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目まぐるしく変わる

 安原恵やすはらめぐみが孤独になったのは、小学一年生の時だった。家族三人でドライブ中に、居眠り運転のトラックに追突され、両親が亡くなったからだ。

 一人残された恵は勿論、悲しかったが――同時に、不安でもあった。テレビなどで、親を喪った子供は施設に入ると観たことがあったからだ。


(わたし……これから、どうなるんだろう……)


 もう、父も母もいない。子供一人では生きていけない。だとすると、生きていく為には施設とそこにいる大人に頼らなくてはいけない。


(いじめられたら、どうしよう……おとうさん、おかあさん……っ)


 葬儀場のパイプ椅子に腰かけていた恵が、涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られたくなくて下を向いていると。


「ねぇ」

「……は、い」


 誰かが泣いている恵の目の前に立って、声をかけてきた。

 戸惑いながらも返事をし、涙に濡れた顔を上げると――同じ年くらいで同じように黒い服を着た、けれどくせのない真っ直ぐな髪をした恵とは違い、ふわふわの長い髪をした人形のように可愛い女の子が立っていた。


(たしか……いとこの、ゆうなちゃん?)


 父親の兄、つまり伯父の娘である優菜は恵にとっては従姉に当たると紹介されていた。とは言え、親同士で交流がなく父親が亡くなるまで、会ったことも話したこともなかったのだが。 


「かわいそう……ねぇ、おとうさんおかあさん? うちにつれていこう?」

「ああ、解ったよ……優菜は、優しい子だな」

「ええ、本当に! 天使みたいね」

「優菜ちゃん、偉いわね……良かったわね」

「恵ちゃんは、優菜ちゃんに感謝するんだぞ?」

「はい……ありがとう、ございます……」


 今思えば、犬猫でも拾うような言い方だったが――そんな優菜の言葉に伯父夫婦は頷き、更に他の参列者達も優菜を褒め、恵を促してきた。

 急な展開に戸惑いつつも、自分が施設に入らなくて済むことだけは解ったので、恵は優菜と大人達に言われるまま頷いて、お礼を言った。

 こうして、伯父一家が恵を引き取ることになった。そして恵は、優菜と同じ学校に通うことになったのだが。

 ……可愛い優菜は両親からだけではなく、同級生達からも、教師からも愛されていた。


「優菜ちゃん、すごい……」

「ふふ、ありがとう。あ、早く校庭に行こう?」

「う、うん」


 それだけなら、優菜は可愛いので当然だと思った。

 けれど。優菜が何かと恵に声をかけて連れ歩いたので、恵は周りから冷ややかな目で見られ、疎まれるようになったのだ。

しばらく嫌われ展開が続きます。

プロローグに辿り着くまで、頑張ります。

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