表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/97

あの者は化け物か!

良い人なのに、話を聞かない人って、居ますよね。

 2人の黒猫人族が目を覚ますまでの間に、リンから聞いた。

 どうやら、リンは族長の娘で、この2人は同じ集落の者だという事らしい。

 そして、集落を襲撃され、皆、散り散りに逃げたが、ある程度の人数が集まって新しい隠れ場所として、この森に逃げ込んだんじゃないかと、リンは思った様だ。

 まあ、その予想は当たりだろうな。


「はっ!」

「くっ、縛られたか……」

「ランガ、スーガ。聞いて。」

「リン様、すみません。」

「オレ達が弱かったばかりに……」


 ブチッ!


 あ、リンが切れた。


「……とりあえず、私の話を聞きなさい!」

「「はい!」」

「戻らない過去を悔いても仕方ありません。確かに私は奴隷になりましたが、善きご主人様に出会えました。そして、私に戦う力を、生きる為の知恵を頂きました。」

「本当ですか?」

「ええ。そして、ご主人様は、私が従者として命を預けるのに相応しい強者です。だから、今、私には不満はありません。」

「……分かりました。」

「リン様の意思を尊重します。」

「「だが!」」

「牙が折れようとも!」

「爪が折れようとも!」

「「リン様を泣かせたら殺す!」」


 愛されお嬢だな。


「……ランガ、スーガ。」

「リンは、愛されていたんだな。」

「今では、暑苦しく感じますが……」

「成長した証だよ。」

「……はい!」

「それじゃあ、皆の所に案内してくれないか?」

「ランガ、スーガ、お願い。」

「リン様が言うのなら。」

「リン様が望むのなら案内します。」


 ランガとスーガの案内で隠れ場所に向かっているが、ちょっと嫌な考えが浮かんだ。

 ……当たらなければ良いけどな。

 予想よりもオークの数が多かったんだよな。


「何か、匂うな。」

「……鉄錆びの匂い?」

「まさか!」


 俺達が急いで向かうと、隠れ場所には沢山のオークが暴れていた。

 人命救助が優先だ!


「ハクガ! オーク共を皆殺しにしろ!」

「分かった。」


 その瞬間、全てのオークが苦しみだし、頭を上げた所を次々と首を刈っていった。

 そして、重症の者はその場で治療して、軽症の者は1ヶ所に集めて、纏めて治療した。


「皆の纏め役は誰?」

「私です、リン様。」

「フーガも生きていたのね。」

「はい。」

「この場に全員が揃っている?」

「はい。その筈です。」

「フーガ! マリが居ない!」

「リラもだ!」

「ラナも居ないぞ!」

「クロード!」


 クロードが、手を地面に触れて1分程で手を地面から離した。


「分かったのじゃ。……此処から南方に10分程行った所に居るのじゃ。」

「レキウス様!」

「助けに行くぞ!」

「はい! ランガとスーガも一緒に。」

「「はい!」」

「クロード、此処の守りを頼む。」

「分かったのじゃ。」


 そして、俺達はオーク共の血抜きを頼み、森の奥に進むと、オークの集落が有った。


「ハクガ、オーク以外の者が居る場所を読んでくれ。」

「分かった。」


 ハクガは右人差し指を伸ばし天を刺す。


「分かったぞ。あの1番奥の小屋に居る。」

「良し。それなら、シュナは建物だけを灰にしてくれ。

 オーク共が姿を現したら殲滅するぞ。後、1番強いオークは俺が倒す!」


 そう言うと皆が頷いた。


「シュナ、やってくれ。」

「任せな。」


 シュナがそう言って、自身の前方に優雅に右腕を伸ばし指を鳴らす。

 その瞬間、此処から見える全ての建物がいきなり白い炎で燃え出し、数秒で燃え尽き灰にした。


「プギッ!」

「フゴッ!」


 いきなり小屋が燃え尽きて灰になった事でオーク共は混乱しているな。


「オーク共が混乱している内に畳み掛けるぞ! そして、ヒナとリンは俺と一緒に。ハクガ、セイル、シュナは、雑魚のオーク共を頼む。ただ、出来るだけ綺麗に残してくれ。後で利用する。」

「レキの背中は私が守るわ!」

「はい!」

「分かった。」

「了解した。」

「任せな!」


 俺達は一斉に駆け出す。

 そして、オーク共も俺達を認識して、襲い掛かって来たが、俺は雷撃弾(ライトニングバレット)をオークの頭に撃ち込んでいく。

 因みに、何も言っていないランガとスーガは俺達の後を付いて来ている。


「凄まじい精度を誇る魔法だ。」

「しかも、無詠唱で……」


 そして、俺達は1番奥に到着した。

 小屋に居たオークは3匹で、その内2匹は雑魚のオークよりも頭1つデカくて、もう1匹は更にデカい。

 多分、2匹の方がハイオークで、残り1匹がオークジェネラルだろう。

 それに、オークジェネラルの後ろにまだ小さい3人の黒猫人族が居た。


「ヒナとリンが協力して2匹を、俺があのデカブツを倒す。」

「分かったよ。」

「はい、レキウス様。」

「リン様、我々も!」

「いえ。ランガとスーガは、隙を見て、マリ、リラ、ラナを助けてください。」

「分かりました。」

「我々にお任せください。」

「皆、行くぞ!」


 皆、俺の掛け声で一斉に向かった。


「ブギィ!」


 ヒナとリンは、先ず、ヒナが早々にハイオーク1匹をあっさり倒して、残り1匹をヒナは補助に廻って、リンに相手をさせるみたいだな。


 さて、ランガとスーガに俺の強さを証明するか。

 先ずは、武器が強いから勝てたと言われない様に、最初は拳で行くか。


「言葉は通じないだろうが、拳で語ろうか。」

「ガァ!」


 俺はオークジェネラルに大斧を躱しながら、魔力を拳に足に込めて叩き込んだ。


「……あの者は化け物か!」



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。


ハクガのした事は、風と言うよりも空気を支配し、声等の音の振動を読んでいました。

指を天に指したのは、単なる見栄であり演出です。

シュナも同じ理由で、指を鳴らした訳です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