第1章【スタート地点】
・・・・・・ここはどこだ?
何も見えない。広がるのは真っ白な世界。
『ここは始まりのマス。スタート地点』
俺の疑問に誰かが答える。
『君はこれからスタートして死という名のゴールに向かってもらう』
スタート?ゴール?何のことだろう。
俺はさっきまで何をしていたんだっけ・・・・・・。
いつからここにいたんだろう。
それにさっきから話しかけてくる何か。周りを見わたしても誰もいない。
『君に僕は見えないよ。俺は強欲の神、ユタ』
さっきから心を読まれている。
神・・・・・・自らをそう名乗るユタは見えない。
これは夢なのか?
現実にこんなのありえない。
でも意識はしっかりしている。現実味がある。
『さて、そろそろ始めよう。もうみんなお待ちかねなんだ。僕は期待しているよ。君が勝つことにね・・・・・・』
真っ白かった世界が一気に黒に塗り潰された。
これから何が始まろうとしているんだ。
黒い世界の中で自分の姿はよく見える。
まっすぐ前を向き直り、一瞬まばたきするといつのまにか遠くに誰かが立っていた。
どんどん近づいてくる。
「やあ、プレイヤートーマ。これからルール説明を始めるよ」
さっきと違う声。
声の主は俺より少し年下ぐらいの男の子。
ルールって何のルールだ?
男の子が俺に向かって手を伸ばす。
何かが頭にスッと入ってきた。
・これから行われるゲームにおいて、自殺行為は許されない
・世界の流れによって死ぬこと【事故、病気、流れが招いた死、寿命を迎える、以外は許されない】
・寿命を縮めるような行動も禁止
・1度だけバックが使える【過去に戻る。ただし、戻れるのは1時間前までが限度】
・周りの人間にゲームの事を話してもよいが、巻き込まれることは覚悟しておくこと
頭の中に刻み付けられたルール。
なんだよ、これ・・・・・・。
ゲームに自殺?過去に戻れる?巻き込まれる?覚悟?
意味がわからない。
これから俺にどうしろって言うんだ。
「おっと、勝敗の付け方を説明してなかったね」
呑気な声が以上にイライラする。
「プレイヤーがある期間まで生き延び、女神ユノミカを手に入れること。達成できれば人類全てを助けてあげる」
女神・・・・・・。
見つけ出せば、人類を助ける?
次から次へと疑問が浮かぶ。尽きることなく。
『それじゃあ、始めよう。人類滅亡を賭けた人生ゲームの幕開けだ!!』
陽気な声が頭の中で反響する。
男の子の姿が遠くに離れて行く。
めまいと頭痛で足元から世界が崩れる感覚に襲われる。
そのまま意識が遠のいていった―――。