閑話~回想
転生への乗り物が車かダンプではありきたりなので違うのにしました。
今、高校2年の四方院歴弥だ。
我が家の家系図はかなり古く、平安時代まで有る上にあの「安倍晴明」の血を引いているとか。
……本当なんだろうか?
俺自身は信じていないが、家系図を見ると一応は繋がっている。
家族構成は、父親側の祖父と祖母に、両親、2歳上の姉、2歳下の弟に3歳下の妹と暮らしている。
「……弥。聞いている?」
「と、悪い、日向。」
「もう。ちゃんと聞いてよね。」
「ごめん。」
この隣に居る黒髪ストレートでポニーテールの平均体型の女の子は、俺の幼馴染みで、親同士が決めた許嫁だ。
正直、今では両親に感謝している。
中等部の時に色々有ったが、それが切っ掛けでこうして日向と片想いから相思相愛になったから。
因みに日向こと、西条日向も実は安倍晴明の血を引いている。
要するに、俺が本家で、日向が分家、という立場だ。
勿論、今となってはそんな事は関係ないがな。
「それで、歴弥は、来月の誕生日プレゼントに何か希望は有る?」
「そうだなぁ。日向、とか?」
「歴弥。それは結婚式を済まして夫婦になった時にって決めた事でしょう。ちゃんと考えてよ。」
「ごめん。」
日向はちょっぴり考え方が古風で、結婚式をそう考えているみたいで、それ以外なら結構色々とやっている。
お互いの家でのお泊まりや、宿泊込みの両家での旅行では俺と日向は同じ部屋だったりする。
まあ、お泊まりの時は、翌日は寝不足になるがな。
日向は、……熟睡している。
それと、ネズミの王国の年間フリーパスを持っているから2ヶ月に1回以上は2人で行っている。
「それなら……」
「歴弥、危ない!」
……その時、俺が思った事は日向を守る事だけだった。
此処は何処だ?
周りを見ても満面の星と平安時代の様な日本家屋だけだ。
あの時、俺と日向は暴走していたクラシックカーに轢かれそうになって日向を庇ったまでは覚えているのだが……
「まあ、死亡したという事だな。」
「誰だ!」
そう言った瞬間、気付けば俺は、先程見た日本家屋の中に居た。
「先ずは自己紹介をしよう。私は女神のリアーシアだ。」
「はあ? あんた、頭は大丈夫か?」
「ああ。妄想癖からくる虚言でも、バラエティー番組のドッキリでもない。正真正銘、私は女神で、四方院歴弥はあの暴走したクラシックカーに轢かれ死亡した。」
「……それなら、日向は?」
「安心しろ。お前が命を捨てて助けた女はかすり傷1つだけで無事だ。」
「良かった。」
「さて。これからの話をしようか。」
「やっぱり、俺は死んだのだな?」
「ああ。それで今後だが、俗に言う異世界転生に決まった。」
「はあ!?」
「拒否権は無いぞ。」
「どういう事だ?」
「簡単に言えば、先祖返りの四方院歴弥は、かの『安倍晴明』と同等の素質を持ち、西条日向との間に生まれる子の未来が、実験動物一択の為、それなら、その素質が目覚めた場合に問題無い異世界転生になった。」
「そうなのか?」
「まあ、ツッコミ所は沢山有るが、神様だから、と諦めてくれ。後、中学時代も知っているから猫を被らなくても良いぞ。」
「ちっ。それなら、分かっているよな? 異世界で生きていけるチートが欲しい。」
「ああ。勿論だ、と言いたいが、四方院歴弥の場合は規格外のチートを与えなければならない。」
「どういう事だ?」
「例えで言うと、エンジンはレーシングカーでそれ以外は軽四。どう思う?」
「……歪だな。」
「そうだ! 四方院歴弥に対して、こういう場面で与える普通のチートでは無理が発生する。」
「つまり?」
「魂が持つ器が化け物な為、与えるチートも規格外にする必要がある!」
「……はあ!?」
「先ずは、全属性魔法と戦闘力の両方を限界突破に、それに付いていける肉体に、召喚術だな。」
「何? その将来は化け物確定みたいなチートは?」
「言ったろう。規格外のチートだと。」
「それなら、何故、召喚術が入っている。」
「先祖返りだよ。」
「先祖返り?」
「もう良いぞ。出て来い。」
「え!?」
目の前の女神リアーシアと名乗る女がそう言った瞬間に、俺から何かが現れた。
「初めまして、だな。我らは地球で言う所の四方将神だ。そして、オレは西の将神の白虎だ。」
「私は東の将神の青龍だ。」
「アタイは南の将神の朱雀よ。」
「儂は北の将神の玄武じゃ。他にもまだ居るが眠っておるようじゃ。」
白虎と名乗る男は、2mは有る男で筋骨隆々な中国拳法系の外見で、顔はワイルド系の髪の長さは普通だが白と黒で瞳の色が琥珀の、そのまんまホワイトタイガーを擬人化した様な男だ。
青龍と名乗る男は、白虎程高くないが高身長の190cmくらいで、日本の侍みたいな細マッチョな外見の、顔は少女漫画に出てくる様な綺麗系イケメンで、瞳の色と髪の色は青色の腰まで有るストレートだ。
朱雀と名乗る女は、白虎や青龍よりも低いが身長は180cmくらいあって、戦巫女を連想する外見で、巨乳って程ではないが、見事なプロポーションの、顔は凛々しい系の瞳の色と髪色も朱の長髪のポニーテールで少しウェーブが掛かっている。
玄武と名乗る男は、身長は160cmくらいで「お爺さん」が似合う外見が仙人みたいだ。顎の髭も地面に付きそうなくらいで髪の色は黒くて先が地面に接している。
「よろしくな、レキヤ。」
「これからよろしく頼む、レキヤ。」
「これからよろしくな、レキヤ。」
「よろしく頼むのじゃ、レキヤ。」
「あ、ああ。」
「さて。自己紹介も終わった事だし、異世界転生行こうか。後、四方将神の召喚術は覚醒すれば自動的に出来る様になっているから心配するな。では、良い転生を。」
「待て! まだ話は終わって……」
そう言った時、女神リアーシアは笑っていた様に見えたが、視界はホワイトアウトして意識は途切れた。
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