お祖父様、大好きですわ。
主人公のチートが!
ヒナを送って帰ると、出迎えで待っていたアンナから、来客が有ると教えてくれた。
アンナが何故、主である俺が居ないのに、勝手に入れたのかは、入れた来客を見て納得した。
「遅いわよ!」
「どうしたの、カリアにダラン達。」
そう、来客はダラン達だった。
「依頼が終わって、冒険者ギルドに行ったら、ギルドマスターから聞いたのよ。」
「レキウス、何故、オレを待たなかった。一緒にドラゴン討伐する約束だろ?」
「無茶言うなよ、ダラン。学園の中庭だぞ。」
「それを待つのが、弟子の務めだ。」
「無理を言うでない。」
「しかしだな、イグル。」
「良いぞ! もっと言ってやれ!」
「キーハまで!」
「何、単独はレキウスだけじゃないと出来ないが、チーム戦なら儂らとやれば良い。」
「そ、そうだな、ヤクモ。」
その後は、既に話を通していたみたいで、済し崩しで宴会が始まり、ダランは笑いながらお酒をカブ呑みをし、カリアは既に別室でスヤスヤと寝ている。
イグルは舟を漕ぎながら、キーハの泣き上戸に付き合い愚痴を聞いていて、ヤクモは、お酒を呑みながら刀を抜き演舞をしている。
ヤクモ、そんなに動くと寝ている腰痛が起きるぞ~。
俺は頃合いを見計らい、睡眠魔法を酔っ払い共に掛けて、野郎組は4人部屋に、キーハはカリアとは別の個室に入れた。
実はキーハには……
いや、止めておこう。
キーハの尊厳に関わる事だしな。
「アンナ、キーハのベッドには?」
「はい。指示通り、3枚タオルを重ねております。」
「それなら良いよ。」
翌日
俺とダラン達は一緒に朝食を食べている。
「それで、ダラン達は、今日からどうするんだ?」
「ああ。結構デカい仕事をしたからな、当分は休みだ。」
「それなら、また鍛練に付き合ってよ。」
「そのつもりよ。」
「それなら、何人が呼んでも良いか?」
「あの2人か?」
「ああ。ヒナとフローラだ。」
「良いであるぞ。」
「儂も構わんぞ。」
「ダラン達、ありがとう。」
学園に行き、ヒナとフローラに話すと、2人とも乗り気だった。
「凄い! Sランク冒険者の暁の光の指導を受けられるなんて!」
「レキウス、ありがとうですわ!」
今日の授業が終わり、フローラは自分の馬車で、ヒナは俺の馬車で行く事になった。
到着後、ヒナとフローラは着替える為に、用意した部屋に向かった。
実は、ヒナもフローラも自分用のマジックポーチを持っていて、何時でも使える様に常備していた。
因みにヒナのマジックポーチは、フローラから贈られた物だ。
実は、フローラが「お祖父様、大好きですわ。」と言いながら、おでこにキスしたら軍資金が貰えたらしい。
ライロード前公爵、安くないか!
そして、鍛練が始まった。
「ヒナ! もっと踏み込みな!」
「はい!」
「フローラ! 引きが遅い!」
「はいですわ!」
ヒナはキーハに習い、フローラはダランに習っている中、俺はイグルに最新の魔法技術や理論を習った。
「レキウス。帝国では、『合成魔法』と言う技術が研究されているらしい。」
「合成魔法?」
「ああ。例えば、火属性魔法と風属性魔法を合成する事で、対象を切りながら火傷を負わせる事が可能らしい。」
「それは凄いね。ちょっとやってみよ。」
俺は、生活魔法まで魔力を抑えて、右手の人差し指と中指を的に向け、人差し指には火属性魔法を、中指には風属性魔法を込め、指先で混じる様にイメージする。
ん~、外見のイメージはナイフかな。
「えい。」
俺が放った魔法は、ナイフの様な形で、火属性魔法ではあり得ない速さで的に向かった。
そして……
スパッ、ボ!
「はい!?」
思わず周りを見る。
今、現在、中庭に居るけど、居るのは俺達3人とダラン達とアンナだけ。
そして、カリアの外からの覗きを防ぐ為の幻壁はきちんと作動している。
「アンナ、秘密厳守ね。」
「はい。畏まりました。」
あれ~、可笑しいなぁ。
帝国が今、研究されている事が、今、いきなり出来たぞ。
教えてくれたイグルは放心しているな。
……あ、イグルが帰った。
「レキウス~。」
「出来たもんは仕方ないじゃないか!」
ヒナやフローラ、ダラン達もやって来た。
「レキ、どうしたの?」
「レキウス、何をしましたの?」
「レキウス、今度は何をした?」
「レキウス、正直に吐きな!」
「レキウスよ。悪い事は言わん。話した方が楽じゃぞ?」
何で、全員が、俺が「やらかした!」と決め付けるんだよ。
カリアは、カリアで、「やれやれ。」と言う顔をしながら幻壁を維持している。
「帝国が今現在、研究されている魔法技術が、最低限の規模でだけど成功した。」
「「「「「はあ!?」」」」」
皆が驚き、少し落ち着くと、好き勝手に言い出した。
「……レキ、凄い!」
「……レキウスらしいですわ。」
「またか、レキウス。」
「……レキウス、だな。」
「……ほ、ほ、ほ。」
……とりあえず、皆でこの事は内緒にしよう、となった。
それから、2週間
先生が良いのか、本人に才能が有ったのか、多分、両方で、ヒナとフローラは凄い速さで成長した。
ヒナもフローラも技術的にはBランクぐらいまでになった。
そして、ダラン達の休暇も終わり、依頼を受け、先程、屋敷を出て行った。
学園では、3週間後に、ダンスパーティーが開催する旨の告知が出ていた。
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