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冒険への旅立ち。

いよいよ、主人公の旅立ちです。


 また聞こえた!?


(仕方ねぇから、力を貸してやるよ。)


 俺達は助かるのか?


(当然だ。我が力を貸すのだからな。)


 分かった。

 俺はとりあえず、転がっていた土帝邪竜ドゴリアスの首級(しるし)をマジックバッグに仕舞うと、皆を集めた。


「どうするのだ?」

「レキ、大丈夫?」

「レキウス、どうするつもり?」

「何とかしてみるよ。」


 そして、土帝邪竜ドゴリアスは爆発した!


(叫べ! 『裂衝絶空域(シルフィード・サンクチュアリ)』と。)


裂衝絶空域(シルフィード・サンクチュアリ)!」


 俺がそう言った瞬間、俺達の周りを半透明な緑色の煌めく球体が包んだ。


 ゴゥ!


 そして、凄まじい爆発と爆風の後に残ったのは、無事だった3階層と、天井に広がる大きな青空だった。


(うし。上がるぞ。)


 え!?


 俺達4人は、半透明な緑色の球体の中に入ったまま、球体が浮き、上昇して地上に戻った。

 そして、球体は消えた。


(早く、我らを喚べる様にな、レキヤ。)


 だから、俺はレキヤじゃねえ!

 ……消えたか。


「レキウス、凄まじいな。」

「流石、レキだね。」

「レキウス、流石ね。」


 正確には俺じゃないから、何か恥ずかしいな。


「アリウス殿下ー。」

「おお。皆も無事だったか。」

「はい。妻のカレナのお陰です。」

「私共も驚きましたよ。地震が起きた後、急に此処から離れないといけない、と言い出したのですから。これが、前宮廷魔術師長の娘だけなら、却下でした。」

「そうだな。流石に、騎士団長の夫人としての言葉なら動かなかったでありますな。」

「まあ、その為の『危険感知』ですから。」

「うむ。カレナ夫人も皆もご苦労であった。そして、代々続いた伝統も私が最後だ。」

「どういう事ですか、アリウス殿下。」

「うむ。詳しい事は王城で話そう。」

「それでは、私達も帰ります。」

「何を言っておるのだ。当事者が、このまま帰れる訳がなかろう。当然、最後まで付き合って貰うぞ。」

「……はい。」

「レキ、頑張ろう。」

「レキウス、諦めましょうですわ。」

「……そうだな。」


 あれから1ヶ月後


 あの日から2日間を、王城で宿泊しての事情聴取され、報告書の作成に追われた。

 土帝邪竜ドゴリアスの首級(しるし)を持っていなければ、後3日は延びていたらしい。

 ダンジョン跡地を調べた結果は、ダンジョンであれば有る筈のダンジョン・コアが無かったと報告された。

 多分、アスカの消滅で消えたか、土帝邪竜ドゴリアスが吸収したのだろうと言われた。

 それと、ダンジョン跡地は、土魔法で埋め立て、アスカリーナの功績を讃えるモニュメントが建てられ、王国が続く限りの禁足地になった。

 アリウス殿下が週に2回定期的に訪れては献花を捧げていた為、他の貴族も倣う様になって、今では花で溢れる場所になっている。

 そして、あの爆発が思っていた以上に周りの被害が大きくなっていて、学園が休校になった。

 俺達3人はというと、フローラは、これを機に花嫁修業が始まり、公爵家令嬢として社交界にも出る様になり、嫁ぎ先の領地の勉強も重なって大変だと、愚痴っていた。

 嬉しそうな顔をしていたけどな。

 ヒナは正直、俺達が一緒でも貴族だらけの学園は緊張していたのか、ホッとしていると言っていた。

 俺も、学園の休校を機に冒険を始めようと思い、お祖父様に許可を貰い、必要な所に今後の事を連絡をしたり、旅に必要な物を買う資金を稼ぐ為に連日、俺とヒナは冒険者ギルドに通った。

 あの日から3週間後に、俺とヒナはCランクの冒険者になる為の試験を受けたが、結果だけ言えば、俺達はCランクになった。

 ちょっとしたトラブルがあったが、まあ、今度話そう。

 それと、また何処から話を聞いたのか、リシュアが来て、「バカー!」と言って俺の頬を叩き帰っていった。

 屋敷の皆からは、残念そうな顔をして俺を見ていた。

 アンナからは、「レキウス様はもう貴族なんですよ。」と言われた。

 ……だから、何?


 そして、旅の準備が整い出発の日が来た。

 見送りに来てくれたのは、フローラ、ザーナク伯父さん、リシュア、アリウス殿下。

 特にアリウス殿下本人が来るとは思わなかった。

 フローラが一歩前に出る。


「レキウス、はい。」

「フローラ、コレは?」

「お祖父様とお父様におねだりして買って貰った大容量のマジックバッグよ。入っている物が頭の中に浮かぶ特注品よ。」

「ありがとう、フローラ。」

「きちんと、帰ってくるのよ。」

「ああ、分かった。」

「ありがとう、フローラ。」

「ヒナも、レキウスに飽きたら、いつでも言いなさい。

 良い男性を紹介するから。」

「おいおい、フローラ。」

「フローラ。そんな日は来ないよ。」

「それなら良いわ。」


 次はザーナク伯父さんが一歩前に出る。


「屋敷の事は安心しなさい。定期的に見ておくから。」

「ありがとう、ザーナク伯父さん。」


 次はリシュアが一歩前に出る。


「レキウス。きちんと帰って来なさいよね! もし、途中で死んだら私が殺すから!」


 リシュアはそう言うと、屋敷に走って行った。


 やっぱり、周りは残念そうな顔をしていた。


 最後にアリウス殿下が一歩前に出る。


「レキウス。出発の門出に立ち会えて嬉しく思う。

 さて。私からの餞別だが、頼まれていた物が間に合った。受け取ってくれ。」

「はい。」


 俺がそう言うと控えていた騎士が俺とヒナにある物を渡された。

 実は、あの日に、アリウス殿下がどうしてもお礼がしたいと言われて、俺は竜討伐で手に入れたドラゴンの素材で装備品一式を俺とヒナの分を作って欲しいとお願いした。

 俺の注文通りに装備品一式の外見は地味にして貰えて、服、防具品、武器、全てに、王家御用達の一流の各専門家に頼んだ一級品だ!


「素晴らしい出来です。ありがとうございます、アリウス殿下。」

「後、2つ贈り物がある。1つは、公式の場以外での、対等の立場を認める。」

「アリウス殿下、それは……」

「レキウス。此処は公式の場では無いぞ。」

「……分かったよ、アリウス。」

「それで良い。因って、私に会う場合に限り、王城の門はレキウスの前では開いている。」

「ありがとう、アリウス。」

「残り1つだが、先程の言葉を証明する物だ。」


 俺はアリウスから短剣を受け取る。


「……まさか!」

「ああ。私の紋章を入れた短剣だ。その短剣を出してする行いは私は認め、代行として行動をする事を認める。」

「アリウス殿下!」

「良い。」

「アリウス、本当に良いのか?」

「レキウスを信頼している。それに、レキウスは騒動に巻き込まれるみたいなのでな。その短剣くらい持たせないと、私が落ち着かん。持っていろ。」

「ありがとう、アリウス。大切にするよ。」

「ああ。以上だ。」

「それじゃあ、行くよ。」


 皆から見送られ、俺とヒナは冒険の旅に出た。

 さて。

 最初は、地力を付ける意味で半年くらい王都から離れるか。


「さあ。行こう、ヒナ。」

「うん。行こう、レキ。」



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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