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チャプター30
歩くペースは明らかに落ちていた。
理由は言うまでもなく里花の死だ。
『里花』と、言う人間の存在が美波達に取ってどれ程大きな存在だっただろう。
拓哉はさっきまで泣いていたが今は俯いて列の最後を黙った歩いていた。
まるで、魂を抜かれたようにフラフラと。
ただ、里花は美波が思っていたよりも強い人間だった。
いつかは、こうなると覚悟していた。
榊原がそうだった様に。
榊原の死は美波達に恐怖と不安を与えた。
しかし、里花の死は悲しみと悔しさを与えたのだった。
誰も口を開かなかった。
黙々と歩いていた。
気が付くとポートタワーの前まで来ていた。
三人は中に入った。
誰も居ない。
本当にヘリは出ているのだろうか。
「行こう」
翔が言った。
当然、エレベーターは動いてないので非常階段を使って50階に登ることにした。
日は暮れて既に暗くなっていた。




