エメラダは正体を晒しましたの回
「ルビーおねちゃん!泥んこの上でこけちゃったー!」
只今仲良し女子組は男子組が木の実をとっているのを傍目に遊んでいる……のではなく山菜採りをしてました。
えぇしてましたんです。しているではなく。
何故ならロッテがこけてこれ幸い!とエメが泥に転がり込み人に泥を投げつけると言う……令嬢らしくない、そして何とも年相応の子供らしい遊びを始めたからです。
「ほんとだお母さんに怒られるよ?」
「えぇ〜それは、困るよぉ!ええい!ルビーおねちゃんも道連れだぁ!」
って抱き着く。
きゃあきゃあと騒がしく遊んでいる様子は一見仲の良い姉妹のようだ。
「こうなったら!全員泥まみれにしてやろうね!」
そして、ルビーおねちゃんのノリのいい事この上なく、瑠璃ちゃんや真珠さんに抱き着いては押し倒すを繰り返した。真珠さんに抱き着いた時に逆に押し倒されてビックリした事は言うまでもない。だって真珠さん凄いイケメンなんだもん!
日が暮れる頃には男子組を除き全員が泥人形の様になっていると言う混沌とした状況が出来上がっていた。
「全員で怒られよっか〜?」
「なぜ、私まで!」
「元々ロッテが泥に転けたのが悪い。」
「エメ〜歩ける?おんぶしよっか?大丈夫?」
「大丈夫だよ!だってエメ強いもん!」
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「お母さんただいま〜!」
「はい。お帰りなさい。エメ……知り合いだって人が来てますけど……その格好じゃ会えないですね。また今度来てもらいましょうか?」
「知り合い?エメ知らないよ。何さん?」
もう、追っ手がここ迄来たのか?知らない振りしてやり過ごそう。
「はい。分かりました。早く庭のホースで泥を洗い流しなさい。お客様が帰ったら覚悟してくださいね?」
「えぇ!?怒られないと思ってたのに?」
本当だよ!エメも怒られないと思ってたよ。
「早く洗い流さ無いと固まって動けなくなりますよ。」
それは、こまる!
早く洗い流そう!
「いっくよぉ〜一列に並んでねぇ!」
行き良いよくホースから水が飛び出して来る。
よく冷えた天然水が少し固まってきた泥を綺麗に洗い流してくれた。
「クシュン……まだちょっと水遊びには、早いね……早く夏になったらいいのに。」
「だね。水遊び楽しみだね。」
あぁ早く夏になったらいいのに。
多分やって来たであろうシスコンのエリスの事は忘れよう。エリスだけじゃないと思う。多分執事長あたりも一緒に来たんだと思う。
なんなら、金にものを言わせて潜り込んできそうだ。
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案の定次の日エリスが泣きながら縋り寄ってきた。キモイ。いくらエリスが見目麗しと言う地を這って縋り寄ってきたら怖いし、キモイ。
「エメラダ〜お屋敷に帰ろう〜!義母様がお怒りですよぉ〜」
なんて情けない。それでも男か?
権力を盾にするのか。なら、私は子供の武器必殺人見知りを発動しようではないか!
「ヒッ……お兄さん誰ですか?そもそもエメラダなんかじゃないよ?ルビーおねちゃん!知らない人が怖いよぉ!」
「えっ?しってる人じゃないの?
貴方誰か分かりませんが私達の可愛いエメに手を出さないで貰えますか?」
ふふん。頼もしい味方だ。ずっとここにいたい。
「エメちゃん。さっき山で綺麗な花を見つけたんだ。あげ……えっ?人さらい?危なくない?お母さんは?」
人さらいでは無いがな。逃げ出したエメラダを連れ戻しに来たんだと思う。
「お母さん?さぁ?わぁ!綺麗なお花だね!何処に咲いてたの!?」
「あらまあ……では、どうやらうちのエメちゃんは貴方方の探しているエメラダ様とやらでは無かったようですねぇ。お引き取り願えますか?」
ふふん。大勝利だな!流石力強い味方だ。
お母さんは聖母様の様に優しく時には厳しく私達を正しい方向に導いてくれる。大概孤児院の子ってグレたりとかしちゃいそうだけど、ここはそんなこと無いと思う。
「エメ……お話ししましょう?聞きたい事が沢山あるわ。」
「ドンマイ!後で花畑に行こう!」
ドンマイって!早は話を終わらせて花畑に行くんだから!パルお兄ちゃんの為に花冠を作るもんね!
