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それでも、生きたくて・・・  作者: 会原 夏武
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チャプター7

美波は起き上がった。

辺りを見渡す。

「お早う」

翔が言った。

美波は頷いて返した。

里花は座り込んで、乾パンを食べていた。

榊原はお手洗いに行ってた様だ。トイレから手をハンカチで吹きながら出てきた。

拓哉は里花に何か話しかけていた。

どうやら、美波が最後に目覚めた様だ。

すごく寒い。

体が震えた。

白い息を吐いた。

それが、空気に溶けた。

「寒い・・・」

美波が鼻を啜った。

「じゃあ、これでも羽織ってろ」

そう言って翔が深い青色のパーカーを美波に手渡した。

「これは?」

美波が訊ねた。

「ここに有ったものだ」

翔が平然として答えた。

「そんなもの、着れない」

美波が顔をしかめる。

「今はそんなこといってる場合じゃないんだ」

翔が美波に言った。

「分かった」

美波は渋々、制服の上からパーカーの袖を通した。

「皆、聞いて」

榊原が皆の注目を集めた。

「今からそこら辺に落ちてる食料で朝食を採って、それからと、リュックサックの中に必要最低限の物を入れて最低でも、一時間後には出発するわ」

榊原が指示した。

言われた通り、皆は缶詰などを拾って適当に食べ始めた。

美波は、乾パンと桃の缶詰だ。

ふと見ると、里花が泪を流していた。

「どうしたの?」

美波が里花に近寄った。

ペタンと床に座った里花が美波を見上げる。

美波は里花の隣に腰を下ろした。

「何で・・・こんな目に遭うのかなって?」

美波は頷いた。

「おばさん、病院に入院してて・・・死んじゃってるかも・・・」

里花は遂に号泣した。

「大丈夫、里花だけじゃない」

美波は里花の背中をさすった。

「皆、里花の味方だから」

里花はその言葉にはっとなった。

「もう・・・人が死ぬのは見たくない」

里花が呟いた。

泪で床を濡らしていた。


「なぁ、俺らって運が悪いのかな?」

拓哉が翔に聴いた。

「運命だろ」

翔が一言で返した。

「なら・・・神様が本当に居るのかって疑うよ」

拓哉が天を仰いだ。

「神様が居るからこんな目に遭ってるんだろ」

「何で?」

「俺らがこんな事に遭うのもきっと何か意味が有ってだ」

翔の言葉に拓哉は首を傾げた。


翔と榊原がリュックサックに必要な物を詰め込んだ。

その中にはラジオも有った。

拓哉が「皆でニュースを聞こう」と言ったので、皆それに賛成した。

「大平洋沖で発声した地震は震度7とされ、多くの範囲に影響を与えてます。」

アナウンサーが無愛想な声で告げた。

「人工島にはまだ、数百人の人が逃げ遅れてるとされていて、救出活動が行われています。」

そこでラジオを切った。

「だってよ、歩き回ってたら救助隊に会えるかもよ」

翔が言った。

「そうね、とりあえず、ここから一番近い拓哉の家へ行きましょう」

榊原が言う。

そして五人は体育館をあとにした。

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