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パーティーを組もう。

いよいよ、レキ達の冒険譚が始まります。

 俺達は今、街から街に移動する乗り合い馬車に乗っている。

 この手の乗り合い馬車は、冒険者と名乗ると、賃金が半額になる。

 その代わり、面倒事は引き受けないといけないけどね。

 今の様に!


「ヒナ、そっち!」

「うん。氷牙弾(アイスバレット)!」

「こっちも、風刃(ウインドカッター)!」


 俺はイグルから教わった早く終わる血抜きをして、俺達の馬車を襲った森狼(フォレストウルフ)5匹をマジックバッグに仕舞う。


 ヒナも、盗賊狩りを乗り越えて、すっかり精神的に強くなって俺は嬉しいと思う。


 さて。

 俺達が向かっているのは、「都市アガサレア」の中継地の町「ガリサリヤ」だ。


 そして、午後3時頃にガリサリヤに到着した。


「着いたね、レキ。」

「そうだな、ヒナ。」


 とりあえず、俺達は今日の宿屋を選び部屋を取って、散策を始めていると声を掛けられた。


「ねえ、君達。」

「俺達か?」

「そうよ。見た所、冒険者よね?」

「そうだけど。」

「それなら、私と組まない?」

「何故?」

「……勘、かな。」

「さようなら。」

「待って! 正直に話すから。」


 彼女の外見は、茶色の少しウェーブが掛かった髪を頭の後ろで1つに纏め、その先が肩に当たるぐらいで、目の色は緑色で凛々しい顔だ。

 体型は、まあ、大人だな。

 多分、18歳くらいじゃないだろうか。

 武装は、背中に槍を背負い、腰の左右に短剣を差している。

 そんな彼女に案内されるまま、喫茶店に入り、個室を使う事になった。


「付いて来てくれてありがとう。改めて自己紹介するね。私の名前は『シリン』で、Cランク冒険者よ。」

「レキウス。Cランク冒険者だ。」

「ヒナセーレ。Cランク冒険者よ。」

「凄いわね。その年でCランクなんて。」

「それで?」

「えっとね……」


 話の内容が、彼女シリンはどうしても欲しい薬草があるのだが、その薬草はパーティー3人以上が条件の依頼で、シリンは1人な為に今まで受ける事が出来なかった。

 そんな時に、人が良さそうな2人組が居た事で声を掛けた、という事だ。

 要するに俺達な。

 それと、シリンの戦い方は、基本的には後衛から回復魔法や支援魔法を使うが必要となれば前衛も担当する万能型だ。


「ね。お願い。この依頼を受けないと、その薬草が群生する場所を知る事が出来ないの。」

「そんなに必要か? その薬草。」

「……私の仲間が特殊な毒に侵されていて、その薬草が必要なのよ。」


 もっと詳しく聞くと、シリンを含めたパーティーは4人組で、普通の討伐依頼を受けて森に入ると次第にシリン以外の仲間の調子が悪くなり、最後は意識を失ってしまったのだが、偶然に出くわした他の冒険者パーティーに助けられ、調べた結果、足に噛まれた跡が有り、これが原因という事で更に詳しく調べると、この辺りには無い毒で、どうやら突然変異で誕生したモンスターだろうという事で落ち着いた。

 冒険者ギルド所属の治療師に()て貰えて解毒剤に必要なレシピを教えて貰えたが、必要な薬草が最低限3人以上のパーティーじゃないと入れないダンジョンに生えている薬草だと分かった。

 しかも、それなりに危険な場所な上に、あまり旨味が無い場所な為に引き受けてくれる冒険者パーティーは居らず、途方に暮れている時に現れたのが俺達、という訳だ。


「どうする、ヒナ。」

「私は受けても良いと思う。万が一に備えて、私達の分の薬草を持ってた方が良いと思うよ。」

「そうだな。」

「……それじゃあ?」

「パーティーを組もう。」

「ありがとう。」


 笑顔のシリンが早く行こうと急かされ、俺達は冒険者ギルドに向かった。


「そう言えば、レキウス達は何処から来たの?」

「王都からだ。」

「それなら知っているかな。」

「何を?」

「王都で、単独でドラゴン討伐を達成した冒険者が最近現れたらしいけど、知っている?」

「さ、さあ?」

「なんでも、二つ名が付いて『竜勇者(ドラグブレイヴァー)』で呼ばれているんだって。」

「へ、へえ~。」

「きっと、強くて格好良くて身長も高くて、顔も良くて優しい人なんだろうなぁ。」

「ふ、ふ~ん。」

「レキウス、何か顔色が悪いけど大丈夫?」

「だ、大丈夫だ。それより早く冒険者ギルドに向かおう。」

「え、ええ。」


 無言だったヒナがニマニマしているのをスルーして、俺達は冒険者ギルドに向かい到着した。

 そして、一時的なパーティー申請をして受理され、シリンが欲しがっていた依頼を受ける事が出来て、ギルドから詳しい説明を受けて明日行く事にして、今日はシリンと同じ宿屋に泊まった。

 まあ、節約でヒナと同じの2人部屋になった。

 ……他意は無いぞ。



 翌日


 俺達は、ダンジョンに到着して例の薬草を求めて階層を降りて行く。


「レキ。例の薬草は、17階層の砂漠で良かったのよね?」

「ああ。この17階層の砂漠には、倒すのが面倒臭いのに、手に入る素材は何処にも売れないし、魔石も安く買い叩かれるサンドワームが出て来るハズレ階層だ。」

「しかも、目的の薬草も高く売れないのよね、レキ。」

「そうだ。それなのに、冒険者達の死亡率が高い為、皆、通り過ぎる訳だ。」

「それなのに、一緒に来てくれて、ありがとう、レキウスにヒナセーレ。」

「まあ。昨日もヒナが言っていたが、俺達もその毒に対抗する為の解毒剤が欲しいしな。」

「だから、気にしないでシリン。」

「ありがとう、2人とも。」



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