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転生先は魔導人形~地獄の借金100年ローン~  作者: 鈴兎
第二章 借金の始まり
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第十九話 溝浚い

まさかまさかのブクマ50越えがやってまいりましたよー!

いやー嬉しいですねぇ。

流石にブクマは50いかずに止まってしまうのではないかと思っていたのですがそんなことはありませんでした。

ブクマしてくださっている方、そして全ての読者の皆さま、今後ともよろしくお願いします。

「じゃあここもよろしく、ジーヤ」

「(全く、スライム使いの荒い奴じゃ)」


 ヘドロスライムであるジーヤに頼み、詰まっている下水道の流れを掃除してもらうように頼み、ジーヤは渋々ながらもそれを行う。

 カインさんと酒を飲み交わしてから一週間が経った。

 私はその間特に代わり映えのない日常を送った。

 毎朝『大熊亭』で朝食を食べ、冒険者組合に赴き、溝浚いとヘドロスライム討伐の依頼をこなし、夜に以来の報告を終えると『大熊亭』へと戻り気の良い人たちと酒を飲んで寝る。

 これが私の生活のルーティーンとなっていた。

 そして溝浚いの依頼だが、先日拾ったヘドロスライムに手伝ってもらうことでとても楽になった。

 爺臭い口調で、尚且つ長生きだというヘドロスライムに名前がないと不便だと思いジーヤと名付けた。

 そのジーヤの食事は基本的に汚物。基本何でも食えるそうなのだが慣れとは怖いもので、普通の食事があまりお気に召さないらしい。

 そこで私は考え、アレイスの下水道に住み着いているヘドロスライムを絶滅させないことを条件に溝浚いの依頼を代わりにやってもらう契約をした。

 いろいろと損得が曖昧で、ジーヤの分裂体を絶滅など私には出来ないし、ジーヤも食事が汚物である必要はないのだからこの契約は単に形だけ契約関係に置き、互いが必要以上に警戒せずとも良いようにする為のものだ。

 そしてもう一つ溝浚いで良いことが見つかった。


「ここら辺でいいのかな?」

「(そうじゃな。にしても良くこんな場所で訓練などする気になるわい)」

「嗅覚さえ遮断すれば後は特に気にならないし、人目もなくて便利だけどね」

「(そういうもんかの……)」

「でも魔素溜まりの位置を知ってるだなんて流石だね」


 ジーヤの食事兼掃除が終わった後、私たちは下水道の魔素が滞ってしまいジーヤのようなヘドロスライムを生み出す原因である魔素溜まりが発生している場所に来ていた。

 何故そんな場所に来ているのかといえば単純明快、吸魔石による魔力補充のためである。

 魔素が溜まり、空気中に大量に存在するこの場所に来ると吸魔石の力がフルに発揮され、私の魔力はこの一週間で封印ストックが出来るくらいに魔力を補充出来ていた。

 そしてそこで考えたのがこの魔素溜まりにて魔力を心配せずに訓練を行うという下水道場作戦!

 魔素溜まりまでの道のりでジーヤに掃除をしてもらい、大きくなったジーヤが魔素溜まりにて分裂を行い、私がそれを訓練と称して倒していく。

 これによって依頼は出来るし、訓練も出来る。更に魔力までも補充出来るという一石三鳥!素晴らしい作戦だ!

 ちなみにここ最近での成果を確認してみる。


<個体名称>【ユーリ】

<主人>【――――】

<貯蔵魔力>1000/1000

<所有技能>97/200

『言語理解Ⅹ』『家事Ⅴ』『料理Ⅴ』『裁縫Ⅲ』『農業Ⅳ』『魔導師Ⅵ』『魔導技師Ⅴ』『契約魔法Ⅵ』『封印魔法Ⅵ』『強化魔法Ⅵ』『近接戦闘Ⅵ』『錬金術Ⅴ』『幻影魔法Ⅴ』『術式魔法Ⅴ』『結界魔法Ⅴ』『狂化Ⅲ』『鎮化Ⅲ』『飲酒Ⅴ』『調教師Ⅲ』『治癒魔法Ⅰ』


 とても突っ込みどころが多い気がするが、仕方ないといえば仕方ない気がする。

 まず以前まで持っていた技能だが、『契約魔法』がジーヤのような知能の高い魔物としたことで熟練度を多く稼げたのか一つ上がっている。

 そしてそれに伴い『調教師』という技能もいつの間にか取得していた。

 『治癒魔法』はアリエルさんの使っていた『神聖魔法』を見てそういった支援系の魔法が欲しいと思い立ち、村から封印して持って来ていたメリエルさんの蔵書の一部を使い一から学び習得した。

 私自身には意味の無い魔法だが、怪我人を見つけた時などは役にたつだろう。いずれは魔物や魔獣を相手にしていくのだ。いつまでも一人というのにも限界はあるだろうし、その時仲間となるのは生身の人間だ。

 ならば取得しておいて無駄という事は無いだろう。

 『飲酒』は……ほ、ほっといてくれ!

