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(4)煌々と明かりをつけたまま





サナルが消えた。





僕が部屋に戻った時はまだ寝ていた。


どうせ夜中に叩き起こされるのだから、僕もできるだけ寝ようと、早めに寝た。


目が覚めた時にはもうサナルはいなかった。





夏とはいえ、辺りはまだ薄暗い。散歩かな?


1時間待った。






帰ってこない。


さすがに焦る。

ラインをする。

既読は付かない。

フロントに電話をする。


夜間はフロントには人は張り付いておらず、6時から人を配置するらしい。


つまり、それより前に誰かがそこを通っても気づかない。


彼女が言う「ロックな朝」なのか。


いや違う。

何かが違う。

何かが起きている。

というか起きた。

嫌な予感がする。

何かが損なわれている。


レンタカーを見に行く。

僕らが降りた時のままだ。


タクシーを呼ぶにしても夜中にここまで来てくれるのだろうか。


市街地から1時間半はかかる。


そのまま奥入瀬渓流まで走った。

5分ほどで着いた。

誰もいない。

ささやかな川の音と、鳥のさえずり。

他には閉店後のボーリング場みたいに何の音もしない。


頭の中で何かがぐるぐると回っている。


いろんな可能性を考えてみる。


何か事故に巻き込まれた。

散歩の途中で迷子になった。

あるいは足を踏み外して沢の下に落ちたか。

どこかで助けを待っているかもしれない。

何れにしても夜中に出歩かなくてはならない。


それはありえない話だ。


暗闇を異常に嫌う彼女は、夜寝るときでさえ煌々と明かりをつけたまま寝る。


こんな山奥で、明かりもないのに出歩くなんて考えられない。





奥入瀬に行こうと言ったのは彼女だ。


はじめからこうするつもりだったのか。





僕を置いて?どこに?





『全然ロックじゃねぇし』




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