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ルークのカレンダー

OLの由奈は古本屋でおよそ50年昔のカレンダーを見つけた。彼女がそのカレンダーを手に取った瞬間から、50年の長い時間を越えた推し活ストーリーが動き出した。推し活応援ショートショート作品。

 古本屋の店内でOLの由奈(ゆな)はある物を見つけた。


「え!1975年のカレンダー?なにこれ」


 価格は2000円で未開封の新品である。ビニール包装で丸めてあり

 シールにマジックで


「1975年、俳優カレンダー。2000円」

 とだけ書いてある。


 誰にも相手にされず50年近く売れ残った品に哀愁を感じる由奈。

 バカバカしいと感じながら、なぜか惹かれて購入してしまった。


 自宅に帰り早速50年の時を越えて開封。


「おっ、イケメン!」


 カレンダーの表紙の写真を見た由奈の第一声だ。

 名前はヨハン・C・ルーク。

 ジェームズ・ディーン風のルックスでアメリカの俳優らしい。


 カレンダーを捲っていくと椅子に座り煙草を吹かすカットや

 アメ車との2ショット。バキバキボディの水着ショットなど

 12枚。イケメンは時代が変わっても映えるものだ。


 この俳優をネット検索するとミステリーから恋愛、コメディー作品まで幅広く出演。今も存命でおじいちゃん俳優として舞台などで活躍中らしい。


 当時の人気はまずまずあったようだが、しかし映画監督と大喧嘩をしたり、私生活ではスキャンダルやギャンブル好きなどが原因で人気が急降下して今に至るらしい。


 次は映画のサブスクでルークの出演映画を探して観てみる。


 20代前半の若々しい彼が映る。劇中で笑ったり、喧嘩したり、泣いたり。

 なぜだろう?この俳優はちょい悪で不器用で手がかかりそうなんだけれど放っておけない由奈のどこかに引っかかる魅力があった。



 なんとレコードまで出していたらしい。

 次の休日にレコードショップで2時間程かけて隅々まで隈なく探して1枚のルークのレコードを見つけ出した。まるで宝物を探し当てたような満面の笑顔になる由奈。



 自宅ではカレンダーを部屋の壁の一番中央に飾りなおした。

 部屋にいるときは必ず目に入る位置である。


 スマホの待ち受けはルークにした。


 入浴中の湯船でもいつの間にかルークの曲を口ずさむ。

 英語の歌詞も丸暗記してしまった。



 ある日、地元の母親から電話が鳴る。


「由奈、お見合いの話進めてもいいよね?竹中さんとてもいい人だから」


「お母さんごめんなさい。お見合いはできそうにないんだ。もう好きな人がいるから、その人しか見れないんだよね」


「好きな人?どんな人なの?仕事は何をしているの?」


「ルークっていうんだ。50年昔の俳優だけどね」


「はあ?」


 時を越えて出逢った2人。こんな形で女性のハートを掴むとは恐ろしい程の魅力を持つ俳優だ。

 一冊の古いカレンダーから始まったこんな推し活話。

なろうラジオ大賞6応募作品。少し気に入っている作品です。是非とも応援をお願いします!

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