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文系少女に御用心。  作者: *琉輝那*
一、人は見かけによらず。
13/15

ストーカーの理由は時として残酷なものである

南田会長......(´;ω;`)

「とんだ災難だったねー」

「そうだねー、早とちり乙だわー」

「ほんとかわいそー」

「かわいそー」


「やかましいわ!!」


最近一日があっという間に感じる。

気づけばもう4月末。


例のストーカー事件のことはまだ解決してない。


今は昼休み。

いつもは蒲田と昼食を摂るのだが、

北原と再会してからというものコイツもおまけとなって一緒に居る。


「あ、そういえばさ、同クラの子がねまた昨日変な奴につけられてたって」

「へー、そうなんだー」

「ちょっとー、なにそれぇ。もっとこう意欲的になってよー!」


お前はいつまでそのキャラを通すつもりなんだ。

ギャル系おバカは特に嫌いなんだよ俺は。

まあ、俺にキャアキャア喚く女どもは大体男に飢えてる清楚系ギャルなんだが。


・・・・待てよ?


「なあ北原、たしかストーカーの被害受けてる女子生徒ってみんなギャルなんだよな?」

「うん、そうだよ。メイクもばっちりで、成績も不落、口調もまぢでギャル~」

「めぐちゃんまでギャル化する需要が見えなくなってきた...」


だとすると・・・

ストーカー行為をする大抵の理由は恋愛的なものがある。

しかしつけられてるだけで話しかけられもせず、ただ見ているだけ・・。

犯人はよっぽどのあがり症なのか、嫌われるのが怖い・・・?



「ああ、あとね、その子達の共通点もう一つ見つけたんだけどさぁー」

「なんだよ」

「その子達、みーんな一度生徒指導かけられてるの!」



はは、よっぽど不良娘なんだな。

そんな女子生徒に恋焦がれる男子なんてほとんどいない。

むしろ北原が言ってたあの真面目な生徒委員とかには・・・

・・・・・っ!!



