あんな魔法、初めて見ましたわ。
綺麗事で終わらないのは、冒険者も同じですよね。
西の森に入ってから、数10分経つけどモンスターが……居ない!?
普段なら、現れるボアやホーンラビット、そして、ゴブリン。
「居ないですわ。」
「居ませんね。」
「ああ、そうだな。」
俺は魔力探知を使って探ってみる。
……
…………
………………!?
……笑えないな。
戻るのは無理だな。
先日のドラゴンに、今回のアレ。
俺は何か呪いとかを掛けられているのか?
……まあ、それは冗談として。
コレって、間違いは無いだろうな。
ゴブリンの集落が出来ている上に、恐らく「キング」が生まれている。
ドラゴンとはそれなりな勝負をしたから大丈夫の筈だ。
今回は、攻撃魔法も使えるしな。
ゴブリンの数はおよそだが、100くらいか。
20匹くらい残して、全てを俺が討伐すれば、ヒナとフローラにはちょうど良いかな。
そうだな。
ヒナとフローラは、1人10匹くらいやって貰って、後は俺がやろう。
「どうなの、レキ。」
「どうですの、レキウス。」
「実際に見ないと分からないが、恐らく、ゴブリンの集落が、この先に有る。」
「ゴブリンの……」
「集落が……」
「しかも、動き始めている。だから、報告に帰るのは難しい。」
「……分かりましたわ。迎撃ですわね。」
「ああ、そうだ。」
「でも、大丈夫?」
「大丈夫だ、ヒナ。」
「ドラゴンの時と違って、今回は、攻撃魔法を使えるからな。」
「そうですの?」
「ああ。あの時は、学園内だから使えなかったんだ。」
「だから、ヒナとフローラには、ゴブリンを1人10匹くらいを乱戦の中でやって欲しい。後は、俺がやるよ。」
「……頑張ってみる。」
「……分かりましたわ。」
ヒナとフローラが意思を固めた頃、ゴブリンの集団が見える所まで来た。
「やっぱり、ゴブリンは醜悪ですわ。」
「同感。」
「ヒナ! フローラ! 頑張れ!」
ちょっと崩れた言い方でヒナとフローラの緊張を解す。
「やりますわよ!」
「やるぞー!」
ゴブリンの集団の先頭がヒナとフローラを捉えた。
「ギィ!」
「ギャ!」
「はあ!」
「やあ!」
7分後、ヒナとフローラは1人10匹を達成出来た。
そして、俺はヒナ達とゴブリンの間に魔法障壁を張る。
「お疲れ様。後は防衛に専念してて良いよ。」
「ハアハア……。分かりましたわ~。」
「ハアハア……。分かったー。」
うん。
良い感じに魔法障壁の前に溜まりだしたな。
「爆音に注意して欲しい。」
「どういう事ですの?」
「ちょっと派手な攻撃魔法を使うから。」
「分かったわ。」
「じゃあ、行くよ。白炎爆裂。」
俺は、ゴブリンの集団に腕を伸ばし、手のひらを向ける。
そして、手のひらの少し先には、白炎が発生して燃え盛り、それを1mの白い球体にして、圧縮!
球体を5cmまで圧縮して放つ!
凄まじい爆発音と爆風が場を支配し収まった後、そこには、直径300mを越える広くて浅い穴と荒野だけだった。
……う~ん。
やり過ぎたかな?
まあ、ゴブリンキングの討伐の証明部位を持って帰れば、ゴブリンの集落が有った証拠になるか。
「大丈夫か、ヒナ、フローラ。」
「だ、大丈夫ですわ~。」
「うん。大丈夫……だけど、凄い魔法だね。」
「そうですわ。あんな魔法、初めて見ましたわ。」
「ああ。俺が作った。」
「「作った!?」」
「ああ。学園の入学試験で、俺、施設を偶然にも壊してしまっただろ? その時に使った魔法をきちんとした形にしたのが、白炎爆裂だな。」
「そうなのですわね。」
「そうなんだ。」
「それじゃあ、奥に行ってみよう。まだ居るかもしれない。」
「分かりましたわ。」
「分かったわ。」
「後、ゴブリンは、ヒナとフローラに任せるよ。」
「……頑張る。」
「……やってやりますわ。」
この後、単発で現れるゴブリンをヒナとフローラで順番に倒していった。
「ゴブリンの集落に到着したな。まだ、何処かにゴブリンが潜んでいるかもしれないから気を付けてな。」
「分かったわ。」
「はいですわ。」
後ろから、が嫌だと思った俺は、1番大きい建物を最後に廻る様にして調べていった。
因みに、ゴブリンは8匹しか居なかった。
「後は、あの建物だけだな。」
「ええ。」
「うん。」
「これだけの事をしているのに、出て来ないのは怪しいけど、もしかしたら、ジェネラルかキングが居るかもしれないから警戒して調べよう。」
「……うん。分かったわ。」
「……は、はいですわ。」
俺はそっと壊れる寸前の扉を開けると、デカいゴブリンが寝ていた!
初めてみるから分からないけど、最低でもジェネラルだよな。
まあ、ちょうど良いや。
「雷撃槍!」
「「えぇ!?」」
「ガァアアアアアーーー……」
「止めだ!」
俺は、雷撃槍で弱っている所を止めの一撃として、デカいゴブリンの首を斬った。
「ふぅ。ゴブリンの集落の壊滅、終了っと。」
「なななななな何をやってますの!」
「え? 何がって、デカいゴブリンの討伐。」
「この様な、不意討ちを……」
「いや、子供に聞かせる英雄譚じゃないんだから、別に良いだろう?」
「それは、確かにそうですけど……」
フローラが、何かブツブツ言っている間に、デカいゴブリンをマジックバッグに収納して、他には何か有るか調べたが、有ったのはデカいゴブリンが使うのであろうデカい斧だけだった。
コレも回収っと。
ゴブリンの集落と居残りのゴブリンを焼却して、帰る事にした。
そして、冒険者ギルドに到着した俺達は、先に解体場に行きデカいゴブリンと斧を出してお願いした後、受付嬢に今回の事を報告した。
後、目の前に居る受付嬢は、あの時、ギルドマスターと一緒に居た受付嬢で、処理が面倒臭いから通常も私が担当します、と言われたからお願いする事にした。
名前は、アリスティーナさん。
「……と、いう訳です。」
「分かりました。後、ヒナさんとフローラさんは、今回の事でDランクになります。」
「やったー。」
「やりましたわ。」
「おめでとう。ヒナ、フローラ。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




