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まあ、当然の結果よね。

猪肉が牡丹、馬肉が桜、他に有ったかな?

 敢えて、もう1度言うぞ。


 コイツは、馬鹿か?


 何故、何かをやらかした訳でもなく、弱味等を握り無理矢理な訳でも無いのに、何故、パーティーを解散しなければならない。

 そして、世間一般的には、奴隷は財産だ。

 それを無条件で手放せ、と?

 更に、解散後に、自分の所に来てくれたら嬉しいと言っているが、偽りの善意の裏側のゲスな考えが透けて見えるわ!

 既に終わっているが、言質をしっかりと取るか。


「断わる。」

「何故だ?」

「それなら、当然、払ってくれるのだろうな?」

「何を?」

「リンは、購入した奴隷だ。それを手放せと言うからには、払うよな? 奴隷は財産だ。その財産を失う以上は、お前には補填する義務が発生する。」

「どうせ、二束三文で買ったのだろう。幾らだ?」

「白金貨300枚。」

「はっ!?」

「白金貨300枚。」

「ふ、ふざけるな!」

「幻と言われた黒猫の獣人族だ。しかも、王都のオークションで出品されていた。当然の金額だ。さあ、払え!」

「そんなの払えるか!」

「それなら、諦めろ。」

「いや、駄目だ!」

「話にならんな。」

「それなら、力ずくで認めさせてやる!」

「言ったな! 奴隷法に基づき、強盗罪が成立した。

 ハクガ、捕えろ。セイル、衛兵を呼んできてくれ。」

「分かった。」

「了解した。」

「なっ!」

「貴様は馬鹿か? どんな理由が有ろうとも、奴隷は財産なんだよ。それを無理矢理に奪おうとすれば当然、ソレは強盗に(あたい)する。」

「あ……」


 俺は馬鹿の目の前に行き、馬鹿にしか聞こえない程度の声量で宣告した。


「奴隷の強盗は重罪だ。奴隷購入時の3倍の金額を、この場合は俺に支払わなくてはいけない。残りの人生全て、鉱山で土いじりでもしていろ。そして、俺は貴族だ。巻き込まれた家族に土下座して謝るんだな。」

「そんな……」


 さて、奴隷を買う人族は大雑把に言えば3種類だ。

 それは、「商人」と「貴族」と「冒険者」だ。

 そして、「オレがお前に勝ったら奴隷を貰う。」なんて事をこの3種類が許すと思うか?

 それに、基本的には戦う力が無い「商人」と「貴族」だ。

 そんな理不尽を認める訳が無い。

 次に冒険者も、何時でも何処でも24時間365日、最強状態な訳が無い。

 食事、睡眠、トイレ、風呂、病気、怪我。

 そんな理由から、奴隷法の強盗罪が生まれた。


「まあ、当然の結果よね。」


 ヒナも元日本人だが、きちんとこの世界で生きて来たから認めている。


 こうして、馬鹿を処理する手間を取られて時間を潰したが、気を持ち直して、東側の森に向かった。


 東側の森に来たのだが、何故か猪系のボアばかりだ。

 理由を確かめに奥に行くと、ボアの群れ31匹が居た。

 しかも、群れの中心には一際巨体な毛色違いの異常種が居た。


「今日の昼飯は牡丹祭りだ!」

「やったー!」

根刮(ねこそ)ぎ狩るぞ!」

「おー!」


 1時間30分後には、牡丹祭りが開催されていた。


「美味しいね、レキ。」

「ああ。調味料や香辛料を買って良かった。」

「レキウス様、この黒い調味料の『セイユ』を塗った串焼きが香ばしくて美味しいです!」

「リン、もっと食え。」

「はい!」

「本当に旨いな、レキヤ。」

「美味しいぞ、レキヤ。」

「本当に旨いね、レキヤ。」

「牡丹汁も絶品じゃな、レキヤ。」

「それは良かった。ハクガ達もどんどん食べてくれ。

 直ぐに次を焼くからな。」


 こうして、俺達は牡丹祭りで舌鼓を打ち、昼食後に1時間程、休憩した後、再開したが、ボアは見つからなかった。


 冒険者ギルドには、ボア20匹を、売名行為と民への応援の意味を込めて最安値でギルドに売った。

 さて、領主館に帰って、ゾフィーネさん達にも牡丹肉を振る舞おうと思っていたら、受付嬢に呼び止められた。


「ギルドマスターが、お話しがあるそうです。」

「分かった。」


 俺が、この領地の領主だから断れないなぁ。


「呼び止めて申し訳ありません。」

「何故、敬語を?」

「領主としての君に話が有る為です。」

「分かった。それで、話とは?」

「領主として、この領地をどうしたいか聞きたい。」

「……そうだな。とりあえず、先代のオークみたいな事はする気は無いかな。将来的にはスラム街を失くしたいと思っている。」

「それはまた大きく出ましたね。」

「領地経営の将来的な目標としては悪くないだろ?」

「勿論です。」

「もう良いか? 帰ってゾフィーネさん達にもボアを振る舞いたいんだ。」

「分かりました。引き留めて申し訳ありませんでした。」

「それじゃあ。」


 冒険者ギルドから領主館に帰ると、ボアの事を話して中庭で全員参加の牡丹祭りをした。

 勿論、調味料『セイユ』を使った料理は好評で、ゾフィーネさんに店の事を話したから、俺達が行けなかった場合をお願いする事が出来たって、言うか、手間賃払うから届けて欲しいと、言付けをお願いした。


 翌日、早朝にライロード公爵からの緊急配送された手紙が届いた。

 何事かと読むと、リシュアが事故に遭い、魔法とポーションの併用で命は取り留めたが、怪我の跡が酷くて醜く残ったみたいだ。

 リシュアとフローラは、俺の屋敷の新築お披露目会で仲良くなり、その関係で、今回、フローラのお願いでライロード公爵が尽力を尽くしてくれたみたいで、それで手紙を送ってくれたみたいだ。


「レキ! 急いで帰りましょう!」

「ああ!」



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。


巻き込まれた家族は、馬鹿からの土下座の謝罪を受けた後、2割増しにキツい仕事に従事して貰い、娯楽禁止だが、平均的な食糧を支給されて半年後に解放されました。

流石に、巻き込れただけの家族に鉱山労働はやり過ぎと思ったレキは、貴族の慈悲ある恩情という事にして、こういう処置になりました。

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