アタイを従わせるだけの力を持っているのさ。
上昇志向の持ち主は、年齢と外見だけで判断する場合があるでしょうね。
折角、来たのだから、という事で俺達は都市を見て廻る事にした。
今日の事をゾフィーネさんに伝えたら、「では、3日後に都市の顔役との面談を用意しますので、それが終わるまでは居てください。」と言われた。
顔役という事は、冒険者ギルドと商業ギルドのギルドマスターとかかな。
先ずは冒険者ギルドからだ。
森の件は、ゾフィーネさんが「私の方でやっておきます。」と言われたから大丈夫だろう。
そんな事を考えていたら、冒険者ギルドに到着した。
メンバーは、俺、ヒナ、リン、ハクガ、セイル、シュナ、クロードだ。
入ってみると普通だし、夜勤帰りなのか、酒を飲んでいる冒険者達が居るな。
俺達は、受付嬢の所に行って情報収集を始めた。
「昨日、この都市に来たばかりだが、何か、気を付ける事はないか?」
「そうですね。昨日までなら、南側の森に異常が有ったのですが、新しく就任された領主様の冒険者が解決されたらしいので、強いて言えば、その新しく就任された領主様ですか。」
「分かった。それで、その新しく就任された領主はどんな奴だ?」
「はい。新しく就任された領主様は、まだ若いのに子爵位を賜っている貴族です。」
「それだけか?」
「後は、王都の王立学園に現れたドラゴンを単独で退治したという噂があります。誇張な部分が有ったとしても、強者の可能性が高いので、間違っても喧嘩をしない方が良いと思いますよ。
それでなくても、この都市の領主様なので、そんな事をすれば、最悪は死刑も有り得るので注意してください。」
「分かった。」
情報収集を常とする冒険者ギルドでも、その程度か、と思うけど、話したらいけない部分もあって、話してないだけかもしれないしな。
これなら、桜吹雪のお奉行様や、日本でラーメンを初めて食べた放浪する爺さんの真似事が出来るな。
その後、軽い世間話をした後、どんな依頼が有るのか依頼を張った掲示板を見に行こうと移動を始めると、声を掛けられた。
「なあ、オレ達と組まねえか?」
「なんだ、お前は?」
「オレ達3人は『鋼鉄の斧』って冒険者チームで、オレ達のメンバーにならないか?」
話し掛けられたのは、ハクガとセイルだった。
「何故?」
「それだけの偉丈夫だ。それ相応の強さだろう。しかし、良いのか? それだけの強さを持ちながら、ガキの護衛なんて。」
「そうだぜ。もし、違約金が出るのなら、オレ達が出しても良い。」
「それなら、私達も言わせて貰うわ。」
「私達は、白銀の翼って言うの。それで、そこの3人。
赤毛の貴女と黒髪の貴女と獣人の貴女よ。」
「そうよ。男と一緒だと色々と不便でしょう。だけど、私達と一緒なら、そんな不便は無いわ。どう?」
更に、女性だけの冒険者チーム3人が参加した。
そして、ハクガとセイルはニヤリ、と笑った。
「まあ、考えてやっても良いぞ。」
「本当か?」
「但し、このレキヤに勝てたなら、な。」
と、2人が言うと、妖艶な笑顔でシュナも言った。
「そうね。アタイもレキヤに勝てた、なら考えてやるよ。」
そう言いながらシュナは俺を背中から抱きしめた。
ムニュ。
……!?
「……レキ。」
「はい! 離れろ、シュナ。」
「は~い。」
天国と地獄を1度に体感した。
「それで、どうするのだ?」
「そこの小僧に勝てば良いのだな?」
「ああ。」
「そこの坊やに勝てば良いのね?」
「そうよ。」
「「分かった。」」
そして、俺の意見を言う場が無いまま、併設されている冒険者ギルドの鍛練場に移動する事になり、到着した。
俺と話していた受付嬢が説明を始めた。
「武器の使用は、この鍛練場にある模擬戦用のみとします。そして、魔法は身体強化系か初級魔法のみとします。勿論、殺したら駄目です。良いですね?」
全員が頷いて、それぞれが武器を選んだ。
「それで、どの様な順番にしますか?」
「ちょっと良いか?」
「はい、どうぞ。」
「1人1人なんて面倒だ。全員でどうぞ。」
「なっ!」
「良いのですか?」
「構わない。」
「小僧、覚悟は良いのだな?」
「坊や、優しく出来ないわよ?」
「そんな気構えなんて必要は無いな。」
対戦相手を見て、溜め息をついて言った。
「受付嬢、始めろ! この小僧の性根を叩き直す!」
「坊や。お姉さんもちょっと我慢出来ないかなぁ。」
「それなら、準備はよろしいですか?」
受付嬢が確認すると、ヒナ達は俺の後ろである程度の距離を開けて下がった。
そして、鋼鉄の斧と白銀の翼は戦闘態勢を取って、俺も剣を構える。
「……始め!」
「うおおおーーー!」
やっぱり、男との乱戦を嫌い、女性チームは最初は参加しない予想が当たったな。
序でに言えば、仮に鋼鉄の斧に勝てたとしても、俺の体力は落ち、満身創痍だと考えたのだろうな。
17分後、着ている服にすら傷をつけずに、俺の完勝!
「お疲れ様、レキ。」
「流石です、レキウス様。」
鋼鉄の斧と白銀の翼の人達は、全員が倒れている。
「……ウソだろ。」
「オレ達がこんな小僧に……」
「……かすり傷も付けれなかった。」
「……ウソでしょう。」
「こんな坊やに……」
「……手も足も出なかったわ。」
勝ち誇ったハクガとセイルは言った。
「これでレキヤが強いって分かったか?」
「レキヤはオマケでは無い事が分かったであろう。」
「そうだよ。アタイを従わせるだけの力を持っているのさ。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
桜吹雪のお奉行様は、完全な創作物で、実際は、現代で言う「社畜」状態な毎日だから、あんな抜け出す時間は無いみたいで、過労死で早死になる可能性が1番高い職業だったらしいです。




