チャプター5
美波は、はっとして振り向いた。
「どうした?」
翔が美波に聴いた。
「名前を・・・呼ばれたような気がして・・・」
美波が答えた。
「ほら、立ち止まらずに歩いて」
榊原が言った。
「体育館はまだまだよ」
美波は頷き歩き始めた。
学校から歩き始めて30分はたった。
だが、誰一人としてすれ違わない。
皆非難したのだろうか?
町は観るも無惨に破壊されていた。
道路は亀裂が入り。
崩れている建物も見られた。
乗り捨てられた車もある。
「もう、疲れたよ・・・」
里花が弱々しい声をあげた。
榊原が腕時計を見た。
「じゃあ、少し休憩しようか」
榊原がそう言った。
皆、ため息をつきながら道の脇に座った。
「母さん達、非難したのかな?」
拓哉が不安げに呟いく。
「俺も心配だ」
翔が言った。
「私も・・・」
里花も加わった。
美波はなかなか同情することが出来ない。
朝、あんなに言い争いをして家を飛び出して来たのだ。
「それじゃあ、ここで解散する?」
榊原が言う。
皆、少し考えた。
「でも、皆でいた方が生存率が高いんじゃ・・・」
拓哉が言った。
「じゃあ、先に体育館に行って、そこで、両親と会えた人から解散、見つからなかった人は自宅に向かう、良い?」
榊原が提案する。
皆、それに賛成した。
里花は、五年前に両親を交通事故で亡くし、それからは、人工島の親戚の家で暮らしている。
だが、親戚の人も、少し前から重い病気を患い、それからというもの、里花は親戚のお見舞いに行きながら、家で一人でいる。
里花は、その人の事を考えると、気が気では無いようだ。
そんな里花に拓哉は「大丈夫だよ」と声をかけた。




