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シルヴィアの紡ぐ彗星  作者: えぬタン
★Third Comet★
20/31

☆第17話☆ 【貿易街『アトゥラス』】



 なんだかんだあり約一週間、徒歩移動で貿易街『アトゥラス』へ辿り着いた。


 移動中は特にこれと言ったことはなく、魔獣や魔物と出くわす回数は少なかった。


 この国、『イドラナ』はその類が少ないって言われてるし、平和と言われれば平和だ。安全に移動できるに越したことはないだろう。


「――で、なんで俺たちは街に入れないんだ?」


 ただいま絶賛検問中。


 門番に捕まり、貿易街通行証を出せと言われているところだ。


 結論、そんなものは持っていない。


 私はずっとあの場所で暮らしていたんだ。持てるはずもない。


「通行証が必要なんだけど、持ってないなら通行料を払えって。私は通行証も金銭もない......」


 私が渋々アトラに伝えると、懐から一つのペンダントを取り出し、門番の前へ出た。


「これじゃダメか?」


 門番はアトラが持っているペンダントを見て、顔色が一変した。


「ーーぺ、ペンダっ......! 連れの人達はパーティー仲間か?」


「そうだ」


 とアトラ。


「そうだったのか。頑なに通行を拒んでしまって悪かった。確認は取れたからもう通って大丈夫だ」


「どうも〜」


 何もできない私とナータはアトラの後ろをテチテチとついて行った。



「――――あ、ちょっと待った」 



 すると門番からもう一度声をかけられ、引き止められた。


「ん、なんだ?」


 門番の声にアトラが反応した。


「一応聞いておきたいんだが、この街に来た目的だけ聞いてもいいか?」


「南部行きの馬車に乗るためだ」


「そうか、わかった。もういいぞ」


「何かあるのか? 俺たちは別に事を起こそうと来たわけじゃないぞ」


 目的を聞いてきたことに違和感を覚えたのだろう。


 アトラは門番の質問に食い気味だ。


「いや、特に意味はない。通っていいぞ」


「......そうか」


 アトラが納得できなそうな顔で街へ進んだ。


 しかし、門番が無意味な質問するとは到底思えない。


 確かにアトラの納得できない顔は正しいのかもしれない。


「なんだったんだろう。街に入るのに理由でも必要だったのかな?」


 ナータも不思議な顔で言った。


 二人とも何かしら違和感を覚えている。


 この街に何か起きているのだろうか。あとで少しだけ探ってみよう。


「今までの街じゃ聞かれたことなかったが、まぁ気にしても仕方ないし、さっさと宿で休もうぜ。昼寝がしたい」


「僕は魔法図書館に寄ってから合流するよ」


「はいよ、じゃまたあとで」



 そうしてナータとは別々行動をするようになった。



「お前はどうする? 一緒に宿で休むか?」


 寝転びたい気持ちはあるが、さっきの門番の言動が気になる。


 おそらくこの貿易街には何か異変が起きている可能性があるし、そっちを調べてみようかな。


 面倒なことに巻き込まれる前に状況把握は鉄板だ。


「ちょっと小遣い稼ぎがしたいから、この街の教会に行ってみるよ」


 ついでにお金も稼いでおこう。


 働くもの食うべからずだ。


「そうか。じゃあ俺にマッピングしておいてくれ。そしたらどこの宿に居るかわかるだろうし」


「わかった、そうしとく。それじゃあ私は行ってくるよ」


 私はそう言って、彼の言う通り彼自身にマッピングを施してアトラと別れた。


 さて、この街の教会はどうなってるんだろうか。

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