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と、いう事は私も?

お目付け役リン、爆誕!

 俺とヒナは、今後の話をしていた。


「レキ。あの()はどうなの?」

「ああ。大分良くなって一般常識も覚えたと聞いているよ。」

「そうなの。良かったわ。」

「だから、この後、会おうかな、と思っている。」

「良いんじゃないかな。」

「それじゃあ、一緒に会いに行こうか。」


 俺達は、応接室に行くと、既に、アンナと黒猫の獣人が待っていた。

 そして、アンナが立ち上がり、少し遅れて黒猫の獣人が立ち上がった。


「お待ちしておりました、レキウス様。この娘が、オークションで購入された奴隷の『リン』です。」

「初めまして、ご主人様。黒猫人族の『リン』です。」

「皆、座ってくれ。」


 全員が座ると、控えていたメイドのレーネが紅茶とお菓子を置いていった。

 俺は一口紅茶を飲む。


「うん。美味しい。」

「ありがとうございます、ご主人様。」

「あ、俺の事はレキウスと呼んで欲しい。」

「畏まりました、レキウス様。」

「それと、この事は他のメイドや皆にも周知して欲しい。」

「畏まりました、レキウス様。」

「でも、本当に美味しいわね。」

「ありがとうございます、ヒナセーレ様。」


 お互いに喉を潤した所で話に入った。


「改めて自己紹介をさせて貰うよ。俺の名はレキウス=フォン=レイロードで、この国フォルビアの子爵位の貴族だ。そして、隣に居るのが……」

「正式にはまだ告知してないけど、婚約者のヒナセーレ=レイビィアよ。よろしくね。」

「そして、俺達はCランク冒険者でもある訳だ。

 それで、リン。アンナからは一通り聞いているけど、何か聞きたい事とか有るか?」

「アンナから奴隷の立場は聞いた。だけど、私は、誇り高き黒猫人族だ。だから、私より弱い者には従わない!」

「分かった。地下の訓練所に行こう。」


 こうして、俺達とリンとアンナとレーネに、執事のゴハスが一緒に付いて来た。

 まあ、執事としては知って貰った方が良いしな。


 地下の訓練所に到着した俺は扉の近くに有る魔石に魔力を流すと一斉に照明の魔道具が反応して光り輝く。

 そして、全員が中に入ると、アンナの案内でリンは着替える為に一緒に隣接する個室に入っていった。

 俺も着替えに違う個室に入る。


 俺が個室から出ると、リンは軽く身体を伸ばしていた。


「それじゃあ、始めたいけど、武器は何が良い?」

「短剣を2本。」

「分かった。」


 そう言うと、アンナが奥から訓練用の短剣を2本持って来てリンに渡す。


「ありがとう、アンナ。」

「俺は刀だな。」


 そう言うと、アンナがまた奥から訓練用の刀を持って来て俺に渡した。


「準備は良いか?」

「はい。」

「それじゃあ、始めようか。」

「それでは、両者準備は良いですね。……始め!」


 アンナが宣言した瞬間、リンは身体を低く保ったまま俺に接近する。

 ……速いな。

 俺は刀の長さを利用して牽制するが、リンは読んでいたのか、軽々と躱して、短剣の長所を生かした連撃を始めた。

 俺はそれを躱したり防ぎながら、リンの動きや技術を視た。

 うん。

 誰が教えたか分からないけど、基礎はしっかりやっているな。

 それに、動体視力に反応速度も素晴らしい。

 まだ12歳ぐらいと聞いていたけど、充分に筋肉も付いているし、体力もその身体にしては有る。

 リンは充分に俺達と一緒に冒険者をやっていけるな。

 ……さて。

 頭と心は勿論だけど、本能の方にも俺が上だと教えないと……


「くっ……」

「リン! しっかり気を持てよ!」

「何を……!?」


 俺は少し魔力を解放する。

 すると、リンの可愛い猫ミミと尻尾が総毛立ち、その後、短剣2本を静かに置き、土下座して……


「参りました。」

「勝者レキウス様!」


 俺は魔力の解放を止めると、リンの前に行き、片膝を着いてリンに言葉を告げる。


「リン。」

「はい、レキウス様。」

「俺が強いって認めてくれた?」

「はい。黒猫人族のリン、魂と生涯を賭けて絶対の忠誠と共にレキウス様に従います。」

「うん。そこまでの重い覚悟は必要ないけど、これからよろしくね。」

「はい、レキウス様。」


 俺とリンの間に穏やかな空気が生まれたが、それを壊す者が現れた。


「はい! 次は私よ!」

「え!?」

「ヒナもやるのか?」

「当然よ。私も一緒だからね。」

「ヒナセーレ様は戦えるのですか?」

「勿論よ。私だってCランク冒険者なんだから。」

「……レキウス様。」

「大丈夫だ。ヒナも見かけ以上に強い!」

「……分かりました。」


 わぁ。

 見事な対比だな。

 薙刀を持つヒナはアウトレンジで、短剣を持つリンはショートレンジ。

 リンは当然考える筈だ。

 懐に入れば勝てると。

 普通に考えればそうだよな。

 でも……


 結果は、ヒナの圧勝!

 実はヒナも直接的な交渉とかは無かったけど、あの時に、女神リアーシアからチートとも言える「女神リアーシアの愛し子」という加護を受けていた訳だ。

 ヒナの強さは既にフォルビア王国の騎士団長並みで、切っ掛けは王都に戻ってからモンスターの討伐に行ってみたら、ヒナが理由や原因も無く圧倒的に強くなっていた。

 ヒナの強さに疑問に思った俺は神殿に行き、駄女神に確かめに言ったら、「愛し子」という加護の事を聞いた。


「ヒナには、私の加護『女神リアーシアの愛し子』を与えた。因みに、神殿の連中に加護の事がバレたら『聖女』に祭り上げられるだろうから、気を付けろよ。」


 ……と、駄女神に言われた。


「ヒナセーレ様。感服いたしました。」

「じゃあ、私の事も認めてくれる?」

「はい、勿論です。」

「良かったわ。」

「それでは、リンの待遇が決まった。リンは、今後は俺達と一緒に冒険者になって貰う。後、余裕が有る時は、アンナにメイドの仕事を教えて貰うと良いよ。メイドとしての知識や技術は何処に行っても邪魔にならないからね。」

「はい。分かりました、レキウス様。」

「アンナもそのつもりで。」

「畏まりました。」

「後、リンもこれからは冒険者仲間になるのだから、『様』は付けなくて良いぞ。」

「いえ、それは出来ません。私の誇りが許しません。」

「……分かった。」

「と、いう事は私も?」

「はい。ヒナセーレ様。」

「……仕方ないか。」


 それから1ヶ月後、リンはCランク冒険者になった。


暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。


一応、解説。

強い順に、「使徒」、「愛し子」、「加護」、「祝福」になります。

この世界の聖女認定の最低条件が、「祝福」持ちである事です。

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