坊主、受け取れ。
チート野郎への片鱗が。
おかわりは22時からです。
僕はダランさんに言われて籠を異空間収納に仕舞う。
ダランさん達は周りを気にしながら走って行くと、村に到着した……けど……
「……酷いな。」
「外側の焼け跡がないな。」
「騎士特有の足跡も新しいのは無いわ。」
「それに……」
「……皆……!? お父さん! お母さん!」
「ちょっ、坊主!」
僕は、ダランさん達の声を無視して僕の家に向かった。
「ハアハア。!?」
僕達の家はぐちゃぐちゃだ。
「……お父さん? ……お母さん?」
僕は必死に瓦礫となった家の欠片を退かしながら探した。
そして、一瞬、お母さんの顔が見えたけど、カリアさんが僕が見えない様にカリアさんの手で隠した。
「カリアさん、見えないよ。お母さんが……」
「ダラン。」
「おう。」
「ダラン、どう?」
「……」
「……そう。分かったわ。」
「イグル。お願い。」
「分かった。洗浄。」
「カリアさん、まだ駄目?」
「……良いわ。」
カリアさんが僕の顔を手で隠していたけど、離してくれた。
見ると、白い布で顔だけ出したお母さんが寝ていた。
「お母さん。そんな所で寝ていたら危ないよ。」
僕はお母さんを起こそうと白い布を退かそうと取ったら……
「ダメ!」
話し声が聞こえる。
「穴は掘り終わった。」
「ご苦労様。」
「何、レイロード辺境伯の騎士も手を貸してくれたからな。」
「……ん。」
「坊主。」
「あれ?」
「僕、大丈夫?」
「えっと、僕はお母さんを起こそうとして……!?」
「坊主……」
「あ、ああ、ああああああああああ!」
「僕!」
落ち着いたらカリアさんが僕をずっと抱き締めてくれていた。
「坊主、落ち着いたか?」
「僕、大丈夫?」
「……はい。」
「坊主、辛いだろうが、村の皆との別れの挨拶をしよう。」
「……はい。」
僕はダランさんの抱えられ、村の皆が居る場所に向かった。
皆、穴の中で眠っている。
そして、カリアさんが魔法を放った。
「神の下へ向かい安らかな眠りを。浄葬!」
穴の中で眠っている皆が一瞬、青白く光った。
「これで、彼らはアンデッドにならないわ。」
「ありがとう、カリアさん。」
「君がこの村の生き残りだね。」
「は、はい。」
1人の騎士様が僕に話し掛けた。
……そうか。
やっぱり、皆、死んだんだ。
「レイロード辺境伯様がお会いしたいそうだ。別れが済んだら私に声を掛けてくれ。」
「……はい。」
僕は、お父さんとお母さんに土を掛けて最期のお別れをした。
「お父さん。お母さん。今までありがとう。」
僕はお父さんとお母さんのお墓から離れた。
「もう良いの?」
「うん。」
「坊主、受け取れ。」
ダランさんは、ちょっと大きめの布袋と僕が入れるくらいの木箱を持って来た。
布袋の中身は沢山の銅貨と20枚の大銅貨に、10枚の銀貨が入っていた。
「ダランさん。このお金は?」
「村の全てのお金だ。許可はとってある。」
「でも……」
「この村で、そのお金を使う者は居ないし、坊主以外で受け取れる者も居ない。村で最後の生きている坊主が受け取るべきだ。」
「分かったよ、ダランさん。」
そして、僕は木箱を開けると、中には凄く綺麗な武器と胸当て、腕装甲と足装甲が入っていた。
「コレは、坊主の家の床下に隠されていた物だ。近い日に坊主に渡すつもりだったんだろう。」
「……お父さん。お母さん。」
僕は、武器と装備品を身に付けた。
「似合うわよ。」
「ありがとう、カリアさん。」
僕は、伝言を伝えて来た騎士様に声を掛けて、レイロード辺境伯様の家に向かう事になったけど、カリアさん達も、付いて行くと言ってきた。
「乗り掛かった船だ。最後まで付き合うぜ。」
「そうね。」
「ダランさん。カリアさん。」
他の3人も頷いていた。
こうして、僕はダランさん達の馬車でレイロード辺境伯様の家に向かう事になった。
「さようなら、お父さん。お母さん。村の皆。」
翌日
馬車の移動で翌日には、レイロード辺境伯様の家に到着した。
この1日でダラン達(さん付け禁止と言われた。)と仲良くなり、僕が冒険者に成りたいと言うと、冒険者として必要な知識を惜しみ無く教えて貰い、寝る時は、僕の左右をカリアとキーハが居てくれた。
戦い方や、魔法も教えて貰えた。
僕には才能が有ったのか、この1日で、剣は素人から初心者くらいに。
特に、僕はヤクモの剣術(正確には刀術と言うらしい。)に強い関心があって、ヤクモに指導をお願いした。
魔法は、生活魔法が使える様になって、生活魔法とは、釜戸や焚き火の時に使える程度の「種火」に、葉っぱがヒラヒラ舞う程度の「送風」に、コップに入れる程度の「飲水」に、かすり傷くらいなら治せる「治癒」と身体の外側の要らない垢や汚れ等を消す「洗浄」の事で、生活魔法が使えると何処に行っても役立つらしいんだ。
それに生活魔法が使える事で、魔法の花形「攻撃魔法」も使える様になるらしいんだ。
楽しみだなぁ。
後、レイロード辺境伯様に会うのに武装は良くないと言われて、武器や装備品は異空間収納に仕舞った。
そして、レイロード辺境伯様が待つ部屋の前に来た。
案内をしてくれたセバスという執事が、扉を軽く叩いた。
「村の生き残りレキ様と、Aランク冒険者パーティー『暁の光』様をお連れしました。」
「入れ。」
「え!?」
僕はダラン達を見ると、ダランは悪戯成功といった顔をして、カリアはごめんなさいという顔をしていた。
他のイグルやキーハやヤクモはやれやれという顔だ。
「失礼します。」
部屋に入ると、沢山のキラキラした綺麗な物を置いていて、凄い広い部屋で、多分レイロード辺境伯様だと思うけど、優しそうな顔をしている。
「その子が、村の唯一の生き残りか?」
「はい。」
「……そうか。」
貨幣について
銅貨10枚=大銅貨1枚
大銅貨10枚=銀貨1枚
銀貨10枚=大銀貨1枚
大銀貨10枚=金貨1枚
金貨10枚=大金貨1枚
大金貨10枚=白金貨1枚
白金貨10枚=黒金貨1枚
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
村では基本的にはお金は使う事がなく。
行商人が月一で来る時しか使わないので、各家で分かり易い所に置いていた。




