四話 心を打ち抜く笑顔
大きなギルドのキッチンの、小さな一角でクロークはカボチャを煮る。
その匂いを嗅いでネコは嬉しそうだ。
「そのネコとやらは、カボチャが好きなのか?」
「朝、散歩に行った時に拾ったばっかで、さっきまで寝ていたんだ」
それを聞いたクロークは不思議そうにネコを見た。
「だがそのネコは従魔契約されているようだが」
ネコの首には従魔契約の証の首輪が付いている。
「俺は川で助けただけで、従魔契約はしてないぞ」
「なら、このネコに元々主人がいたのか…」
それを聞いたガンクは考えた。
(このネコは主人に返したほうがいいだろう…だが、探している主人は見かけなかった。私はこのネコが飼いたい。『価値』や『珍しさ』に関係なく、ただ愛でていたい…しかし、ギルドもヤバイ…一体、俺はどうすればいいんだ…)
そんな様子を見ていたクロークはやれやれという風に言う。
「そんなに悩まなくてもここに置いておけばいいんじゃないか?だってここは『世界一のギルド』なんだろ?」
ガンクがこのギルドを作った時、彼は兄のクラークに
「ここを俺は『世界一のギルド』にするぞ!」
と意気込んでいたのだ。
その言葉にガンクの心配は晴れ、さっきまで抱えていたギルド崩壊の心配も吹き飛んだ。
「そうだよな兄貴!俺のギルドがなくなる訳ないよな」
「おう!その息だガンク!おっ、ちょうどカボチャが煮えたぞ」
煮物を入れる大きい皿と小さなお皿にカボチャを乗せた。
この光景を見ると、クロークがギルドの料理人に見えてくる。
「ほれ、シンプルなカボチャの煮物だ。ネコちゃんもどうぞ」
クロークもネコに心を奪われている。
「「いただきます」」
と言ったもののネコの食べる様子が気になる二人。
ネコは慎重に匂いを嗅いだ後、ハグハグと出来たてを食べ始めた。
そして、美味しそうな顔をする。
ネコは二人に『幸せ』と『食欲』を+100与えた。
((かわいい!))
ガンクはカボチャを運ぶ。
「うまいじゃぁないか!」
「そうだろう。いつもと違って少し塩を入れてみたんだ」
ギルドの中は二人と一匹しかいなかったが、とても暖かい空気だった。
奴が来るまでは…