「おい、その女子達のストーカー被害の時間は!?」

「ああえっと、夕方の5時半だよ。なんかわかった?」

「蒲田、生徒指導の先生を呼んで! 北原は被害者女子達を部室まで!!」

「「え、あぁうん・・」」



俺はある人物を探しに校内を駆け回った。


*******************************




「鈴木くんですか?少々お待ち下さい」


鈴木正義。1年の中で最も頭が固いと言われている、生徒会委員。


「お待たせしました・・私が鈴木正義です。」

「理数科1年Sクラスの逢坂です。少しだけお時間取らせてもらっても構いませんか?」

「え、ええ、大丈夫です。ただし時間は厳守でお願いします。」


軽く挨拶を交わし、部室に連れて行く。



ーーーーー・・・探偵倶楽部。部室


「みんな揃ったな」


部室にある椅子に適当に座ってもらって、みんなをさらりと流し見る。


なにげにこの感覚、久々で緊張する。

粗相のないようにしたい。

しかし・・・。



「会長が居ないと、話が進まないんだが」

「・・・・私、探してきます」


そう言い鈴木正義は席を立つ。


「ああ、まってまって鈴木くんはここから出ちゃダーメ。」


北原が鈴木に抱きつき魅惑の笑みを浮かべる。

コイツ、一体いつそんなワザを習得したのかな。


ひしひしと感じる怒りを背中に隠し、俺は一応の説得。


「鈴木くんは容疑がかけられているからね、あまり出入りされると困るんだ」

「私が容疑!?い、一体なんの風の吹き回しですか...」


まぁまぁ席に座って と宥める蒲田はまるで中性的なオカンのようだ。


「とりあえず会長は俺が探すから、皆さんはここで待機を・・・」


そう言いかけたときだった。


「おお、遅くなって悪かったなー!」

「南田会長っ!」


20分ぐらい遅刻しているというのに何だこの余裕の笑みは・・。


「・・まぁ南田会長も揃ったことですし、話を進めます。」


とりあえず俺は話を進めることにする。

今回この場に集まってもらったのは、被害者の女子たちと

生徒会委員の鈴木正義、そして生徒指導の貴田先生、

あとは探偵倶楽部1年と生徒会長だ。


「被害者の君たちに問います。生徒指導にあったのはいつごろですか?」

「えーっとぉ、たしか、2週間前ぐらいだったと思うょ~」

「あたしもあたしもぉー!」


この被害者たちが生徒指導にあったのは2週間前の生活点検のとき。

高校だからといってぬかりは許さない校風にも関わらず、

彼女たちはその規則を違反した。


「貴田先生は、彼女たちのどこを注意しましたか?」

「こういうやつらは、服装から喋り方、それ以外に下校態度も悪いということだからそれら含めて注意した。」


ちょっとだけのアレンジならまだしも、大幅に服装を変え、

喋り方も高校生あるまじき口調、そしてなにより、

一般の方々が通る表通りで人様に迷惑をかけるような下校態度。


イコール、我が校のイメージを下げるということ。


「生徒指導を受け彼女たちは変わりましたか?」

「それが全くだ。だから俺は生徒会に相談した。」


生徒会の会長、

すなわち南田会長に相談した貴田先生は、この件を一刻も早く解決して欲しい。

その想いを生徒会に託し去った。


「では本題に入ります。」




「今回のストーカー事件の黒幕は・・・・」






「南田会長、あなたですね。」

「・・・・。」



いつものなら笑って誤魔化すはずの南田会長。

その彼が至って真面目な顔をしているということは、肯定を意味する。



「ちょっとまってよ、会長さんは生徒会の仕事でいつも遅くなるんだよ?」


蒲田は半信半疑で抗議をしてくる。


彼女たちが帰る時刻は夕方5時半に対し、南田会長は夜の8時。


ストーカーに会うのは大体下校途中だと言われている。

それに校内に関しても、

彼女たち1年文科の教室と、先輩3年の教室は距離がある。

つまり、南田会長がストーカー行為をするのは不可能だ。


「なんで鈴木くんをここに呼んだと思ってるんだ?」

「・・・あ」


「鈴木くんは入学して以来、クラス委員としての役目、

 日々の生活態度から南田会長に一目置かれていたんだよ。」


そして生徒会長として南田会長がすべきこと。


「それは、彼女たちをワザと不安にさせる監視だった。」


しかし夜遅くまで仕事がある南田会長が出来る訳がない。


「そこで一目おいていた鈴木くんを使った・・て訳。」



1年生ゆえに下校時刻も彼女たちと同じ時刻。

そして被害が起きるタイミングは毎日ひとりずつ。


「あらかじめ誰を何曜日に監視するかを決めておいて、実行した。」




「ですよね?南田会長と鈴木くん。」


「「・・・」」


重々しく南田会長は口を開く。

「やっぱり、北原ちゃんと逢坂くんを呼んで良かったよ」

「・・え?」


南田会長は、

前生徒会長が今回の被害者の姉たちを通してひどいイジメを受けていたことを話した。


「俺が2年生になってもすごく良くしてくださったのにも関わらず、

俺は恩を返せなかったんだ」


南田会長が入学してから2年生になるまで目にかけてくれていた前会長。

彼は、鈴木くんと同様にとても正義感が強く、優しい人だったそうだ。

だからこそ、自分にとって同級生である彼女の姉たちの素行を心配し注意していた。

なのに逆に虐められるようになってしまった。

生徒会長としての責務が全うできないこと、彼女たちが益々悪に染まってしまうこと、

だいぶ重圧に飲み込まれていたんだろう。


「先輩が生徒会長引退式で泣いて引退文を読んだとき、気づいておけばよかったんだ」


涙を目に浮かばせ、だけどその目は遠くを見据えていて南田会長は話す。


「終業式の夜、学校で早めの夏祭りがあったんだ」




部活同様引退式が夏の終業式に行われるこの高校。


その日南田会長は、

前会長から貸してもらっていたものを返そうと校舎の下で待ち合わせをしていた。


すると前会長から突然の電話。

「もしもし、先輩?今どこです?」

「南田・・彼女たちの妹が入学してくる頃はおまえが生徒会長なんだろうなー」

「そうですね。って・・どこですか今」

「俺ー、見たかったなー・・お前が凛々しく生徒会長してる姿を・・」


見れるじゃないですかいつでも、そう言いかけたときだったらしい。

"空いた穴を埋められるのは、おまえだけだよー・・"



「夏祭り最後のでっかい花火と共に、俺の向かい側の校舎から何かが落ちたんだ。」


「向かい側の校舎の裏がグラウンドで、そこで花火してたから

花火の残骸とかだろうなって思ったんだけどさ・・思いたかったんだけどさ・・」



「南田先輩、もういいです・・!!!」



鈴木正義は知っていた。

俺たちが今この場で初めて知った南田会長の過去を。



鈴木正義は俯き拳を震わせて言う。


「南田先輩は、私と、その女子達の未来を案じてたんです。

 もしかしたら私が生徒会長になる頃、第2の前生徒会長のような事件が起きるんじゃないかと」


「だから、こっそりストーカーと間違われるような監視方法で鈴木くんを利用した。」


北原は涙を溜めて結論づけた。



「北原ちゃんと逢坂くんのふたりなら、ちゃんと解決してくれると思ったよ」


普段見せない儚げな表情を浮かべ、南田会長は言った。



「・・この場で言うのも何なんですけど、なんで北原と俺なんですか」

「え?知らないの? 北原ちゃん、稀代の名女優探偵って言われてたんだよ?」

「「は!!??」」


傍らで黙って聞いていた蒲田と、話を進めていた俺の声が重なる。



「まあその話はあとにして。耀太会長と鈴木くんは先生たちに色々話をしないとですね。」


ギャル系女子からうって変わって、俺たちが知っている北原になった。


「常澤先生、あとはよろしくお願いします」

「おう」


いつの間にいたんだ常澤先生。


南田会長と鈴木は常澤先生に連れられて、一同は皆部室から出た。





昼休みが終わる頃教室に戻った俺たち。

「め、めぐちゃんなんだよね...?」

「うん、そうだよ」

「ほ、ほんとのほんとに北原なんだな?」

「だーかーらー、私は私、ちょっとキャラ作りしてただけって言ったわよね?」


ああ、小学時代のアイツだ。

心なしかホッと安心した俺は、少々疲れてたのかもな。




そしてようやく、ほんのわずかではあるが平和な日々が訪れるのであった。

次回新章スタートです。

てか南田会長はどうなるの?そう思った方、安心してください。

とりあえず上手く復活させます←


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