……ショックだ。
ギルドマスターは、こういう時は、腰が軽いですよね。
後、定番の黒いヤツが出ます。
ハクガとセイルとシュナの3人がドヤ顔をしていると、若い頃は強かったんだろうなぁ、と思える人物が近付いて来た。
「ギルドマスター!」
「降りてみたら居ないから、どうしたのかと思ったが何か有ったのか?」
「はい。鋼鉄の斧と白銀の翼の方々が、こちらの少年と年配の方以外を勧誘したのですが、こちらの少年に勝ったら考えると言われて、模擬戦をしたのですが、ご覧の状態です。」
へぇ。
この人が冒険者ギルドのギルドマスターか。
「……なるほど。まだ若いのに凄まじいな。その強さは外見と釣り合っていないぞ。」
「しかし、ギルドマスター。彼らが、この都市をホームにして貰えれば心強いですね。」
「それでどうだ? この都市をホームにしてくれるのなら、出来る範囲内だが優遇するぞ。」
「有り難い話だが、俺達のホームはフォルビア王国の王都なんだ。」
「……残念だ。」
「だが、この都市は、第2のホームになるだろうな。」
「そうか。」
「良かったですね、ギルドマスター。それに、新領主様も良い方かもしれないので、希望が持てます。」
「ああ、そうだな。」
「それじゃあ、俺達は失礼するよ。今回は顔を見せに来ただけだからな。」
「ああ、分かった。そういえば、名前は?」
「今度、会ったら話すよ。」
「分かった。それで良い。」
こうして、俺達は冒険者ギルドを後にした。
そして、3日後の面談でギルドマスターが来たら面白いだろうなぁ。
「レキ、顔が黒いよ。」
「え、本当?」
「うん。何か、『計画通り!』みたいな顔だよ。」
「え、そんなに黒かった?」
「うん。」
「……ショックだ。」
商業ギルドは、………………行かない。
強さの畑が違うから。
あんな海千山千の狸や狐が居る所に行きたくない!
その代わりに、その分、色(高額給金や高待遇)を付けるからゾフィーネさんに丸投げする予定。
そんな事をヒナと話していると、何か言い争いで集まっているから行ってみると、それなりに良い服を着ている女性と、どう誉めてもチンピラにしか見えない男3人が言い争いをしていて、男の方が「治療費を払え!」とか「払えないなら身体で払え!」とかを言っていた。
「そっちから当たりに来て、ふざけた事を言わないでよ!」
様子を見ていたら、ヒナが「助けてあげよう。」と言って来たから、俺もその気だったから助ける事にした。
「ちょっと待ってくださいよ。」
「何だ、てめえ?」
「関係無え奴は引っ込んでいろ!」
「痛い目をみたいか?」
「さて、周りの皆さん。どちらが悪いと思いますか?」
当然、皆さんはチンピラを指差した。
「と、いう訳でお休みなさい。」
「ああぁ? がっ!」
「ぎぃ!」
「ぐっ!」
有無を言わせずに腹パンで沈んで貰いました。
ヒナの方を見たら、何故か、後ろに居たシュナが親指を立ててウィンクをしていた。
何とか立ち上がったチンピラは、「覚えていろよ!」と言いながら去っていった。
そして、絡まれていた女性が俺にお礼を言ってきた。
「ありがとうございます。」
「別に気にしなくても良いよ。それより怪我とかは無いか?」
「は、はい。大丈夫です。」
「それじゃあ。」
「私、商業ギルドで働く『リシス』と言います。商業ギルドに来た時は是非、私を指名してください。」
すみません。
自分からは、商業ギルドには行かないと思います。
まあ、俺、ヒナ、リンだけなら、「お礼に食事でも」と誘えただろうけど、美人局みたいに、他4名居るからなぁ。
また散策を再開して、屋台の焼いた肉を食べたり、甘味処で、ヒナとリンとシュナが5人前を食べたりしながら、歩いていると、調味料や香辛料を専門にしている店を見つけた。
俺達は中に入ってみる。
「いらっしゃい。」
「凄い品数だな。」
「まあね。領主様が融通してくれているお陰さ。」
ああ。
調味料や香辛料は、単価が高い上に必要性が高いからな。
ちょっと見て廻るか。
数分後
「嘘だろう?」
「信じられない!」
「それは東方から来た『セイユ』と言う調味料で、見た目が黒いから売れなくてねぇ。まあ、保存が利くから置いているわ。」
「全部買う。」
「はい!?」
全くの偶然か、ほぼ醤油と言える調味料が有った!
近付くと、あの匂いがしたからまさかと思って味見したら醤油だった!
ヒャッハー!
「良いのかい? 店としては助かるけど?」
「構わない。次の入荷は? 次も全部買わして貰う。」
「つ、次の入荷は早くて3ヶ月後だよ。誰も買わないだろうから、置いといてやるよ。」
「分かった。」
そう言うと俺は、金貨1枚を出す。
「今回のと次の分だとしても貰い過ぎだよ。」
「その代わりに、東方でしか、手に入らない商品が有ったら用意しててくれ。」
「分かったわ。」
「良かったわね、レキ。」
「ああ。帰りに新鮮な卵を買って帰ろうな。」
「うん。アレね。」
「そう、アレだ。」
「レキウス様、『アレ』とは何ですか?」
「大抵の人が嫌がるだろうけど、この調味料『セイユ』が有れば簡単に食べれて美味しい料理が有るんだ。」
「そうなのですか?」
俺は、店の調味料と香辛料を全て1瓶ずつ購入して、更に金貨1枚出した。
呆れたのか、店主は何も言わずに金貨を受け取った。
そして、途中で魔法も使って調べた新鮮で安全な卵を買って領主館に帰り、持参していたお米モドキを炊き上げて、丼によそい、卵を割って入れる。
そして、かき混ぜてから、調味料「セイユ」を適量掛ける。
チャレンジャーなリンはスプーンを持ち、ヒナは箸を握り、一緒にあの言葉を言う。
「「「いただきます。」」」
……そして、リンの顔がトロけた。
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