三話 カボチャ
カンナを女のとしての敵(?)として見ていたネコは、「あっかんべー」というように奥のマスター室に行ってしまった。
「今の私、悪くないですよね!」
「うーむ、急に俺に懐いたのもよくわからねぇが、お前を警戒してるのはご飯の問題じゃねぇか?」
カンナの大好物は魚であり、本を見ると分かるがネコの大好物も魚なのである。
たぶん、カンナから魚の匂いがしたのだろう。
「ガンクさん!私あのかわいい生物に嫌われたくないんです!どうすればいいですか!?」
カンナは泣きながらガンクに抱きついた。ガンクはしばらく考えた後、一つの案を出した。
「お前とネコが魚を分け合えばいいんじゃねぇのか?」
「断る!」
ガンクの大声がギルドに響く。
「おめぇは馬鹿か!他に何の方法があるっていうんだ!」
「知りませんよそんなこと!」
カンナが泣きながらギルドを出て行く。
「ったくあいつは…」
数分後、ギルドに人がやってきた。
「冒険者ですか…ってクローク兄さんじゃないか!」
「おう、久しぶりだなガンク。野菜持ってきてやったぞ」
クロークは町のはずれで農園を営んでいて、ガンクの兄である。
クロークの作る野菜は、王城直結で輸入されるほどおいしいと言われている。
「噂には聞いていたが、本当にギルドやばそうなんだな…」
「たとえ兄さんでも、ひやかしなら帰ってくれよ」
「冗談だよ。ほれ、『カボチャ』だ。うまいぞぉ」
「カボチャ?これは『ポプトン』だろう?」
「ああすまない、王様はカボチャというのだ。仕事の癖で言っちまったぜ」
クロークはガンクにとって偉大な存在だ。しかし、最近王国への仕事が増えて全然会えなくなってしまった。
「そうだ!俺がおいしい煮物を作ってやろう」
「本当に!?兄さんの煮物は俺の大好物だからな」
「お前もそうだがそこのかわいい子も物欲しそうに見てくるからな」
クロークの目線を追うと、さっきまで奥の部屋にいたネコが、いつの間にかガンクの足元にいた。
ネコはカボチャをキラキラとした眼差しで見ている。
「お前もこれが食いたいのか?」
「にゃーん♪」
ガンクとクロークの心をネコが射抜いた!
二人は30ダメージを受け
ず、逆に回復した。