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転生先は魔導人形~地獄の借金100年ローン~  作者: 鈴兎
第二章 借金の始まり
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第六話 待ち伏せ

祝!総合評価100突破!

まさかこんなに早く100を超えることが出来るとは思っていなかったのでビックリです。恐らく10万文字の大台に乗ってからかなーと大雑把に思っていました。

しかし今回で既に9万文字を超え、後2話ほどで10万文字を超えることが出来ます!

今後ともよろしくお願いします!

「さてと、これからどうしましょうか」


 村でやるべき事を全て済ませた後、私はメリエルさんの家に『封印魔法』と『結界魔法』を組み合わせた封印結界と呼ばれるものを張り、一般人では破る事は不可能な状態にした。

 これで大抵の者は近付く事は出来ないだろうし、一応村長さんに頼み怪しい人物が村に訪れた場合は警戒してもらえるようにした。

 こんな事をしたのはメリエルさんの遺産を保管しておくためであり、確か娘さんにアリエルさんという方が居たはずなのでその人と話し合ってどうするかを決めたいと思ったのだ。

 村長さんによればアリエルさんは私がこれから向かう交易都市アレイスに住んでいるらしく、メリエルさんの死についても手紙を送っているため知っている筈だと言うので丁度良かった。

 ならばと私は少ない手荷物、まぁ殆どは『封印魔法』で消しているだけなのだが、それを持って村を去り今に至る。


 現在は村から北に向かって一日程歩いた位置にいる。

 エリム村から交易都市アレイスまでは馬車で一週間程で着く距離にあるというので中々近い。

 初めての旅立ち、気の向くままに行こうじゃないか。どうせ大金貨10枚なんて大金、数日でどうにかなるようなものではないのだから。

 ……それにしても、やっぱりこの姿は目立つよなぁ。

 周りは特に何もない草原。一応土を踏み固められた道のようなものが幅広く出来ており、馬車が二台並んで走れるほどなのだが本当に何も、というか人工物というものが全く見当たらない。

 前世においてもこんなだだっ広い草原など相当な田舎でないとお目に出来ないだろう。

 そしてそんな風景の中、真っ赤なチャイナ服に身を包む主人を持たない銀髪の美少女っぽい魔導人形。なんというコントラストの取れていない存在だろう。

 たまにすれ違う馬車の御者さんに二度見されてしまう始末。

 これは次にセフィーナさんに会った時には文句の一つでも言ってやろうと内心思いつつ旅路を進んでいた。


 流石田舎のエリム村近郊と言ったところか、道中特に問題らしき事は起きず、アレイスまで残り一日といった所で何やらフラグを回収してしまったらしい。


「そこの人形、ちょいと待ちな」

「……」


 いつも通り馬車が近付いて来るのが見え、どうせまた二度見されて終わるだろうなんて呑気に考えていると、突然馬車の荷台から数人の見た目からして荒くれ者といった雰囲気の者たちが出て来て私を取り囲んだ。

 私は一人、相手は四人。御者や荷台にまだ仲間が残っている可能性を考えると計六人以上と判断した方がいいかもしれない。

 相手の実力も定かではないし、何より多勢に無勢。一対多数の戦闘に慣れているとはいえそれは魔獣の話、人ならば互いに連携し合うので魔獣とは遥かに厄介な相手と言える。

 その事を踏まえ、私はまず相手の出方を待った。


「良い子だ。話にあった通りの上物だな」

「私に何の用でしょう?」


 まぁ教えてくれなくても魔導人形を襲う理由なんて限られている。あって二つぐらいだろう。


「勿論、お前を捕まえて売り飛ばすのさ」

「売り飛ばす……」

「そうさ、先日俺らの雇い主が道端でお前を見かけてピンと来たらしいぜ」


 どうやら予想通りの理由のようだ。

 恐らくこの口振りからして私を何処ぞの豪族か貴族辺りにでも愛玩用途で売る気なのだろう。

 しかも私を見たという事は今までにすれ違った馬車の中の一つにこいつらの雇い主がいたという事か。そうなるとおちおち一人でまったりと旅も出来ないではないか。

 魔導人形は見てよし、壊してよし、慰み者にしてよしと三拍子揃った素晴らしい逸品であるため、こういった輩は何処かにはいるだろうと思っていたがこんなに早く出くわすなんて……。

 因みにもう一つの理由とは分解して金にするというものだ。

 その体の殆どが魔鉱石で出来ている私たちは腕一本でもそこそこ価値がある。更に状態の良いままならそこに刻まれている術式が生きている事もあり、作り手にとっては他人の技術を盗む事も出来る。