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「エメちゃん……もしかして、貴女は行方不明のエメラダ様ですか?」
「もし……エメがエメラダだったら?エリスに引き渡す?」
そんなことあったらパルお兄ちゃんと別の孤児院まで移ろう。そしてエリスが、追いかけて来たらまた別の孤児院まで移るんだ。
絶対に逃げ切ってやるんだから!
「いいえ。でも、きちんと理由を知りたいわ。お母さんは子供の悩みを無くすのが仕事ですからね。」
「逃げ出してきたの。おーじさまと婚約させらたの。」
お母さんか……あっお母様って言わなきゃ怒るな。面汚しって怒ってるだろうな。でも知ってるんだ。本当はお母様では無いこと義母様である事を。
義母様はお父様の後妻である事、エメラダのお母様はエメラダを産んで直ぐに事故死した事。
義母様はちゃんとエメラダを可愛がってくれてる事。
「逃げ出してきたんですか?婚約が嫌だったんですか?」
「はい。そうです。」
「でも、この国の王子様とやらは見目麗しく、秀才で、3歳児らしからぬ発想と行動力で、将来は優れた王になると噂の人ですよ?」
だから、嫌なのだ。支え用がない上に窮屈な生活を強いられる、そして
物語が終わると見世物だ。まさに踏んだり蹴ったりだろう。
「エメは……町の人に産まれたかった。策略とか貴族間の愛憎とか、知らないで生まれてきて死にたかった。こんなの望んでない……」
そうだ。望んでないのだ。国母になる事も街の人々の見世物になる事も、エメラダとして産まれてきた事も
「そうですか。ならたんとお悩みなさい。エメちゃんには言ってなかったけど、と言うより言う気も有りませんでしたけど此処に居るのはそう言った貴族で貴族社会に適応出来ないで逃げ出してきた子達ばかりだから……解決のヒントをくれるかも知れませんよ。きちんとお話ししてご覧なさい。」
えっ?ルビーおねちゃんや真珠さん、瑠璃ちゃんやロッテが貴族社会に産まれて私みたいに適応出来なかった子達なのか……もしかしたら、男子組のみんなもそう言った子達なのかも知れない。
「はい!エメはちゃんと悩んで……エメラダって名前を捨てます!」
「あらあら……ここの子達……誰も名前を捨ててないわよ。そうねぇ……真名を教えるのはここの子達と愛する人だけにしなさい。簡単に教えちゃ駄目よ。」
うん。分かった。愛する人……今はまだパルお兄ちゃんとしか言えないけど……いつか、パル様ううん。パルシアン様とお呼び出来たら良いな。
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「ルビーおねちゃん!皆!あのね!お話しがあるの!」
「うん。知ってるよ。食堂に行こっか?」
もしかして盗み聞きしてたの!?
「あのね……隠してたんだけど……エメは……エメラダ・グリーン・フォン・グレゴリアです!」
「ふーん。私はね。ルビー・ラメダン。エメみたいに婚約が嫌で逃げたしてきたの。」
「あら。最近話題の王子様の最愛の人でしたの(笑)
私はシャーロット・ド・プレシアよ。北の国の第二だったかな?王女よ。立場が危うくなったから逃げて来ましたの。」
「神宮寺瑠璃。お兄様に暗殺されたく無かったから真珠と一緒に逃げてきた。」
「櫻田真珠。瑠璃と一緒に逃げて来たんだ。瑠璃のお守り兼親友だからね。」
ふーん。皆それぞれの理由があったのか。しかも、どれも知ってるコトだ。ラメダン家の令嬢が逃げたしたことは二年前……エメラダが2歳の時に一時期話題になっていた。
北の国は人狼族が収める国。
豊かな自然と様々な耳や尻尾が生えた人達。獣人の国とも言える。
そんな国の第二王女に耳や尻尾が無いこと、逃げたしたことが見つかったのは私が産まれてすぐ後のこと。
流石前世の記憶が有るからか、皆がほぼ無いような記憶が有るのは助かる。
神宮寺令嬢暗殺未遂は一年前。
お兄様より優れた令嬢に嫉妬したお兄様が暗殺を頼むと言ったひどい話。それの後神宮寺令嬢は見つかっていないらしい。まさかこんな所に居るとは思いもしなかった。