二話 強面マスターは好かれる
そーっとカンナは静かに生物に近づく。
「ガンクさん、この生物どうしたんですか?」
「もう少し声のボリュームを落とせ。こいつは川で溺れていたから助けたんだ」
カンナがギルドの奥から水晶玉を持って来た。
「ほうほう、この子『ネコ』って言うらしいですよ」
「ネコってあの大昔に絶滅した?」
この世界は人間・魔物・獣人・ドワーフなどの種族が住む世界。その中でもネコは獣人の『猫人族』の先祖といわれている。
「そんなすごい生き物を俺達が持っていていいのだろうか」
「別にいいんじゃないですか?もしかしたら神様の授けものかもしれませんし」
誰もいないギルドに一つの花が添えられた。
「ガンクさん起きてください!」
この大声でネコもガンクも起きてしまった。ネコは膝から飛び降り、尻尾を逆立ててで二人を睨む。
「おい、カンナまさかお前嫌われてんのか?」
「先輩だって嫌われてますよ」
嫌われたくない!と思った二人は策を考える。
「お腹が空いたのですかね?」
「それなら、魚を取ってこい」
ネコは持って来た魚を無視して、カンナの手に噛み付いた。
「いったーい!」
「そういえばこいつ『クッキー』みたいな色してるな」
「そうですね…」(スルーかよ!)
すると、いきなりガンクさんの足元に寄ってきた。
「えええ!なんで強面のガンクさんの方に行くんですか!?」
「それは、俺の優しさに気づいたから来たんだろ」(あと、強面は余計じゃ)
ネコはまだカンナを警戒してる。
「まさかこのネコはメスなんじゃねえか?」
「じゃあ、友達になれないじゃないですかー!」
他に誰もいないギルドに一人の笑い声と一人の泣き声、一匹の鳴き声が聞こえた。