レキはお人好しなんだから。
オークションに出される商品は、その希少性から高額になりますよね。
最初は、国外からの奴隷で、隣の「サリアベルグ帝国」に戦争を仕掛けた他国が負けて、結果的に亡命しようとしたが失敗して奴隷となった大臣の家族や、伯爵家の令嬢とか、未亡人になった将軍の夫人とかが出てくるが、他国からの「訳有り」は流石に面倒臭いと思っているのか、安く落札されている場合もあった。
……う~ん。
上から目線の偽善になるけど、伯爵令嬢を金貨270枚で未亡人を金貨200枚で購入した。
「レキはお人好しなんだから。」
「まあ、別に良いだろう。基本的には奴隷の扱いなんて酷いだろうから、俺達の方がまだマシだろ。」
「……そうね。」
「未来の管理責任者さん、頑張ってね。」
「……レキのバカ。」
そんな感じでヒナを赤面させながら国外奴隷の出品は終わり、最後は国内となった。
「いよいよ、終わりが近付いて来ました! 此処からは国内の特殊奴隷になります!」
今回は、最初の方は先のクーデターに関わった貴族の女性達が出品されていた。
因みに男性は鉱山労働行きで、働けない年配は毒杯で、13歳以下は孤児院行きだと聞いている。
クーデターに因って堕とされた女性が全て終わると、今度は領地の飢饉に因って背負った借金が返せず奴隷になった男爵家の母娘で、終わった後、休憩の時に聞いた貴族の娘が出品された。
「次は、侯爵家嫡男の婚約者だった伯爵令嬢なのですが、裏で行っていた悪行が露見して婚約破棄され、家族からも追放された伯爵令嬢です。侯爵家嫡男に嫁ぐ予定でしたので、礼儀作法とかは問題ありません。背中に目立つ傷がありますが完治しております。
それでは始めましょう! 金貨50枚からです!」
「金貨60枚!」
「金貨80枚!」
俺は、後ろで控えているゴハスに聞いた。
「ゴハス、良いか?」
「レキウス様が決められたのなら問題ありません。」
次は隣に座っているヒナに聞いた。
「ヒナ、良いか?」
「背中に傷があるという事は虐待の可能性が有るよね?」
「聞いてみないと分からないけど、可能性は否定出来ないな。」
「それなら助けよう、レキ。」
「分かった。」
皆と話している間も進行していたけど、婚約破棄したのが侯爵家嫡男という事で、あまり金額は上がっていなかった。
「金貨210枚が出ました。他に居られませんか?」
「金貨250枚だ!」
「金貨250枚が出ました!」
「金貨280枚!」
「金貨400枚だ!」
「金貨400枚が出ました!」
「金貨410枚!」
「金貨450枚だ!」
「……」
「金貨450枚が出ました! ……他に居られませんか?」
「……」
「それでは、11番の金貨450枚で決まりました。」
因みに、この「11番」とは、俺達の居る席番で、フローラのお父さんである現ライロード公爵からの子爵に叙爵された祝いで今回譲って貰った。
次は、先程とは違う侯爵令嬢が出品された。
解説を聞くと、婚約者が隣の友好国の伯爵家嫡男だったのだが、最後の一線は越えてはいないが、王都で平民と逢い引きをしていてキスをしている所を父親と婚約者の父親に見られて婚約破棄されて、政治上の理由もあって奴隷に堕とされたらしい。
……どうやら、これが最後みたいだな。
「これにて、オークションは終了……………………………………………ではありません!」
はい!?
「緊急入荷した奴隷を出品したいと思います!」
「レキ、どういう事かな?」
もしかして……
「私も片手で数える程しか見た事がございません!
なんと! 絶滅したとも言われていた幻の獣人族の、『黒猫』の獣人族の娘です!」
……やっぱりな。
「もう、2度と出会えないかもしれない幻の黒猫の獣人族を金貨100枚からです!」
「金貨150枚!」
「金貨180枚!」
「金貨200枚!」
「ゴハス、良いか?」
「問題ありません。レイロード家とライロード家を敵に回す愚かな貴族は居ないでしょうから。」
「ヒナ、良いか?」
「可愛いは正義!」
「……分かった。」
話している間に競売は進んでいた。
「金貨8000枚!」
「金貨10000枚!」
「金貨15000枚!」
「金貨20000枚!」
「金貨20000枚が出ました! 他に居られませんか?」
「金貨21000枚だ!」
「金貨22000枚!」
「金貨25000枚だ!」
既に、参加しているのは、俺達ともう1組だけで、見ると肥えたオッサンだった。
外見だけで判断したら、絶望的な未来しか無いな。
「金貨26000枚!」
「金貨30000枚だ!」
「……」
わあ。
口元が歪んでいるわ。
「他に居られませんか? ……それでは11番の金貨30000枚で決まりました!」
会場の舞台を見ると、既に絶望しているのか黒猫の獣人族の娘に反応は無かった。
「これにて、オークションは終了しました。次回もご参加して頂ける事をお待ちしております。」
俺達は混雑を避ける為に少し待ってから移動を開始した。
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