☆第17話☆ 【貿易街『アトゥラス』】
なんだかんだあり約一週間、徒歩移動で貿易街『アトゥラス』へ辿り着いた。
移動中は特にこれと言ったことはなく、魔獣や魔物と出くわす回数は少なかった。
この国、『イドラナ』はその類が少ないって言われてるし、平和と言われれば平和だ。安全に移動できるに越したことはないだろう。
「――で、なんで俺たちは街に入れないんだ?」
ただいま絶賛検問中。
門番に捕まり、貿易街通行証を出せと言われているところだ。
結論、そんなものは持っていない。
私はずっとあの場所で暮らしていたんだ。持てるはずもない。
「通行証が必要なんだけど、持ってないなら通行料を払えって。私は通行証も金銭もない......」
私が渋々アトラに伝えると、懐から一つのペンダントを取り出し、門番の前へ出た。
「これじゃダメか?」
門番はアトラが持っているペンダントを見て、顔色が一変した。
「ーーぺ、ペンダっ......! 連れの人達はパーティー仲間か?」
「そうだ」
とアトラ。
「そうだったのか。頑なに通行を拒んでしまって悪かった。確認は取れたからもう通って大丈夫だ」
「どうも〜」
何もできない私とナータはアトラの後ろをテチテチとついて行った。
「――――あ、ちょっと待った」
すると門番からもう一度声をかけられ、引き止められた。
「ん、なんだ?」
門番の声にアトラが反応した。
「一応聞いておきたいんだが、この街に来た目的だけ聞いてもいいか?」
「南部行きの馬車に乗るためだ」
「そうか、わかった。もういいぞ」
「何かあるのか? 俺たちは別に事を起こそうと来たわけじゃないぞ」
目的を聞いてきたことに違和感を覚えたのだろう。
アトラは門番の質問に食い気味だ。
「いや、特に意味はない。通っていいぞ」
「......そうか」
アトラが納得できなそうな顔で街へ進んだ。
しかし、門番が無意味な質問するとは到底思えない。
確かにアトラの納得できない顔は正しいのかもしれない。
「なんだったんだろう。街に入るのに理由でも必要だったのかな?」
ナータも不思議な顔で言った。
二人とも何かしら違和感を覚えている。
この街に何か起きているのだろうか。あとで少しだけ探ってみよう。
「今までの街じゃ聞かれたことなかったが、まぁ気にしても仕方ないし、さっさと宿で休もうぜ。昼寝がしたい」
「僕は魔法図書館に寄ってから合流するよ」
「はいよ、じゃまたあとで」
そうしてナータとは別々行動をするようになった。
「お前はどうする? 一緒に宿で休むか?」
寝転びたい気持ちはあるが、さっきの門番の言動が気になる。
おそらくこの貿易街には何か異変が起きている可能性があるし、そっちを調べてみようかな。
面倒なことに巻き込まれる前に状況把握は鉄板だ。
「ちょっと小遣い稼ぎがしたいから、この街の教会に行ってみるよ」
ついでにお金も稼いでおこう。
働くもの食うべからずだ。
「そうか。じゃあ俺にマッピングしておいてくれ。そしたらどこの宿に居るかわかるだろうし」
「わかった、そうしとく。それじゃあ私は行ってくるよ」
私はそう言って、彼の言う通り彼自身にマッピングを施してアトラと別れた。
さて、この街の教会はどうなってるんだろうか。




