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予想外

「どうもごきげんよう」


 歩いていると黒い煙に包まれた。

 その黒い煙の中から声がしてくる。


「だ、だれだ?」


 僕は声を出す。

 足は恐怖なのか何か分からないが震えてしまっていて情けないのだが。

 姿も見えない相手に声をかけられたら驚きもするだろう。

 

「ん~誰と言われても困るのよねえ。私っていったい何者なのかしらね。でも、強いて言うなら悪者?なのかもしれないわ」


 煙は晴れることなく女の声がするだけの状況が続く。

 そして、女は自分が何者なのか不明だと言った。


「あなた自分が分からないの?」


 風花は女の言葉に引っかかったようで質問をする。

 

「だって私全然なーんにも知らないんだもん。名前も知らないし、家族とかも分からないし、自分がこれまでどうやって生きてきたのかもなーんにも知らないの。でも別にいいんだよねえ。私にはボスがいるからあ」


 先程までの大人びたような喋りとは異なる幼い喋り方に声のトーン。

 僕はそれにどこか聞き覚えのあるように感じていた。


「今回だってボスが言わなかったら動かなかったもん。私別に戦い好きじゃないし。でも、なんかこの道を通ってくる五人組の中に君の知りたい答えがあるって言われた。私が答えを探しているものがなにかも覚えてないのになあ」

「ボスってなんだ?」

「んとね、私に全部を与えてくれた人だよ。あの方がいるから生きていけるの。あの方がいなくなったら私はダメになっちゃう。そうだ、ボスがもう一つ言ってたなあ」

「なにをだよ⁈」


 和樹と零が立て続けに質問する。

 女の姿は見えないが、声が一瞬低くなったように感じた。


「五人組の中に私とボスを引き離そうとしてくる人がいる、って。もし本当にそんな人がいるなら私は容赦しないと思う」

「そんなことを言うのなら早く姿を現せ。姿も分からない人間と戦う気も、そのボスというものと引き離そうという気も、君の姿が見えないことには何も始まらないだろう」

「え~女の子の姿が早く見たいなんてえっちだなあ。まあいいよ」


 そう言うと女は黒煙を晴らした。

 僕はその姿を、顔を見て夢なのではないかと疑った。


「さ、く……?でも、誘拐されたはずで......でも、まちがいない......(さく)だ」


 気がついたらそう口にしていた。

 僕の妹だと本能的に感じたのだ。


「え?だあれその人?さくなんて名前知らないけどなあ。あっ、もしかして私のことだったり?ごめんね、私分からないから」


 手を合わせて形だけでも謝罪をしているみたいだ。

 

「謝らなくていい。けど、君が本当に咲なのだとしたらそのボスというやつに誘拐されて記憶を消された可能性が高い。だったら、僕はそんなボスの元に君を返すわけにはいかない」

「あ、なんだ......あなただったんだねえ。私とボスを引き離そうとする人。すぐ見つかってよかったあ。じゃあ、ばいばい」


 咲に似ている女がそういった瞬間、僕の目の前に黒い煙が凝縮された刃のようなものが近づいてきていた。

 どう避けようかと考える隙もないほどにそれは速い。


「ふう......間一髪ってとこか?」

「和樹⁈」


 僕はもうダメだと思った。

 しかし、刃を和樹がはじいたのだ。


「今ので終わりだと思ったのになあ......まあいっかもう一回......」

「そこまでにしておけ、黒姫。ボスがお前の帰りを待ってるぞ」

「あれ鬼にい?ボスが私を呼んでるの?だったら行かなきゃだね。じゃあね、知らない人たち」


 突然現れた男。

 その男に驚かず平然と話す黒姫と呼ばれた女。

 そこに現れるのが分かっていたような自然な動作であり、女は男に連れられて帰っていった。

 その場から一瞬で消えていた。


「咲......また会えたと思ったのに」

「咲って誰なのかしら?」

「僕の、僕のただ一人の妹だよ小さいころに誘拐されたんだ。それっきり会っていないから生きているのかもわからなかった。けど、やっと会えたと思ったのに」

「肝心の記憶がない、か。そりゃちときついな」

「うん、でも僕の目標が一つ決まったよ。あの子にまた会うために強くなる」


 あの子の強さは今の僕では届かない。

 だったら、もっと頑張る。

 あの子とまた話ができるように。


「うっし、んじゃこれからも頑張ろうな!」

「わたしも一緒に頑張る」


 零と唯も賛同してくれた。

 絶対にまた会って自分の気持ちも伝えようと僕は決意するのだった。

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