 とまぁここまでは良いのだ、うん良いのだ別に。問題は残りの二つ。

 なんだよ『狂化』と『鎮化』って……。

 思い当たると言えばオルトとの戦闘。あの暴走したのが良くなかったんだと思う。

 私は今まで何度か無茶をしていたが、あそこまでの暴走は初めてであった。恐らく原因はこの『狂化』を得てしまったせいなのだろう。

 しかしそれにしたってⅢってなんだ。一気に上がりすぎだろう。

 しかもそれと対になるように存在する『鎮化』。これがなければ私は元に戻れなかったと推察している。

 まさか数少ない所有可能技能数をこんなもので6つも減らしてしまうとは思いもよらなかった。

 直ぐにでも消してしまいたくなるが技能というものは一度身に付けてしまうと消すことが出来ない。

 それはそうだ。誰だって最初出来なかった自転車の運転も一度出来てしまえばもう出来なくなることはないのだから。技能もそれと一緒なのである。

 故に今後としては出来る限り現状を維持し、これ以上無駄な技能で圧迫されないようにすることだ。


「取り敢えず倒すから分裂してよジーヤ」

「(もし儂等に痛覚があれば怨み殺してやりたくなる台詞じゃが……まぁ良い)」


 話の分かるジーヤは私の半分程の大きさとなった体をいつもの手乗りサイズになるまで分裂を繰り返し、計10体程の分裂体が完成した。

 ふふふ、これを倒すだけで銅貨200枚……なんて美味しい仕事なんだ。

 しかし私が貰えるのは銅貨20枚だけ。何とも世知辛い話だろう。

 魔石の買取と溝浚いの報酬を足しても日給銅貨45枚。それを日々の酒代に使えば手元に残るのは銅貨10枚前後……借金って辛い。

 そんな事したら『飲酒』が上がる?ほっといて!あれは良いの、別腹なの!


「それにしても一体どうやったらこれ以上熟練度が上がるのか……」

「(そんなもの、長い期間を費やすか、こんな儂等のような雑魚ではなく強い奴と戦う事じゃ)」

「やっぱそうだよねぇ」


 分裂体を何の苦もなく魔法で焼き払いながら私は過去にも同じような事を言われたのを思い出していた。


「でも私が苦戦するような魔獣とかはここら辺の平和な土地だといないし……」


 ただしガリュオンやカースボアは除く。奴らは特殊な例なのだ。

 組合の情報によればこの近くにある森に存在する魔物や魔獣は雑魚ばかりと聞く。そしてこのような街の結界の有効範囲外である下水道などにもヘドロスライムしか湧かない。

 ジーヤによれば厳密には違うそうだが、さして問題ではないとの話。

 まぁ問題のあるような奴がいたら既に討伐体が派遣されていて私の出番などないだろうな。


 分裂体を片付けてしまって暇になれば私は魔力補充をしながらメリエルさんの蔵書を読み進める。

 研究資料などの重要物は村の家に置いてきているので最近は専ら魔導書と呼ばれる様々な魔法の事やその習得法、応用などが書かれている物を読んで勉強している。

 まだ数冊しか読めていないが、その中には覚えてみたいと思う魔法が幾つもある。しかしその全てを覚えると所有可能技能数の限界があるので全ての熟練度が中途半端になってしまう。故にまだそれらには手を付けず、より多くの魔導書を読破したのちに精査するつもりだ。


「あの魔導師が使ってた『重力魔法』とか『拘束魔法』とかも良いし『隠蔽魔法』なんかも使えたら便利だ。それに魔法だけじゃなくて『近接戦闘』以外にも白兵戦用の技能も欲しいんだけどなぁ」


 しかしそうするとそれを教えてくれる存在が必要となる。

 『近接戦闘』のような総合技能は特にそういったものは必要ないのだが、『剣術』や『槍術』といった専門技能はそうはいかない。

 知り合いにそういった人物はいないし、誰かを探すにしても人形に教えてくれるような気の良い人もいないだろう。

 現状では直刀を扱うために『刀術』が欲しいのだが望みは薄い。


「(おい、大体終わったぞ)」

「もうそんな時間か」


 私が読書している間に再び掃除に勤しんでいたジーヤが声をかけてきた。

 ジーヤが呼んだという事はそろそろ夕方、今日のお勤めもこれで終わりだ。

 因みにジーヤは何処かで分裂したようで掃除の後でも小さいままである。

 何でまた討伐しないんだと言われそうだが、そんなに毎日多くのヘドロスライムを討伐したとなると組合の方で独自の調査をされてしまう。

 故に私は1日10体と決めているのだ。

 ジーヤの体を一応水を出して洗い流してから掌に乗せる。


「(もう頭には乗せんのか?)」

「二度とやるかあんな事」


 ジーヤが嫌味ったらしい口調でそう言ってくるのはいつもの事だ。

 一週間前、初めての溝浚いの時私は下水道内でジーヤを頭の上に乗せてみた事があった。

 何となくマスコットを頭の上に乗せているキャラとかいたなと思い出し、自分も挑戦してみようなどと馬鹿な事を考えたのだ。

 結果は散々であった。

 このジーヤ、普段はツルツルとしていて手に持っていても問題ないのだが、熱が伝わり温かくなっていくと粘度が高まっていきベタベタしてくるのだ。

 そしてそれは私の頭を襲い、髪の毛が酷い有様となったのは嫌な思い出だ。

 それからというもの私は掌以外にはジーヤを乗せない事を自分に誓ったのだった。

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