N.g.m ショート
年齢23歳、男
帰宅し、草臥れたスーツを無造作に衣紋掛けへと放り投げPCの前に座る。
束の間の2時間。
仕事が終わり、頭の中はネットゲームで一杯だ、自分を偽る仕事、偽る友人、偽る恋人、偽る自分。
目標がない、生きる意味、己の存在の証明、ネットゲーム《仮装環境》への依存。
「こんばんは!」
『こんばんは〜』
挨拶、返答、安堵。
男は感じる、ゲームへの高揚感か己の秘匿とする壁の黄金比率での他人への干渉。
安心、信頼、安堵。
画面にはモンスターを狩る自分のアバター、そして信頼の置ける仲間達。
仕事や生活、将来の不安など暮れず、求める《渇愛》
貪る、貪る、偽りを二分にせよ。
己の存在の証明を確立し、現代を明日も生きるのだ。
「こいつ中々上手く倒せないな」
『難しいけど、マスターがこうすれば上手くいくって言ってたよ』
「本当だ、今回の敵は《コミュニケーションスキル》が大事だったんだ」
『でも君は《戦士》だから僕の言う通りに動いてよ』
「わかった《詐欺師》の君の言う通りにする」
かくして、敵を討伐する二人。
行動可能な《22時間》を有意義に使うアバター、己の存在の証明の為。
23歳の男は社会の戦士であった。
自己投影すると、エゴが出てしまい観ていただく方に申し訳ない。