あの子は今も
掲載日:2026/04/20
春になると、思い出す会話がある。
──桜並木で有名な〇〇町で起こった事件から3年。
今年の桜の開花は3年前と同じ時期になりそうです。
次のニュースです──
朝の登校バスの中、バスの揺れが心地よく、眠くなりながら車内に流れるCMやニュースを聞いていた。
───私ももう、卒業か───
スマホを見ていると、バスは停留所に止まる。
「おはよ」
『...おはよー』
「桜散る前に卒業式、出来そうだね」
『...もうそんな時期か~、皆と離れるの寂しいな』
「高校に行ってもまた皆で遊ぼ」
『...うちらの友情、不滅じゃん(笑)』
「桜の開花時期はあの事件と同じ時期なんだって」
『...あ~、今年の開花は例年よりずっと早いのかー。卒業式まで桜残っててくれるといいね』
「あの子、見つかったんだって」
『...高校行ったらやりたいこと沢山あるんだ。1番は恋したい』
「やっと、帰れたんだね」
『...そろそろ学校に着くね!』
「バス降りた後、行方が分からなくなったんだよね。」
「よし、送信っと」
私は友達とのLINEを終わらせ、スマホから目を離す。
窓の外、桜並木の道に人だかりが見えた。
白い花が、静かに並べられている。
バスはその横を通り過ぎていく。




