その喧嘩、買ってやる。
実際のリアルの人生は、「1」の次が「2」とは限らない。
つまり、貴族が1つ消えたから、次はモンスター討伐系や、ヒロイン達の出会い系とは限らない訳です。
「レキウス。初めて会った時に一目惚れをしたの。」
「……」
だから、最初の頃は懐いていたんだ。
「だけど、レキウスにはヒナセーレが居ると知ってからは、私は上手く自分の感情を制御出来なかったわ。」
「それで……」
「そして、今日、レキウスが来るまではレキウスを諦めるつもりだったわ。だけど回復した。だから、今なら素直に伝える事が出来る。」
「リシュア……」
「最後まで言わせて!」
「分かった。」
「私は、レキウスが好きなの!」
「……」
「レキウス、ヒナセーレと代わって。」
「……分かった。」
リシュアの希望通りに、俺は部屋から出てヒナは部屋に入った。
「レキウス君。娘の事を考えてくれないか?」
「私からもお願い。」
「2人は、知っていたのですか?」
「ああ。」
「ええ、そうよ。」
「しかし、俺にはヒナが居ます。」
「レキウス君はまだ若い。直ぐに功績を上げ、伯爵位を賜るだろう。そして、侯爵位だって夢じゃない。」
「レキウス君。そうなった時にリシュアを貰って欲しいのよ。」
「私達の事は気にしなくて良い。娘を、リシュアを大切にしてくれるのなら、それで良い。」
「……分かりました。心に留めて置きます。」
「今はそれで良いよ。」
「私は早速、アップルパイを作るわね。リシュアの全快祝いに、ね。レキウス君、待っててね。ご馳走するわ。」
「はい。」
ヒナとリシュアは、アップルパイが出来て、俺が呼びに行くまで2人は部屋に居た。
そして……
「レキウス。私は第2夫人で我慢するわ。」
「え!?」
「私には冒険者は無理だから、家は私が守るわね。」
そう言うと、リシュアは足取り軽く先に行った。
「ヒナ?」
「私から薦めたのよ。」
「何故?」
「私は、この世界で生きて来たのよ。だから、『妻は私1人よ!』と言うつもりは無いわ。勿論、レキが平民になったら、話は違うけどね。」
「……」
「私が、正妻で1番大切にして1番愛してくれるのなら、それで良いの。」
「ヒナは、それで良いんだな?」
「ええ。」
「……分かった。考えてみるよ。」
食堂には、笑顔のタナスさんとサナリスさんと、初めて会った頃のリシュアが居た。
そして、5人でアップルパイを仲良く食べた。
……まあ、アップルパイに罪は無いしな。
俺達は美味しいアップルパイを頂いた後、我が家に帰ると、命令を下した。
「ミミア、ラシア、アマナ、サナハ、セリスは、家族を含めた総員で、リシュアに大怪我を負わせた奴を探し出せ!」
「「「「「はっ!」」」」」
因みに、リシュアの大怪我の原因は、仲の良いリスバリア伯爵家のルジーナ嬢のお茶会に招待され、リスバリア伯爵家には、小さいながらも湖畔みたいな庭を作り、中央に四阿を建てていて、そこでお茶会をしたらしいが、その四阿が崩れて、リシュアだけが、その崩壊で重症を負った。
優秀な彼女達なら、そこから調べれば、それ程待つ事なく黒幕が判るだろう。
それから、数日経つと朝にリシュアの使いが来て、遊べる日の確認をする様になった。
基本的には、貴族令嬢は外で遊ばない。
精々、自分の家の中庭や、他家の中庭でお茶会をするぐらいだ。
まあ、そのお茶会が伏魔殿で怖いんだけどな。
なまじっか暴力が無いからこそ、怖い。
……話が逸れたな。
つまり、リシュアと遊ぶという事は、基本的に室内になる訳だ。
昔、転移者か転生者が居たのか、リバーシやチェスに、トランプ等が世界中に普及している。
そして、意外にも貴族で最も人気が高いのが、「人生ゲーム」だ。
しかし、ゲームの舞台のマスには番号しか書かれておらず、何をするかの「指示」は別に用意して、その指示リストに番号を振り、トランプみたいに番号を書いたカードを用意してシャッフルして、山札の上から順に最初のマスから置いていく。
こうすれば、マスのネタに飽きが来ない為に遊べる。
また、詐欺師や手品師とかでもない限り、イカサマが出来ない事から、爵位を気にしないで遊べる運ゲーとして貴族にも人気が高い。
後、人生ゲームによくある「○マス戻る」は、7マス目からデッキに混ぜ、シャッフルするというルールがある。
そして本番は……
「え~と指示は……うわぁ! リシュアの持つ資金を8割押収ですって。」
「あぁー! 私の貯めた資金がぁー!」
「リシュア、ごめんね。この資金は私が上手に運用するから。」
「絶対に取り返すわ!」
そんな感じで、俺、ヒナ、リン、リシュアで遊んでいる。
たまに、リシュアが「新しい風を!」という感じに執事のゴハスやメイド長のアンナや、他国の未亡人メイドのセリーヌが巻き込まれている。
それから、2週間後に黒幕が判明した!
黒幕は、コルジーア侯爵だった!
……良いだろう。
その喧嘩、買ってやる。
俺は更に命令を追加しよう……と、思っていたが、セリス達は潜入した序でに裏帳簿等を押収していた。
そして、この裏帳簿等を王族のアリウス殿下とライロード公爵に渡した。
2週間後には、自国の侯爵家が1つ消えた。
今回も、事後処理を手伝わされ、元コルジーア侯爵家からの貴重な物品と領地は王家が管理する事になり、換金出来る物は、またオークションを開催して、売上げ4割の白金貨600枚が懐に入った。
働いていた者は奴隷にし、適切に振り分けられ、手元に残していた年配の元メイド達10人で屋敷の管理をさせた。
元コルジーア侯爵家一族は、成人男性は全員鉱山労働10年間を課せられ、終了後は平民堕ちになる。
元コルジーア侯爵の父母は既に引退していた為、そのまま領地にて終生謹慎処分で、それ以外は、母親の実家の領地にて終生謹慎処分になった。
そして、問題が1つ残った。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




