7話:君のパワーは……
はあ……言っていることの意味は分かるが理解ができない。
はぁ……
「アンタ……どうしたの?呼吸が荒いわよ?まず保健室に行く?」
言われて気づいたがいつの間にか動悸がしていた。なんだか何も考えたくない気分だ。
「もう疲れた。人に嫌われるのも面倒で普通じゃないことに巻き込まれるのも嫌だった。でももういい。俺にちょっかいをかけてきたヤンキー部の連中を許さない。」
頭に血が上り屋上から去ろうとした俺に花恋は水鉄砲を構えた。
「動かないで!何処にいくつもり?今の貴方、危険ね。その怒りが鎮まるまでここにいて貰うわよ。」
「あ?俺の邪魔するのか?そうか。じゃあまずはお前を壊させて貰うぞ。」
「そう。やれるもんならやってみなさい!」
俺は灼熱の復讐心に焦がれながら意識を深層へと落とした。
俺は普通でいたかっただけなのに。
ターゲットの坂城悪人は私を挑発したかと思うと無気力になりふらっと倒れかけた。そして今度は体勢を整えたと思ったら赤く血走った目で私をキッと睨み付けてきた。
「……いい度胸ね。」
私が水鉄砲を構えて距離をとるように移動すると悪人はそれを見てこちらへと駆け出した。
悪人は驚異的なスピードで私に接近し拳をつき出す。ヒュンという風切り音が何度も耳に響く。殺意と怒りで満ちたパンチが私に襲いかかる。
(これは、当たったら不味いわね)
こいつのパンチは当たったら骨折どころか骨が砕けてしまいそうだ。私はかすりもしないようにかわし続けフェンスの上へ飛び乗った。
このフェンスは乗り越えられないように二メートルほどの高さがある。私ほどの身体能力があるならともかく、流石に悪人もここまでは殴りにこれないでしょ。
悪人の動きが止まることに期待し先程打った水を補充しようとしたとき悪人はフェンスへとタックルした。
「は?」
悪人はジャンプ力は無いが力は一級品のようだ。攻撃は出来ないだろうと油断していた私は簡単にバランスを崩した。だがなんとか下へ落ちることは回避し屋上の地面へと倒れこむ。
(あぶな……!)
先程まで私が立っていたフェンスは悪人のタックルの衝撃に耐えきれず一階へとまっ逆さまに落ちていった。ガッシャァァンという音が辺りに響きわたる。
すばやく体勢を立て直し、下を覗くとバラバラになったフェンスの部品があたりに転がっていた。だが人影や血痕などは見られない。どうなら怪我人はいないようだ。
その事実に安堵しながら油断をした自分自身へと鞭をうち戦いに専念する。早くこいつを鎮圧して生徒を守らないと。
まずさっきは出来なかった水の補充をタックルでバランスを崩した悪人が起きる前に終わらせる。この水鉄砲は特注の特別製なのだ。