それなら、見せて貰おう。
タイトル回収、達成。
出発した俺達だが、時間の関係で無理をすれば最寄りの街には到着出来るがかなり遅い時間になるな……
「今日は夜営して、明日到着する様にしよう。」
「分かったわ、レキ。」
「分かりました、レキウス様。」
ハクガ達も良いと言ってくれた事だし、夕食は腕を振るうか。
そして、街道に点在する夜営地に場所を取り、夕食の準備を始めたのだが、ハクガは「まだか?」と正直に欲求を言いながら急かせ、セイルは無言で席に座りテーブルを指で叩いてアピール。
シュナは、背中から抱き締めて肩から首に、そして、後頭部に柔らかいナニかが当たっている上に俺の頭頂部から、「早くぅ。」と囁くのに食事の準備を邪魔をする。
クロードは……「ほ、ほ、ほ。」と笑って待っている。
「俺はお前らの保父さんじゃねえ!」
俺のこの一言で全員が俺を見た。
「これ以上、邪魔するのなら食事の時は返還するぞ!」
そう言った瞬間、ハクガ、セイル、シュナ、クロードは、自身が神と喚ばれる存在である事を放り投げて土下座した。
「土下座するくらい反省したのなら、大人しく席に座って待っていろ。」
そう言うと、ハクガ達は、お行儀良く席に座った。
そんな流れを口を開けてポカーンと見ていたヒナとリンは我に返り、夕食の準備を再開した。
そして、夕食は先程の土下座が無かったかの様に、いつも通りに喧しかった。
……まあ、別に良いけどな。
夕食後は、ハクガ達4人の合作で作った風呂に順番に入った後、俺とヒナとリンは馬車に入り準備をして就寝となる。
ハクガ達は寝ずの番で見張りだ。
食事の邪魔をした罰じゃないぞ。
ハクガ達は、10日ぐらい寝てなくても問題ないからだ。
だから、リン。
そんな冷たい鋭利な顔で睨まないでくれ。
翌日
目的地の街「ヘスガリダ」に到着した俺達は、先ずは宿屋を探して1泊にして、宿屋に馬車を預けて、街を散策する事にした。
……しかし、何か、衛兵をよく見掛けるな。
それに、何かを探しているのか、キョロキョロと周りを見ている。
そして、その衛兵の1人を俺達を見て叫んだ。
「現れたぞー!」
ん!?
見つけた、とかでなくて、現れた?
初めて来た街で、そんな対応される様な事をしていないぞ。
しかも、ヒナとリンは原因が俺であるかの様に上目遣いのジト目で見ている。
「レキ。」
「レキウス様。」
「俺は何もしていないからな。」
そんなやり取りをヒナとリンとしている間に、衛兵達は俺達を囲む。
「何のつもりだ? 俺達は先程、この街に来たばかりだ。」
「お前達には、領主様に会って頂く。」
「断ったら?」
「理由は後で、どうとでもなってしまう。すまないが、来て欲しい。」
「……分かった。」
言い方に、この衛兵はクズでは無いと判断して、大人しく領主館に衛兵と一緒に向かった。
そして、領主館に到着した俺達は、応接室に通され暫く待っていると、オッサンと執事らしき爺さんと護衛らしき男が5人入って来た。
そして、挨拶もせずに入ってくるなりに、暴言を吐く。
「その獣を寄越せ!」
「……は!?」
「聞こえなかったのか? その獣を寄越せといったのだ。」
落ち着け!
このオッサンが、リンの事を獣呼びした事は許せないが、此処は我慢するんだ!
「何故、いきなりそんな事を? それに貴方達は誰です?」
「ふん。面倒臭いが教えてやる。儂は、この街の領主のドキュヌ=ケワイ=ヘスガリダ子爵だ。」
「それで、寄越せというのは?」
「言葉の通りの意味だ。」
「ドキュヌ様。向こうは奴隷みたいなので、買い取りの形を取りませんと……」
「そうであったな。面倒臭いものだ。その奴隷を銀貨1枚で買ってやる。銀貨1枚も出してやるのだから感謝するのだな。」
我慢だ、俺!
ヒナもリンも我慢しているんだから!
「何故、俺の奴隷をお求めで?」
「何、数日前まで1匹飼っていたのだが、あまりにも抵抗するから、耳と尻尾を切ってやったわ。そうしたら、途端に人形の様になったから、興が削がれて、奴隷商に売った。」
この瞬間、リンの殺気が弾けた。
「リン! 殺さなければ自由にしろ! ハクガ、音を外に漏らすな!」
俺達はリンから聞いた。
獣人族にとって、耳や尻尾は誇りであり、耳や尻尾を奪われるのは、身体を穢される事以上の屈辱だと!
俺はリンが気が済むまで付き合い、回復魔法をその都度掛けていた。
4人の中で特にシュナが怒っており、リンが切り刻んだり、刺す度に傷口を焼き、血が流れない様にしていた。
流石に回復魔法も失った血までは戻らないからな。
執事と護衛はセイルに因って、体内の血を操り、頭に血が流れない様にして「落とし」た。
1時間くらい経つと、クズ子爵は、「殺してくれ。」と懇願した所でリンも我慢出来る様になったみたいだ。
……そう。
俺もこの程度で赦すつもりはないからな。
そして、尋問すると街の外に狩りに出て、ボロボロの黒髪黒目の獣人族を見つけ、しかも、幻の黒猫の獣人族だと分かり、持ち帰ったが、抵抗が激しくて頭に血が昇り、勢いで耳と尻尾を切ってしまった。
そして、反応が無くなり人形の様になった事で、興味を失い、奴隷商に売ったらしい。
俺達は、奴隷商の事を問い詰め、場所を聞き出し急いで向かった。
聞き出した奴隷商に到着した俺達は、店番に話す。
「奴隷を買いに来た。」
「畏まりました。どうぞ、ご案内いたします。」
そして、俺達は応接室に通され待っていると、眼光鋭い中肉中背のオッサンと奴隷紋を付けたメイドが2人入って来た。
「ようこそ、我が奴隷館へ。私がこの奴隷館の店主をしている『バルバス』でございます。それで、どの様な奴隷をお求めですか?」
此処で、正直に答えて無駄に警戒させるのも、売り値をつり上がらせるのも良くないな。
「人族の女か、獣人族の雌を考えている。」
「左様でございますか。」
「そこで、直接見ても良いか?」
「勿論です。ただ、流石に皆様全員という訳にはいけません。」
「それなら、俺だけで見る事にしよう。」
「ご理解頂けて感謝します。それでは、参りましょうか。」
そして、俺は店主バルバスに案内と説明を受けながら、商品として売られている人達を見ていった。
先ずは人族の奴隷で、奥に進むにつれて、年齢が若くなっていた。
最初は、借金奴隷から始まって、最後は特殊奴隷だ。
人族が見終わると、次は獣人族で、流れは人族と一緒だった。
しかし、耳と尻尾の無い黒髪黒目の獣人族は居なかった。
「まだ見せていない商品があるのではないか?」
「お客様は、どこでその情報を?」
「知る必要はあるのか?」
「いえ。」
「それなら、見せて貰おう。」
それは、酷い有り様だった。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
柔道に於いて、絞め技で相手を気絶させる事を「落とせ」とか「落ちた」とかを用語として使用します。




