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申し訳ありません!

腐敗は何処にでも有るものです。

 領主館に帰えると、皆には自由行動だと告げて、俺は今日購入した調味料や香辛料の確認をした。

 一応は、店主から用途を聞いていたけど、自分でも確かめないとな。

 次の日には、神殿に行って一悶着有ったり、女性に縁が無さそうな人から、声を掛けられて善意のお金を貰ったお礼に、詰所の牢屋で1泊して貰ったりした。

 ……その日、手紙を2通、王都に送った。


 顔役との面談日


「ゾフィーネさん。今日はよろしくお願いします。」

「ゾフィーネさん。今日は商業ギルドにとって、善き日になると願っています。」

「ゾフィーネさん。女神様の導きに感謝します。」

「冒険者ギルドと商業ギルドのギルドマスターに、当都市の神殿長、今日はよろしくお願いいたします。3日前に送った通り、新しい領主様をご紹介したいと思います。

 ただ、まだ若く、冒険者の方を優先したいとの事ですので、(しばら)くの間は、今まで通り、私が責任者を代行する事になると思います。」

「分かりました。」

「税金を下げて頂けるのなら、商業ギルドとしては文句ありません。」

「神殿も同じです。」

「それでは、新しい領主様をご紹介したいと思います。

 レキウス=フォン=レイロード子爵様、どうぞ、お入りください。」


 ゾフィーネさんに言われて、俺は応接室に入る。


「え!?」

「そんな!」

「嘘でしょう!」


 皆さん、良い驚き顔だな。

 因みに商業ギルドのギルドマスターとは初対面だが、随行者があの時に助けた女性だった。

 神殿の方も、外見で見下し、一悶着起こした相手が新領主だと知って驚いているな。

 俺と一緒に入って来たのはヒナとリンとセイルで、対面に座るのは俺とヒナで、残りは俺の後ろに立っている。


「改めて、自己紹介させて頂きます。この都市の領主を国王陛下より拝命されたレキウス=フォン=レイロード子爵です。まだ若輩の身ですが、これからよろしくお願いします。」


 あらら。

 全員が絶句しているわ。 

 冒険者ギルドのギルドマスターは、あれだけの強さを持つガキが新領主だと知って驚いているな。

 商業ギルドのギルドマスターの後ろにいるリシスは、子爵で領主である俺に対して、失礼な事をしていないか思い出している途中かな?

 神殿長は、一瞬、顔が青くなったが直ぐに持ち直したのか、平静さを保っている様に見える。


 その後は、型通りの流れになり一通り終わり談笑でも、という状態で商業ギルドのギルドマスターのギニューゼが口を開いた。


「そろそろ、横に座っている令嬢を私共に紹介して頂けますかな?」

「そうですね。まだ内々ではありますが、両家の承諾を得た、俺の婚約者のヒナセーレ=レイディアだ。」

「レキウス様の婚約者ヒナセーレ=レイディアです。

 以後、お見知り置きを。」

「……そうでありましたか。」


 ギニューゼが商業ギルドのギルドマスター故か、一瞬で色々と考えた様な表情をしているよ。

 因みに、冒険者ギルドは、特に変える必要性が無い為に落ち着いている。

 精々(せいぜい)、ヒナの扱いが俺のオマケから俺と対等の扱いに変わる程度だろう。


「それと、ギニューゼ会長、後ろの方は?」

「そういえば、紹介がまだでしたな。こちらは、私の孫娘でリシスと申します。

 今は商業ギルドの受付けで働いておりまして、将来的には私の後継をと考え、今回の面談に連れて来ました。」

「リシスと申します。あの、あの時はありがとうございました。」

「どういう事だ、リシス?」

「お祖父様、実は……」


 動揺して、公私混同しているよ。

 助け船を出すか。


「大した事ではありませんよ。たまたま通り掛かった冒険者がリシス嬢を善意で助けただけですから。」

「本当か、リシス?」

「……はい。」

「まあ詳しい事は、帰ってから聞いてください。」

「分かりました。孫の危ない所を助けて頂きありがとうございます。」

「お気になさらずに。」


 和やかに話が進んでいるが、そうでない状態が1組居る。

 それは神殿組だ。

 神殿長は最初こそ持ち直したが、次第に顔色が悪くなっていた。


「それでは、今日の面談は終了とします。この後、ささやかなながら、食事の用意をしていますので、別室にてお待ちください。それと、神殿長とその随行者はこのまま残ってください。」


 そして、冒険者ギルド組と商業ギルド組は退室した。


「さて。分かっているとは思いますが、神々に仕える者とは思えぬ内情を知った以上は、此方としても見なかった事に出来ない。それは分かっているのか?」

「ふ、ふざけるな! 我々が慈悲を掛けたからこそ、この都市は存続出来ていたのだぞ!」

「そうですね。だが、だからと言って、結果的に神殿に入るお金を横領して良い理由にはならない。」

「くっ……」

「王都に連絡して、明日にも調査しに司教が来られる事になっている。帰って、明日からの身の振りを考えた方が良いだろうな。」


 そうなんだよな。

 神殿に行ったら、入るだけで1人銅貨1枚請求され、金額は任意の筈のお布施を銀貨5枚請求するし、文句言ったら帰れと言われるし、更に文句言ったら護衛の者が出て来る。

 そこで、俺が新領主の雇った者だと言って、無理矢理、神殿長を呼んだら、服は乱れているわ、キスマークは付いているわ、酒臭いわ、指にゴテゴテに指輪を填めているわ、極めつけは、ヒナとリンとシュナに、神殿の立場を利用して威圧を掛けて夜の相手をさせようとした事だ。

 流石にブチキレた俺は、そのまま神殿を出て行った。

 まあ、そんな事が有ったにも関わらず普通に今日、領主館に来たコイツらの頭の中はどうなっているのか分からないが、来た以上は領主としての対応を取るまでだ。


 今日の面談や食事会も終わって、夕食の時間までのんびりしていると、ゾフィーネさんが俺達が居る部屋に入って来た。


「申し訳ありません!」


 入って来てからのいきなりの土下座。



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