Ⅰ
私、磴 未来。今、未来鑑定をしてくれるというお寺の前に居る。半信半疑のまま親友の尾上 綾香に連れられてお寺の前に立っている。なぜ、ここに私達が来たかって?それは綾香の一言から始まった。
「ねね、未来」
「ん?なに?」
「未来鑑定屋ってあるの知ってる?」
「なにそれ」
「なんか、未来を鑑定してくれてそれが結構な確率で当たるんだって!」
「ふぅん」
「でさ、今度行ってこようと思うの」
「いってら」
「未来ってば冷たぁい。でも、一人じゃ不安だから一緒に来て!お願い!」
「うーん?」
「お願いします!」
「いいけど」
「やったぁ」
「綾香、こんなの好きよねぇ」
「結構ね。じゃ、来週の土曜日駅前2時ね!」
「はいはい」
っと、こんな感じで来てしまった。あの後私もここのことを調べた。ネットでの評判はすこぶるいい。そして、お坊さんが鑑定をするらしい。その、お坊さんがイケメンでカッコいいと全体的に書いてあったことから、間違いはないらしい。綾香はお寺の中へ入るなりお守りとかを売ってるところへ行って「すみませーん」と言った。奥から「はい。」と声がした。出てきたのは、男の人だった。声が女の人みたいな声だったから、てっきり女の人だと思ってた。女の人みたいな彼が私達を見てクスッと笑った。これまた、可憐な感じだった。
「未来鑑定ですか?」
「はい」
綾香は力強く頷いた。彼は、「上がっておいでなさい」と一言言って手招きをした。私達は、てくてくと彼の後ろを歩いた。前をちらっと見ると長くて暗い廊下だった。私は少し不安だったけど、綾香の方はなんだか楽しそうだった。
「綾香」
「なに?未来」
「まぁ、綾香さんと未来さんというの?」
急に話しかけてこられたから私達はびっくりして立ち止まってしまった。彼は「大丈夫ですか?」と顔を覗き込んできた。端正な顔にドキドキしながら「鑑定をされてる方は?」と聞くと神妙な顔をしながら「変わった方ですが、面白いですよ」と言った。面白い?私の心の中は不安で埋め尽くされた。そんなことを考えているうちに部屋に着いたらしい。彼は「では」と言いその場を去った。綾香は「ドキドキするね」とワクワクしていた。私は襖をゆっくり開けた。そこには横たわった黒髪の男が居た。