第八話 楽なのは序盤だけ
祝!ブクマ10!!!
やりました、やってやりました!私はやれば出来る子でした!
これも読者の皆さまのおかげ!いつもご愛読ありがとうございます!
今後ともよろしくお願いします!
さて、次はブクマ15を目標としましょうかね。
え、倍の20じゃないのって?何をおっしゃいます、そんな大層な数字にすぐなれるわけないではないですか。こういうのは細かく刻んで目標を達成したという達成感を何度も味わうのがいいんです!
朝起きて用事を済まし、昼から鍛錬し、夜に知識を貪る。
そんな生活サイクルを続けている時、私は壁にぶち当たった。
孫娘『技能に伸び悩んでいます』
たまに会話を聞き専していたり交じったりしていた情報交換機能。
本日私がこれを利用したのは他でもない、技能が伸びにくくなってしまったのだ。
それもⅤまでは何とか伸びてもそれより上の熟練度になるのがとても遅いのだ。
マスターに聞いても精進が足りんなどと具体的な解決案を提示してくれないので、ここは一つ他の人の意見を聞こうと思ったのだ。
同じ魔導人形同士、何か分かるかもしれないからね!
魔女『あらお久しぶりー』
孫娘『お久しぶりです。他の人は?』
魔女『さっきまで冒険者さん、傭兵さん、奴隷さん何かがいたけど今は私だけのようねー』
孫娘『そうですか、ですがよかったです。どちらかと言えば魔女さん辺りに聞きたいと思っていたので』
魔女『あら、何故かしらー?』
孫娘『魔女さん、以前に熟練度Ⅹの技能を二つ持っているって言ってましたよね?なのでどうすればⅤ以降の熟練度になれるのか知っておられるかと思いまして』
魔女『そうねー。魔導人形の技能の熟練度は魔核の性能にも関わってくるんだけど、話を聞く限りでは孫娘さんの魔核は上質なもののようだし、おそらくはあれでしょうねー』
孫娘『あれ、とは?』
魔女『実戦あるのみー』
孫娘『何とも大雑把な……やはり訓練と実戦では得られるものが違うという事でしょうか?』
魔女『そうよー。何の技能を上げるつもりなのかは知らないけど、実戦で上げれるのなら上げてしまった方が良いわー』
孫娘『魔女さんもそうやって?』
魔女『私は長期間の研究と研鑽だけで上げたわー。まぁ長すぎてあまりお勧めはしないわー』
孫娘『因みにどれくらい程?』
魔女『あらー?なんのことかしらー?』
この場にいないはずなのに背後から途轍もない殺気を向けられている気がして背筋が凍った。
もしかしてこれが『呪怨魔法』を極めた者の神業的なものなのだろうか。
孫娘『……いえ、質問に答えてくれてありがとうございます』
魔女『力になれたのなら本望だわー』
孫娘『では今日はこれにて』
魔女『ばいばいー』
成程、やはりそうだったか。
研究室内の椅子に腰かけ、腕組みをしながら私は唸る。
技能の熟練度、特にⅤと言うのは特別な意味を持つ。Ⅲが一般レベルと言われている中、Ⅴ以上の技能を持っている者は才能のある者として見られ、そこからは一つ熟練度が上がるだけで周りの反応がガラリと変わるのだとマスターが以前言っていた。
きっと私が今抱いている焦りは人間でもきっと同じなのだろう。
Ⅴまでは順調に上がっていった熟練度もⅥにするにはとても時間がかかり、根気のいるものだ。
現に私は『魔導師Ⅵ』を得るのに一ヶ月もかかった。
あのマスターとの鍛錬がありつつ漸く一ヶ月で一つなのだ。これを個人で上げようと思うととても一ヶ月では無理であり、最悪数年の月日を必要とするだろう。
でだ、現在あの二度目のガリュオンとの邂逅からまた一ヶ月が経っていた。
その事を踏まえた上で見てほしい。
自己解析結果。
<個体名称>【ユーリ】
<主人>【メリエル・ファウル】
<貯蔵魔力>500/1000
<所有技能>70/100
『言語理解Ⅹ』『家事Ⅴ』『料理Ⅴ』『裁縫Ⅲ』『農業Ⅳ』『魔導師Ⅵ』『魔導技師Ⅴ』『契約魔法Ⅴ』『封印魔法Ⅴ』『強化魔法Ⅴ』『近接戦闘Ⅴ』『錬金術Ⅲ』『幻影魔法Ⅲ』『術式魔法Ⅲ』『結界魔法Ⅲ』
<個体名称>【七変加速】
<主人>【ユーリ】
<貯蔵魔力>500/7000
<所有技能>37/700
