レキウスの裏切り者!
主人公、12歳で契約社員から本採用で本社勤務。
前社長令嬢と結婚したザーナク伯父さん。
周りの友人のお父さんは、常務や専務。
リアルだと、こんな感じかな?
二つ名「竜勇者」
……勘弁してくれ。
学園内を歩けば、耳に届くひそひそ話で、落ち着かないし、隣に居るヒナまで、クスクスと笑っている。
それと、学園では騒動の原因については箝口令が引かれた。
何故なら、どれ程調べても、リンに掛けた液体の正体や出所が判明してないからだ。
さて、俺の屋敷の準備もやっと終わり、ザーナク伯父さんから馬車を贈られたから、この馬車で俺の屋敷に学園から行ってみる。
「お帰りなさいませ、レキウス様。」
お出迎えをしてくれたのは、執事のゴハス。
この人は、ザーナク伯父さんの屋敷の執事セウスの次男で、そろそろ独立を考えていた人だったから、ちょうど良いからと俺の屋敷の執事になって貰った。
次に俺の専属侍女からメイド長になったアンナと、横に居るメイド長補佐となったアンナの母親のセリナ。
次に料理長のリュマオ。
この人も、ザーナク伯父さんの屋敷で働いている料理長の三男でゴハスと同じ理由で来て貰った。
最後に、ザーナク伯父さんの屋敷で働いているメイド達の次女や三女のサリー、マリー、アリーが俺の屋敷のメイドとして来て貰った。
……名前については、本当に偶然らしい。
人数的には足らないみたいだけど、一気に揃えるのは良くないとの事で、最初はこの人達だけで始める事になった。
緊急の時は、ザーナク伯父さんの所から人を出してくれるから大丈夫だ。
こうして、新しい場所での生活が始まった。
休日の前の日である今日に、男爵位を叙爵された事と、竜討伐のお祝い会をAクラス全員でする事になったけど、フローラと侯爵家のレセライク=バァン=エセライフと、リアセイカ=クリメ=アルリバスが隠して持ってきたお酒が、何時の間にか俺以外の全員に行き渡り大変だった。
四つん這いになって椅子になったフローラに座り、静かにお酒を飲んでいるヒナ。
ただただ笑顔で、正座して緊張しているレセライクの身体に絡むリアセイカ。
フローラ達を見ない様に背を向けて、黙々と食事をしている下級貴族の令息と令嬢。
そして、隅に固まりガタガタ震えている平民組。
最後に、何処からか聞き付けたリシュアが、多分お酒に弱いからか、ソファーでお酒の瓶を抱いて寝ている。
これは駄目だと思い、待機して待っていてくれた各家の馬車の御者に伝えて、令息は俺や執事の男性組が、令嬢は、アンナ達女性組が馬車まで運んだ。
下級貴族組と平民組は殆どお酒を飲んで無い為、自力で帰った。
勿論、平民組の為に、今回の事は誰にも喋らない方が良い、と話してある。
ヒナは、俺の馬車で俺も一緒に乗って送った。
到着した時に、ヒナにだけは解毒の魔法を掛けたから二日酔いにはならないだろう。
キーハで実証済みだ。
ヒナにおやすみのキスを額にして、俺は帰った。
翌日
予想通り、フローラは二日酔いみたいだ。
そして、二日酔いになっていないヒナを見て、ワナワナしているフローラ。
そして、俺を睨む。
「レキウスの裏切り者!」
「フローラ達が、アレを持ってくるからだろ?」
「……でもぅ。」
「自業自得だよ、フローラ。」
仕方ないから、フローラにも解毒の魔法を掛けてやる。
「ありがとう。これで行けるわ!」
フローラが元気になった所で、冒険者ギルドに入る。
やっぱり2時間の遅刻をしたフローラを待ってたお陰で、良い依頼が無いな。
「……ごめんなさい。」
「まあ、仕方ない。適当に行って適当に採取と討伐をしよう。」
「それで良いよ。」
「ヒナ、ありがとう。」
「それじゃあ、行こうか。」
何時も様に3人で行こうとすると、受付嬢が待ったを掛けた。
「ちょっと待ってください。」
「何でしょうか?」
「レキウス君よね?」
「ああ。俺がレキウスだ。」
「ギルドマスターが、話したい事があるから、来たら応接室で待ってて欲しいと指示を受けています。」
「どうする?」
「行った方が良いと思うよ。」
「無意味な溝は作らない方が良いわね。」
「そうだな。案内をお願いします。」
「ありがとうございます。」
こうして、受付嬢に案内されて応接室で待っていると、ダランと良い勝負な体躯と、ダランを越える強面のオッサンが先程の受付嬢と一緒に入って来た。
そして、俺達の対面に座る。
「初めましてだな。このギルドのギルドマスターだ。」
「Dランクのレキウスだ。」
「Eランクのフローラよ。」
「Eランクのヒナです。」
「早速、本題だが、単独での竜討伐で飛び級でBランク昇格の話が上がっているが、どうする?」
「お断りします。」
「即答か。」
「ただでさえ、片腕を国に掴まれているのに、これ以上の鎖は要らない。」
「分かった。」
「諦めが早いな。」
「暁の光を敵に廻したくないからな。」
「知っているのか?」
「当然だ。あいつらに冒険者の初歩を教えたのはオレだからな。それ以来の縁ってヤツよ。」
「そうか。」
「後、Cランクなら、何時でも良いぞ。受ける気になったら、何時でもこの受付嬢に声を掛けてくれ。」
「分かった。」
「話は以上だ。」
俺達は冒険者ギルドを後にして、西の森を目指した。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
Bランクから、ギルドの強制権が冒険者に使えます。
まあ、ギルドもマジガチな時にしか使わない様にはしています。




