竜勇者ドラグブレイヴァー
主人公は国王からは逃げられない。
「国王陛下が御出でになる。平伏せよ。」
多分、今、国王陛下が玉座に座ったかな。
「皆の者、面を上げよ。」
俺は顔を上げると、玉座に国王陛下が座っていた。
外見は、思っていたよりもしっかりした体躯に強面な顔と立派な髭に鋭い眼光。
何処がお優しい方?
「これより、レキウス=フォン=レイロードの報奨式を執り行う。」
「先のドラゴンの討伐はまだ幼き身で見事であった。因って報奨を与える。」
「ありがたき幸せ。」
「報奨は、白金貨10枚と、竜討伐の勲章。そして、そなたに男爵位と王都に屋敷を与える。」
「お待ちください国王陛下。幾ら何でも過ぎた報奨です。こやつは、まだ学園に通う生徒です。爵位や叙勲は過分かと思われます。」
うん。
俺もそう思う。
「では、コルジーア侯よ。そなたは出来るのか、単独での竜討伐を。」
「……それは! しかし……」
「諄い! 2度も言わぬ!」
「……失礼いたしました。」
そう言い、俺を睨みながらコルジーア侯と呼ばれた人が下がった。
……つまり、俺は受け取らないといけない訳か。
冒険者になる為にも、何か、良い言い訳を考えないと……
ん?
ザーナク伯父さんが、俺を突ついて……
あ!?
俺の返事待ちか!
「あまりにも多大な報奨に喜び震えておりました。
これからも、有事の際は国王陛下の盾となってこの国を国王陛下をお守りします。そして、謹んでお受け取りいたします。」
「うむ。」
「これにて、報奨式は終了とする。なお、レキウス=フォン=レイロードは、事務上の話が有る為、使いの者の指示に従う様に。」
報奨式が終わって、使いの人に案内されるまま、応接室で待っていると、何故か、国王陛下と宰相が入って来た。
「公の場では無い。楽にせよ。」
「はっ!」
「さて。まさか、あやつの孫が単独で竜討伐を成し遂げるとはな。」
「私の事をご存知で?」
「堅苦しい敬語も要らぬ。」
「分かりま……、いや、分かった。」
「レキウス……」
「良い。」
「……はい。」
「実はな、レキウスの祖父であるライザーとは親友でな。」
「悪友の間違いでは?」
「マリンザは黙っておれ。」
「当時、どれだけ私が後始末をした事か。まあ、今もですが。」
「ええい! 兎に角、そういう事でレキウスの事を知っておった訳だが、レキウスは冒険者になるのが夢らしいな。そして、既にDランクにまでなっておる。」
「はい。」
「そして、『有事の際は国王陛下の盾となって』か。国難には協力するが、戦争を仕掛ける時は、『剣』にはならない、か。つまり、冒険者としての自由を奪うな、だな?」
「……はい。」
「まあ、良い。レキウスよ。」
「はい。」
「レキウスが守る家は、この王都に有る。それを忘れるで無いぞ。」
「はい!」
「うむ。意識確認は済んだ。宰相、後は任せた。」
「それでは、話させて貰います。先ずは報奨とは別に白金貨20枚をお渡しします。これは、レキウス殿が討伐されたドラゴンの買い取り金になります。これは搾取では無い為です。
次に、譲与された屋敷は、清掃等が既に済んでいる為、今日から住む事が出来ますが、家具等はレキウス殿が準備してください。屋敷を管理をする執事やメイド等は、ザーナク侯爵と相談してください。人件費は、国の法に従い国から2年間支払いされます。
最後に、ご不明な点が有りましたら、ザーナク侯爵と相談してください。以上です。」
「ありがとうございます。」
うわー。
やる事が一杯だ。
「これで、事務上の話は済んだ。此処からは完全な私的な話じゃ。どうじゃった、竜討伐は?」
「流石に死を覚悟したけど、ギリギリ勝てたって所だ。
ただ、ダランが悔しがるだろうなぁと思う。」
「そういえば、レキウスの冒険者としての教育をしたのは暁の光であったな。」
「ああ。」
「これは、極秘だが、暁の光には父親として感謝しておる。娘が事故で片足を失った事があったが、暁の光のカリア殿のお陰で助かった。今では、元気に歩いておる。」
「それは良かった。」
この後、軽く雑談して解散になった。
王城からの馬車での帰り道で、ザーナク伯父さんと相談をした。
執事とメイド長は、ザーナク伯父さんの屋敷から出す話になったけど、メイド長にアンナはどうかと聞いてみたら、どうやら、アンナは、俺の卒業に合わせて故郷に帰るつもりだったらしい。
そして、アンナの家族はもう、故郷に居る母親だけで、それならと、アンナの母親を呼んで、俺の屋敷で働きながら暮らしてはと提案したら、本人達が良ければ構わないと言って貰えた。
アンナの母親はまだ現役のメイドとして働けるらしい。
まあ、メイド長補佐として頑張って貰おう。
ザーナク伯父さんの屋敷に到着した俺は、早速、アンナに聞いてみたら、俺の屋敷でメイド長となってくれると言って貰ったし、母には手紙を送ってみますと言ってくれた。
あれから、1ヶ月経ったけど、手続きや準備に追われるし、王都では、単独竜討伐に湧き上がり、子供が読む物語の主人公に因んで、俺の二つ名が付いた。
その二つ名が、「竜勇者」
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