 だがこれらは普通に違法なのでこういう手を使うのだ。


 さて、襲われる理由は確認出来たがどうやってこの状況を切り抜けようか。

 男たちの獲物は珍しくもない普通の鉄製の片手剣。それ以外にも隠し持っているかもしれないがそれを考えても分からないので警戒する事しかできない。

 極力相手を刺激しない程度に身構える。


「はっ、別に悪いようにはしねぇ。どうせ野良なんだ、主人が必要だろう?なら裕福な方に貰ってもらえるってのは良い事だと思うぜぇ?」

「却下です。私の主人はただ一人。今後誰かを主人とする気はありません」

「へぇ、そうかいそうかい。なら、こうするしかねぇなぁ!」


 私の返答に対しニヤリとその悪人面を歪ませ、声高々にそう言ったのと同時に指を鳴らした。


「っ!?」


 気付いた時には既に遅かったようだ。

 男の指が鳴った瞬間、私の足元から魔力の反応を感じ取りその場から離れようとしたが、魔法は既に発動されており私はまんまと相手の罠に捕まってしまった。

 発動されたのは恐らく『術式魔法』。きっと私がここに来るのを見越して事前に地面に術式を刻み込んでから『地属性魔法』か『隠蔽魔法』により隠していたのだろう。

 くそ、相手が人間だということを甘く見過ぎていた。人間であるからこそ気を付けなければいけないのは戦闘中の連携よりもまずは情報。待ち伏せされていた事を考慮すれば相手側は何か策を講じる事も出来たはず。

 現に私は今その策に嵌められている。

 そして私は愚かだ。馬車にまだ仲間が残っている可能性を考えながらも、それが魔法担当であるという事を一切考慮していなかった。

 それは出て来た荒くれ者たちに魔法を扱えそうな知性を感じなかったのが原因なのだが、そんなものはこじ付けだ。考えなかった私が悪い。


「どうだ?雇い主のご自慢のお抱え魔導師さんの力はよぉ」

「『地属性魔法』で隠蔽した『術式魔法』に『拘束魔法』と『重力魔法』を組み合わせたというところでしょうか?中々高位の魔導師さんのようですね」


 『拘束魔法』特有の魔力鎖により全身を縛られ、『重力魔法』による加重により地面に膝をついた状態で私は自分の考察を口にした。

 メリエルさんは規格外なので考えから除外するが、基本的に『術式魔法』に組み込める魔法は一つである。

 それは魔法によって多少程度は変わるのだが、魔法はどの魔法に対しても反発し合う性質を持っているせいだ。それにより『術式魔法』のような反発の少ない、他の魔法と合わせるために作られた魔法であっても二つとなれば三つの異なる魔法が反発し合い魔法の構築が成り立たなくなってしまう。

 しかし高位の魔導師ともなれば長い研鑽の後にこのように複数の魔法を術式に加える事が可能となるのだ。

 故にこの荒くれ者が言うように自慢出来るほどの高位の魔導師だというのはほぼ間違いないだろう。


 困った。実に困った。

 私は現状にとても悩まされていた。

 相手の戦力がほぼ把握出来たのは良い。だが把握出来てしまったが故に勝ち目が見出せなくなってしまった。

 四人程度なら何とかなるだろうと心の隅で思っていたというのに後ろには魔導師が控えているなんて聞いてない。しかも絶賛拘束中な私にはこの逆境を乗り越える策がない。


「ふん、どうやら諦めたようだな。そりゃそうか。ただの魔導人形が人間相手に勝てるわけねぇもんな。しかもお前は野良、魔力が無くなればそれでお終いなんだからよぉ」

「くっ!」


 男の発言には私に限って少々異なる部分があるが、いくら魔力補充が出来るからといって今朝確認した時に残っていた魔力量は500。

 この魔力量ならばこの拘束状態から抜け出す事は出来るだろうがその後が続かない。

 『術式魔法』は同じ『術式魔法』によって書き換える事でその効果を打ち消す事が出来るのだが、二つの魔法を組み合わせた術式ともなると書き換える前に男たちが行動を起こすだろう。

 『深紅の長靴』に魔力を一気に注ぎ込んでの強行突破が最も現実的だが、この重力下でどこまで出来るか分からない。


 ヤバい、本当に詰んだ。

 まさかアレイスに着く前に一人旅終了とかセフィーナさんに何て言えば良いんだ!?


「さて、無駄話はここまでだ。大人しく捕まってくれや」

「……ふふっ」

「なんだ?何笑ってやがる?」


 あぁ、本当に詰んでいた――



――捕まる前の私なら。

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