望みは全て叶えよう。だから……
フルスロットルな主人公。
「レキ、大丈夫?」
「レキウス、勝算は有るんでしょうね?」
「勿論、大丈夫。」
「それで、どうするの?」
「此処がダンジョン、というのが強みかな?」
「どういう事、レキウス。」
「ダンジョンの壁や天井は、かなり頑強なんだ。だから……」
「だから?」
「俺が、攻撃魔法を全力で出せる。」
「「え!?」」
俺の後ろに、ヒナ、フローラ、アスカ、執事、アリウス殿下が居る事を確認して、と。
「先ずは、開始の合図代わりだ!」
「Gishaaaーーー!」
「喰らえ! 白炎爆裂二連撃!」
「「はい!?」」
「そして、魔法障壁。」
粉塵が視界を埋めている間に追撃だ!
「追加だ! 烈空氷煌刃!」
「Gishaaaーーー!」
「寒いか? なら温めてやる。裂空炎華刃!」
「Gishaaaーーー!」
「レキ、何て魔法?」
「烈空氷煌刃は、対象を竜巻で囲み視界を塞ぎ、刃と成った氷が対象を切り刻む魔法で、裂空炎華刃は、対象に華の乱舞の様な炎の刃で切り刻み、切り傷を焼く魔法だ。」
初めて喰らった合成魔法でそれなりにダメージを受けていれば……
「Gishaaa……」
「良し! 弱っている! 行くぞ、ヒナ! フローラ!」
「はい!」
「勿論よ!」
魔法攻撃四連で、弱ったお陰で、ヒナもフローラも土帝邪竜ドゴリアスの動きに対応出来ている。
俺1人だと討伐は難しかったけど、ヒナとフローラが入れば討伐が出来る!
「ヒナ、フローラ。竜尾撃とブレスに気を付けるんだ!」
「うん。」
「分かったわ。」
「付与、光属性。付与、氷属性。これで、ヒナの武器には光属性を、フローラには氷属性を付与した。」
これで俺達は少しずつだが、優勢になってきている。
このまま押し切れば……
「ヒナ、危ない!」
「あ……」
「がぁっ!」
「レキっ!」
「フローラ、時間を稼いでくれ!」
「分かったわ。私はこっちよ、デカブツ!」
良し。
フローラが時間を稼いでいる内に、刀を持っていない右腕を治療しないと。
「レキ、ごめんなさい。私の所為で右腕が……」
「大丈夫だ、ヒナ。」
「でも!」
「復元再生。」
「……え!?」
完全再生した右腕の感触を確かめた俺は立ち上がる。
「……レキ? その右腕は?」
「後で話すよ。」
「絶対だよ。」
「約束するよ。」
「レキウス、まだ!」
「ありがとう、フローラ。」
「レキウス! その右腕……後で話しなさいよ!」
「ああ。ヒナ! フローラ! 倒すぞ!」
「「はい!」」×ヒナ、フローラ
俺、ヒナ、フローラで連携しながら土帝邪竜ドゴリアスと戦い、最大限に警戒していたブレスも、俺の全力の魔法障壁と、ヒナの凍結障壁と、フローラの光芒障壁の重ね掛けで、乗り切った。
そして、ブレスを吐いた後の隙を突いて、止めの一撃を狙う。
「今だ! 黒雷月煌刃!」
「Gishaaaーーー……」
俺の黒雷月煌刃で、首を斬られ土帝邪竜ドゴリアスは死んだ。
「やったー!」
「やったね、レキ!」
「やりましたわ!」
「レキウス、良くやった!」
「おめでとう。」
「……そうだ! アスカ!」
「大丈夫ですか?」
「今直ぐに回復魔法を……」
俺は直ぐに回復魔法を掛けようとしたが、アスカに拒まれた。
「無駄よ。アイツが此処に現れた時、ゴッソリと力を奪われてしまったわ。それに、建国から500年。もう良いよね?」
「アスカ様、最後までお供いたします。」
「ありがとう、ヒューイット。」
「アリウス。」
「はい。」
「最期に、お願いが有るんだけど良いかな?」
「望みは全て叶えよう。だから……」
「私にこう言って欲しいの。『アスカリーナ。君と結婚出来て幸せだ。』って。」
「……分かった。『アスカリーナ。君と結婚出来て幸せだ。』」
「ありがとう、アーロン。私も……よ。」
「アスカリーナ!」
アスカの身体は、花が散る様に消えた。
「アリウス殿下。ありがとうございます。これでアスカ様は心穏やかに眠る事が出来ました。」
「ヒューイット……」
「以前、アスカ様は言っておられました。アーロン様との間に子が生まれたら、息子には『ヒューイット』に、娘なら『ビアンカ』と。」
「そうか。」
「そして、アスカ様は、言っておられました。アリウス殿下は、アーロン様に生き写し、だと。」
「……そうか。私は約束しよう。この地は、王国が続く限り禁足地にして、そなた達の安息の眠りを守る事を誓う。」
「ありがとうございます、アリウス殿下。それでは、私もアスカ様が待っておられますので失礼させて頂きます。」
「ああ。達者でな。」
そして、ヒューイットは静かに消えた。
「……3人共、大儀であった。」
「ありがとうございます、アリウス殿下。」
「レキウス。土帝邪竜ドゴリアスを回収して地上に戻りましょう。」
「そうだな。」
「……レキ。」
「何、ヒナ。」
「アレ、大きくなっていない?」
「……え!?」
「確かに、大きくなっているわ。」
「……確かに大きくなっている、というよりも、大きくなり続けていないか?」
「……まさか!?」
俺は魔力感知で土帝邪竜ドゴリアスを視る。
原因は分からないけど、どんどんと中で魔力が膨れ上がっている!
……駄目だ!
もう、間に合わない!
(仕方ねぇな。力を貸してやるよ、レキヤ。)
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
黒雷月煌刃
簡単に言えば、雷属性を付与した月牙天○です。




