綺麗に洗われたわ。
そして、馬車で何処かに行って大きな屋敷で暮らし始めた。
もしかして、大商人か、下手をすれば貴族の爵位を持つ領主かもしれないわね!
そして、食事は信じられない事に、私を買った人達と奴隷である私が同じテーブルで食事をしようとしていたわ。
でも、他の奴隷も同じテーブルに着いているし、食べているから良いのよね?
……でも、私は料理に毒を盛った女。
出された料理を食べる気がせずに食べないでいると、私の前の料理は下げられた。
当然だわ。
ただでさえ、同じテーブルでの食事が奴隷の扱いとして信じられない程の破格なのに、出された料理を食べないのだから。
だけど、違った。
テーブルの位置関係から1番偉い人、つまり私を買った人が、私の所に来て、何処から出したのか分からないけど、出来立てかと思える焼いた鉄板の上に嗅いだ事の有る懐かしい匂いと焼ける音を出すステーキを私の前に置いたわ。
そして、「これなら食べられる?」と言われたステーキから私は目が離せず、暫く耐えたが、我慢出来ずにまた食べてしまったわ。
それから数日が経ち、私に充てられた部屋に私を買ったレキウスと言う人とヒナセーレと言う人が入って来た。
そして、今までで1番驚いた事が起こったわ!
『初めまして。俺の名前は四方院歴弥だ。』
『初めまして。私の名前は西条日向よ。』
『貴女の名前は?』
え!?
日本語!
どういう事!?
まさか、私以外に転生者が居たの?
と、とりあえず挨拶しなきゃ。
『わ、私の名前は篠崎杏子です。』
『前世の最後の立場は?』
『◯◯株式会社の代表取締役です。』
『凄い! 大企業じゃないか!』
『凄いわね。』
『俺は、普通の男子高校生だ。』
『私は、普通の女子高校生よ。』
そこからは話が弾み、私の中の不安が消え、食事も普通に食べれる様になったわ。
そして、奴隷である以上は、飼い主であるレキウス様を信じる事にした。
それに結婚後は「かかあ天下」になるのが確実だから、奴隷としての立場を利用して、私の身体を強要する事は無いでしょう。
だけど、1つだけ不満が有るわ。
食事の時は、もう少し静かにしなさいよ!
特に、あの4人!
あの4人については、知らない方が私の安全を守れると言われて4人の正体を知らされていない。
ただ、奴隷でも無いし、金銭等に因る契約を交わしていないのに、レキウス様の命令には絶対服従らしい。
しかし、あの4人を見ていると何か引っ掛かるのよねぇ。
いつか、教えてくれる日が来るかしら?
そんな中、私達はレキウス様が治める領地に行く事になったわ。
どうやら、私達が住んでいた領地や屋敷は引き継ぎが終了するまでの代行だったみたい。
そして、やっぱり夜営での食事は喧しかったわ!
レキside
代えがたい逸材を、人財を手に入れた!
俺達が留守の間の領地を任せられる代行者としての、領地経営の責任者は君に決めた!
ゾフィーネさんは頑張ってくれているし信頼しているけど、この世界的な基準で言うと引退している年齢なんだよね。
それに、何時までも代官3人を借りたままも良くないしな。
いや~。
良い買い物をしたよ。
ヒナも俺と同じ考えで、俺達はホクホクの上機嫌でレイフィリアの領主館に到着した。
「お帰りなさいませ、レキウス様。」
「ただいま。今日は良い報せを持って来たよ。」
「分かりました。話は執務室で聞かせて頂きます。」
そして、執務室に入ってソファーに俺とヒナとゾフィーネさんが座る。
後、王都から派遣された文官3人も来て貰った。
「それで『良い報せ』とは何でしょうか?」
「ゾフィーネさんの後継者が出来ました。」
「……はい!?」
「世間一般的にはゾフィーネさんは引退しても良い年数を重ねました。」
「言葉の気遣いには感謝しますが、それで私の『後継者』ですか。」
「ああ。このアンズをゾフィーネさんの後継者として育てて欲しい。」
「確かに、若くて才能が有り、しかも、裏切りの心配が無い奴隷なら領主代行としては良いかもしれませんね。」
「そうだろ。」
「しかし、本当に良いのですか? 向こうが奴隷だと侮るかもしれませんよ?」
「別に構わないよ。そんな理由で侮るのなら、それは貴族の子爵位である俺を侮る事だからね。」
「確かに。」
「それに、金を渡し、人質を取り、脅迫して黙らせようとしても、俺が『正直に話せ。』と命令すれば秘密を知る事が出来る。」
「……」
「序でに言えば、アンズには家族が居ない。」
「……そうですか。」
「後、この領主館に、王都の屋敷で働いているメイド達をある程度喚んだから。」
「それはどういう事でしょうか?」
「オーク侯爵の搾取で余裕が無かった所為か、この領主館には年配が多い。アンズの周りを固める意味でも、次代を育てる意味でも必要だと思う。」
「分かりました。」
「それと、代官の皆さんもアンズに仕事の引き継ぎをお願いします。」
「分かりました。正直、そろそろ家族の顔が懐かしく思っていた所です。」
「それでは、アンズをよろしくお願いします。」
アンズという中心人物が出来た以上は、王都の屋敷よりも領地の方が重要だ。
しっかり足元を固めないとな。
3日後に、未亡人メイドのセリーヌ=サラク=ヤータブルに、騎士の花嫁のマーシア=ベハク=ナンハリアに、オーク侯爵の下で生き延びたザーナク伯父さん所に預けていたメイド3人とその家族に、女暗殺者サナハとその家族が領主館に来た。
全員が奴隷な為に、秘密や情報の漏洩の心配は無い。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
因みに下げた料理はハクガが美味しく頂きました。
後、西条日向は、本当は大往生で、特定の異性と付き合わず独身を貫きました。
そして、そこは乙女、「お婆ちゃんです。」とはレキの前では言えなかった。




