鷹野大学附属萩沢高等学校 文科1年Sクラス
だぉ
蒲田くんのだぉ出てきます。
キーンコーンカーンコーン
「終わったーーー!」
「ふぅ・・・帰ったらテス勉しねぇと・・」
「えー?もう?」
そりゃまあいつか抜き打ちテストと小テストがあるらしいし。
今からやってても遅くはないだろ。
「にしてもさー、どんな子なんだろうね~、」
「んー、会ってみないと分かんねぇよな。ああ、でも。」
「女の子だったら嬉しいよね~!」
蒲田・・目がヤらしいぞ。
半ばため息をしつつ、下校支度を済ませる。
高校生になってからというもの、置き勉というのが可能らしく
教科書を置いて帰る生徒も少なくない。
だがしかし、
TOPのレベルで居続けるには、少しでも多く予習復習をしないといけない。
それ故にバッグの重さ含めて10kg近いのを毎回持ち帰る。
傍から見ればガリ勉に思われるだろうが、俺のやり方は一味違う。
デメリットはまあ重いことだが、いい運動にはなる。
「あ、そうだ、臨也。数学10ページB-5分かんなかったんだけど」
「んなもん自分で解けや。」
「わかんないから聞いてるんでしょ!」
ぷくっと口を膨らませた蒲田。
俺と隣に並ぶと、わんころみたいで可愛いらしく、結構モテる。と踏んでいる。
だが本人は無自覚なので敢えて言わない。
「ホームルーム始めるぞ~」
『はーい』
ーー・・・・
「ってことで部活動の体験入部とか委員会見学とか各自来週末には済ませるように。
なんか質問あるやつ~」
「はい、先生!」
ひとりの女子生徒が手を挙げた。
「なんだ、鴨谷。」
「ちょっとほかの高校より体験入部早すぎませんか。」
ざわざわとクラスが騒ぎ出す。
「まあ確かにそうだな。
・・・我が校は勉学以外に部活動や委員会活動にも力を入れる高校だ。
将来大学に受かりやすい物もある。」
へ~、ヒイキか。
悪い気はしないけど、大変そうだな。
・・って俺らは既にわけわからん部活に無理やり入らされそうだがな。。
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「んじゃ解散~」
『さようなら!』
「臨也、行こ!」
「うーい」
はあ。やっぱり行く羽目になるのか。
俺だけでも抜け出そうと思ったけど....
『キャァーッ!あのコンビほんと可愛いよね~』
『ね~///』
・・・。喧嘩になったら困るし、
なにより
「臨也ー?勝手に帰ったりしたらー、バ・ラ・す・か・ら~」
「は、はい.....」
こいつの口調と言ってる言葉が食い違うのが何とも怖い。
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トントントン
「「失礼しまーす」」
「・・・!来てくれたか諸君!!」
会長の椅子らしきところに足を組んで座っていた南田会長。
普通に見れば風情あるのになぁ...もったいない。
「ささっ座りたまえ」
「・・・。なんかドキドキするね。」
「・・・厄介なやつじゃなきゃいいがな。」
「あ、多真西くん、お茶を入れてくれ。」
「かしこまりました。」
多真西と言われた、男子生徒・・じゃないな。
これ誰だ。
「申し遅れました、南田会長の補佐で執事をしております。
多真西昴流と申します。以後お見知りおきを。」
し、執事・・・
「そういえば南田耀太ってどっかで見た名前だなって思って調べてみたら」
また調べたのかこいつ・・。
「南田 真祥が率いる南田文庫グループの社長の御曹司だということがわかったお!」
「ん!? 蒲田くん、なぜ君がそれを!?
これは一部の人間にしか知られてない秘密情ほ・・・」
「僕の情報網及びデータ検索能力を舐めてもらったらいかんぜよゥ」
蒲田優一・・・末恐ろしい男。
それにしても学校に執事ってあり得るのか。。
「・・・南田文庫と言えば、たしか推理小説が今流行ってますよね。」
「もしかして、会長さんが探偵倶楽部作ったのも・・」
多真西さんから差し出されたお茶を手に取り、
雑談に入る俺たち。
・・・てか高校で優雅なおやつタイムって許されてたっけ?
「ああその通り!いろんなジャンルの本の中で推理小説を読み始めたのが小1の頃。
あれからずっと読んでいたら実際に探偵をしたくなってな~・・」
それから話は続く。
どうやら完璧に、
推理小説が発端となりこのよくわからん部活が成立されたわけだ。
話がどんどん盛り上がって、誰か止めてくれないかと思ってた時。
トントントン
「南田様、あの方がお見えになりました。」
「ああ、入っていいぞ」
「失礼しますっ」
甲高い女子の声と共に
ガラガラとドアを開けて入ってきたのは。
「遅くなって申し訳ありませんです!
文科1年Sクラス!北原めぐむ、ただいま参上♪」
これが俺たちの
幸せな3年を歩めると思っていた俺の、
波乱万丈な日々が始まる幕開けだった。