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レキウス様、お願いします。

再会のボーイ・ミーツ・ガールの日も近い。

 王都へ向かう馬車の中で、俺はライロード前公爵の妹ソフィアの遺品である指輪を見ていた。

 指輪の内側には「ソフィア=ネイス=ライロード」と刻まれている。

 更に、対になる様に「ライザー=フォン=レイロード」の名前が刻まれており、この2つの意味を知っているのは、ライロード公爵家とレイロード辺境伯家共に当主と直系のみになる。

 出発の時に渡された物だ。

 お祖父様にとっても大切な物だろうに。

 俺は、指輪を異空間収納に仕舞う。


 因みに、この馬車は、レイロード辺境伯の紋章を付けた正式な馬車だ。

 だから、基本的には邪魔されない筈だけど、……あれ、止まった?

 外から聞こえてくるのは、「金を寄越せ!」や「男は殺せ!」とか「女は捕まえろ!」だったりする。


「レキウス様、お願いします。」

「分かった。」 


 馬車の外に出ると、「なんだ男か。」とか「男なら殺せ!」とか言っている。


「通行の邪魔なんだけど?」

「今は通れねぇなぁ。通りたかったら、着ている服以外を置いてから行きな。」

「つまり、盗賊か。」

「だから、どうした!」

「なら、死ね。エアカッター。」

「あん。何を……」


 物が落ちて地面に当たった音が8つ。

 良し、盗賊は1人除いて全滅と。

 赤い水を流す丸い物は専用の袋に入れて、それをお祖父様に買って貰ったマジックバッグに入れて、残った盗賊だった物から換金出来る物と現金を回収して、土属性魔法で開けた穴に捨てて焼却後に土を被せる。

 残しといた最後の盗賊にアジトの場所を教えて貰って行くと、盗賊のアジトには捕まった人は居なかったから貯めていた財宝を異空間収納に仕舞う。

 勿論、最後にアジトを聞き出す為に残した盗賊も同じ処理を済まして出発だ!


 馬車の中に戻った俺に、学園卒業までの期間限定の専属侍女が話し掛けた。

 継承権は無いけど、一応は、レイロード辺境伯家の者だから専属侍女が就いた。


「レキウス様、お見事でした。」

「ありがとう、アンナ。」

「しかし、レキウス様、魔法がお上手になりましたね。」

「まあね。幾ら全力とはいえ、初級魔法であんな大穴が空くとは思わなかったからな。」

「……そうですね。」


 それと、盗賊討伐はもう経験済みなんだよね。

 過保護なダラン達が、「オレ達が居る内に経験させる。」とか言って、少しでも俺に掛かる負担を減らそうとしてくれたんだ。

 だから、今じゃあ、平気だ。 

 アンナが馬車の小窓から何かを悟った顔をして遠くを見ている。


「王都の冒険者ギルドってどんなかな?」

「外装や内装にも気を付けていると聞いた事がございます。」

「そうなんだ。」


 そんな事を話しながら、俺は異空間収納から出した冒険者ギルドのギルドカードを見る。

 そのカードには、「Dランク」と表示されている。

 そう。

 既に俺は冒険者になっていて、規定年齢の11歳になったその日になりました。

 最初はダラン達の保護者付きだったけど、最初の3回だけで、後は俺1人で行った。

 最初は、農家の手伝いから始め、草刈りや荷物運び、治水工事の工夫をしたり、Eランクになれば、街の外に出て薬草採取をしたりモンスターを討伐したりして、自力でDランクになった。


 馬車に揺られて1週間


 遂に王都に到着した。

 貴族専用の門を通って見る王都は凄かった。

 王城は王都で1番大きい建物の筈なのに、遠くの方に小さく見えるんだから、流石は王都だなぁ。


 因みに今の俺の格好は、貴族としての服を着て、腰には辺境伯家専属の鍛冶師に打って貰った逸品を差している。

 お祖父様には剣を勧められたが、俺は刀に(こだわ)った。

 ……拘った理由は、何故か自分でも分からない。


 本来なら、そのまま王都の屋敷に向かうんだけど、マジックバッグに入れた生ゴミを片付けたいから、先に門の詰所に向かった。


 詰所の衛兵は貴族としての俺を見て緊張していたけど、温和な笑顔で手続きを始めた。

 合計で大銀貨2枚になった。

 国益に僅かながらの助力が出来て嬉しいな。


 さて。

 生ゴミは片付けたし、今度こそは屋敷に向かった。

 ……ん?

 今、ヒナちゃんみたいな黒髪の女の子が見えた様な。

 まあ、慌てなくても良いか。

 俺はヒナちゃんと同じ王都に居るんだから。


 屋敷に到着すると、執事やメイド達が並んで待っていた。


「初めまして、レキウス様。私はこの屋敷の管理を任せられている執事の『セウス』と申します。」

「初めまして、レキウス様。私はこの屋敷のメイド長を任せられた『へーラ』でございます。」

「初めまして、レキウス様。私はこの屋敷の料理長を任せられた『セポネ』と言います。」

「後は追々、知って頂きたいと思います。」

「それじゃあ、俺からも改めて自己紹介したいと思う。

 レキウス=フォン=レイロードだ。学園に通っている間だけになると思うがよろしく頼む。そして、後ろに居るのが、俺の専属侍女のアンナだ。」

「よろしくお願いします。」×全員

「レキウス様。それでは、お部屋の方をご案内いたします。」

「分かった。」


 その日の夜


 綺麗な部屋だし、夕食も美味しかったし、お風呂も広くて良かったぁ。

 ……そういえば、屋敷に着いたらお祖父様が読む様に言われた手紙が有ったよな。


【王立学園の理事長と学園長は、儂の親友じゃ。レキウスの事をしっかり伝えておいたから安心して入学試験に挑みなさい。

 追伸、白金貨3枚までなら出すが、それ以上の出費を入学試験中に出したら、自分で払う様に!】


 ……はい!?

 お祖父様、何を書いているんですか!

 そんな事が無い様に、イグル達からみっちりと「魔力制御」と「魔力操作」を頑張ったんだ。

 だから、お祖父様の不安は杞憂(きゆう)だよ。

 ……でも、念のために盗賊のアジトから没収した物品を現金化しておこう。

 序でにヒナちゃんがお世話になっている商会でやろうっと。

 そうと決まれば、明日、場所を調べて貰おう。



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。


現段階では、主人公は現地人なんで、盗賊への慈悲はありません。

この世界の黒髪は珍しくありません。

そして、闇魔法への忌避も無い為に差別もありません。

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