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シルヴィアの紡ぐ彗星  作者: えぬタン
★Third Comet★
18/31

☆第16話☆ 【旅人の朝】



「起きろシルヴィア。おーい、朝だぞ〜。飯無くなっちまうぞー」



 朝......?



「んん......あと四時間だけ......」


「ーーなげぇよ! 飯冷めるっつうの!」



 別にいらない......寝たい......。



「ん......えりざべす......?」


「飯だって」


「あぁ......私の分はいいよ......」


「ダメだ、早く起きろ」


「いいじゃん別に......時間はあるんだし......」


「ねぇよ。早くしないと、脱がして襲うぞ?」


「......いいよ」



「ーーーーよよよ、良くねぇよっ! 早く起きろってっ!」



「あぁー......毛布返してぇ......」


「冬場の野営で毛布を奪われては、もう寝れまい」



 寒い。


 眠い。


 寝たい。


 瞼が重い。



「ん......いい匂いする」


「シチューだよ。さっき作ったばっかだ。食いたいなら顔洗って目を覚ましてからな」


「うん......」



 お腹空いた......。


 さむ......。




   ★




 野営の朝からこれを食べられるとは意外だった。


 もっと質素なものを予想していたけど、体が温まって心地良い。


「美味しいね、このシチュー。作ったのはアトラ?」


「そうだけど、具材は上等なものじゃないし、普通だろ」


「それでも美味しい」


「そうか......ありがと」


 アトラの顔が赤くなっている。


「顔赤いけど、熱でもある?」


「ーーち、違う、照れてるだけだ!」


「え?」


 照れるようなことあったかな?


「そんな真っ直ぐに美味いって言われたの......初めてだったからな」


 なるほど、今まであまり言われてこなかったのも頷ける。



「ーーーーねぇアトラ、肉が少ない。もっと入れてくれ」



 ナータの我儘が強い理由で、美味しいという言葉が普段無かったのだろう。


「じゃあ、お前が肉を集めてこい。それで解決するぞ」


「面倒臭いから嫌だ」


「なら我慢しろ」


「え〜、わかった」


 我儘がなくても、美味しいという言葉は出なさそう。


「少なくとも美味しいって言える存在はここに居るし、今後も増えるだろうから慣れていくと思うよ。あ、でも不味いものを出されたら流石に言わないからね」


 嬉しいのか、アトラが微笑みながら言った。


「わかった。じゃあ、なるべく美味いものを心がける」


「うん、期待しとく」

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