『魔導義肢Ⅹ』『魔導師Ⅴ』『火属性魔法Ⅴ』『雷属性魔法Ⅴ』『水属性魔法Ⅱ』『風属性魔法Ⅲ』『地属性魔法Ⅲ』『光属性魔法Ⅱ』『闇属性魔法Ⅱ』
まず分かりやすい『七変加速』だが、これは単純に属性魔法を全て取得したことになる。
マスターにバレないように鍛錬しているので熟練度は少し低いが、以前から取得していた『魔導師』や火、雷の属性魔法の熟練度がⅤで止まってしまっている。
そして私自身の技能も見ての通り数は増えたが熟練度でⅤを越えているものが『言語理解』と『魔導師』しかなく、他はⅤ止まり。
これは由々しき事態である。
この一ヶ月はマスターの研究資料を貪るように知識として蓄積させているというのにこの様だ。
現状このまま鍛錬していてもⅤを超えることが出来る技能がいくつあるか見当がつかない。もしかすると全ての技能がⅤで止まってしまい器用貧乏になる可能性もある。
更に私の所有技能はもう70にまで増えてしまい、残り30。これを今後どう振り分けるべきかもとても悩みどころだ。
「というわけで、助けてくださってもいいんですよガリュえもん?」
実戦と言われて思い浮かぶお手軽な相手と言えばやっぱガリュオンですよね。
こいつ一応私を鍛えてくれる気があるみたいだし、この前はちょっとしたすれ違いがあったけどあんな些細な事を一々気にするような器の小さいエンペラーウルフさんだとは思ってないですよ私は。
という事で再び夜中にガリュオンの棲み処へとやってまいりましたとさ。
そして第一声にちょっとふざけてみたらとても苛立っている雰囲気を醸し出しながら、表情はあまりよく分からないが牙をチラつかせながら低い声色で唸ってくる。
「(貴様、噛み殺すぞ……?)」
やっばい、これ結構マジ切れしてる感じだ。
流石にこれ以上ふざけた態度取ってたら気が変わって本当に噛み殺されそうだ。
「まぁ真面目に聞いてください。こっちだってふざけて言ってるわけじゃないんです」
「(あいつの所に放り込んでやろうか……)」
あかん、これは本格的に謝らな許してくれんかな?
今の状況で正体不明の魔獣の前に放り出されたら瞬殺されそうな気しかしないのですが。
「それは本当にやめてほしいですね……というか話をまず聞いてくださいよ」
「(話を聞いてもらう者の態度ではないな)」
よし、もう無視しよう。私は魔導人形、鋼の意思を持ってめげずに前進だ。
「私は強くなりたい。それには実戦が一番だと助言をもらったのですよ」
「(はぁ……まぁそうだろうな。我も昔は我武者羅に格上の相手と殺し合ったものよ)」
「え?ガリュオンって昔から強かったわけじゃないんですね」
何かもう凄く深いため息吐かれたけど、何とか許してもらえたようだ。というより呆れてものも言えないと言えばいいのだろうか。どっちにしたって結果オーライってことで。
しかし思わぬところでこの昔っから最強まっしぐらだったかのようなガリュオンにも若かりし頃、未熟で今のような強さのない時代があったんだな。
そう考えるとガリュオンにも親近感を覚える。
こいつもここまで苦労したんだろうな。
「(当たり前だ。これでも生まれた時はただのローウルフだぞ我は)」
「えぇええええええ!?」
ちょっと待てえええええええええ!?!?!?
お前今全長10mはあるんだぞ!?なのに元々はあのただの狼みたいなローウルフ!?嘘も大概にしろよこん畜生!!!
……あ、でもそう言えば以前マスターからそんなことを聞いた気がする。
魔獣は進化するものでエンペラーウルフは進化の最終形だとかなんとか。でもそれにしたって規格外の変わりようだなこうして見ると……。
私があまりの驚きに叫び声を上げ続ける中、ガリュオンはポツポツと自分の事を語り始めた。
「(貴様になら別に語っても問題ないだろう。少し昔話をするとしよう)」
「あの、それって結構長くなりますか?」
「(……簡単に話す。そう時間は取らせんし、今のお前には必要かも知れんぞ?)」
「では大人しく拝聴させていただきます」
私は手ごろな岩に腰を下ろしてガリュオンの話に耳を傾ける。
ガリュオンはその鋭い視線を飛ばす赤い目を閉じ、過去を思い出しているのか少し顔を俯かせながら語る。
「(あの頃は、生きるのに必死だった)」




