Ⅱ
「あのー」
私は小さな声で言った。そこに居る黒髪の男は聞こえていないのか聞こえていないふりをしているのかはここでは分らないけどまぁ、無視をされた。もう一度大きな声で「すみません!!!」というと嫌そうにこっちを向いた。
「すみません。私達・・・」
「・・・・未来鑑定か?」
「っ!なんで?」
「色が出てるからな。」
黒髪の男は「くくっ」と笑うとこっちに座布団を投げた。
「まぁ、座れやぁ」
綾香は顔色が悪くなっていた。私もかなり不安になっていたけどここまで来たらもうやるしかないと思って座布団を受け取った。
「ここに来ようといったのは茶髪のお嬢さんだろ?」
「何でそれを?」
平静を装いながら言った。心の中では「何で分かったの?」と思っていたけれど見透かされてるような目で見られて悔しかった。
「俺は、未来鑑定士の来だ。好きなように呼んでくれたらいい。」
未来鑑定士と名乗る男 来 私は座布団に座り話を聞く体制だったけど綾香の方は震えていた。
「綾香?」
「ごめん。未来今日は帰るね」
「う、うん」
さっきは、「楽しみだ」とか言っていたのに急に雰囲気が暗くなった。鑑定士は持っていた煙草の火を消し「おい」と言った。襖がスッと開くと私達を案内してくれた彼が「はい。お呼びですか?」というと「茶髪のお嬢さんを送れ。」と言うと彼は強く頷くと綾香を連れて行った。
「じゃ、私も」
「お前はここに居ろ。いいな?」
有無を言わせない声で言われて体動かなかった。綾香の背中が消えていったあと、体が動くようになった。
「あの、お嬢ちゃん」
「綾香のことですか?」
「ああ。綾香はなぜここに来たがってた?」
「それは、多分興味本位だと思います。」
「そうか。」
来は難しい顔をしながら言った。
「お前、多分霊感があるぞ。」
・・・・・は?!霊感?霊感って、ほら、霊が見えたりする人のことだよね?私そんなん見えないけど・・・。
「霊感はな、見えなくても感じる奴もいるんだよ。ここに来て、体がゾクゾクしねぇか?」
「少し」
「じゃぁ、まだ完璧に霊感があるんじゃなくて、少しずつ開花してる感じだな。」
来は笑いながら言った。ニヤニヤしながら、私の事を見た。その眼にゾクゾクした。何で?
「来」
「なんだ?」
「私のどこを見て霊感が開花し始めてるって分るの?」
「何でか知りたいか?」
私は強くうなずいた。知りたいという衝動に駆られたから。
「それはな・・・・」