27/31
チャプター27
五人は歩き続けていた。
既に体力と気力は限界に達していた。
しかし、休む事は許されない。
島が沈み始めたと分かったからには止まれなかった。
最低限の睡眠と食事しかできなかった。
真冬の空気が肌に突き刺さった。
強い風が吹く。
変わり果てた街に風の音が反響して虚しく響き渡った。
ラジオのニュースでは美波達の他に数百人が島に取り残されていると言っていた。
だが、今の街の静けさではそれさえも疑ってしまう。
まるで、五人以外の人間がこの世から消え失せてしまった様だった。
ポートタワーには確実に近づいていた。
五人は交差点に差し掛かった。
八車線の大きな道路だ。
そこで、左海が足を止めた。
「どうしたんですか?」
美波が聴いた。
「ポートタワーはここを左に曲がるんだろ?」
左海の当たり前すぎる質問に美波は首を傾げて
「はい」
と、答えた。
「じゃあ、ここでお別れだな」
左海が言う。
「えっ?」
突然の事に美波は思わず聞き返した。
「初めに言っただろ。行くところがあるって」
左海が言った。
しばらくの沈黙が辺りを支配した。
「分かりました」
翔が言った。
左海は頷き一人歩き始めた。
「また、どこかで会いましょう!」
翔が歩く左海の背中に言った。
左海は何も言わなかった。
そして四人は左海とは反対の方向に足を進めた。




