物語は桜のように散る
さぁ教授!反撃開始だ。
机のある自室へ戻った私はエドガーに向かって話しかける。
「そもそも今回の封筒が消えた事件はいくつもの偶然が重なっただけの出来事だったのだ」
「なんすか偶然って?」
「先程も少し話したが、ヒントは桜の木の下に降り積もった花弁と桜餅の葉だ」
「さっぱり分かんねえっす。もったい付けずにさっさと教えて下さいっす」
チッ、エドガーめ……私の華麗な謎解きに水を差しおって……。
「よく聞きたまえエドガー、まずは先程の封筒を入れた引出しを開けてみたまえ」
「引出しなんか開けて何するんすか?」
「いいから早く開けたまえ!!」
「しょうがないっすね。開ければいいんすか?」
いちいち一言多い奴め。
「私の推理が正しければ、封筒は消えているはずだ」
「さっき入れたばかりっすよ。そうそう簡単には消えないっす……ッて!ホンマや!!」
「……何故そこで関西弁になる?」
「えっ、いや〜 ついノリで出てきたっすwww」
「君は私を馬鹿にしているのかね!!」
「そんなことないっすよ。さぁ続きを言っちゃってください教授!」
私の我慢もそろそろ限界だぞエドガー!!
「ゴホンッ、では続ける。 どこまで話したかな?」
「まだ何も聞いてないっす。引出し開けたら封筒が消えてたんすよ」
誰のせいだ!!誰の!!!
「では先に封筒の在処を言おう。 封筒は二番目の引出しにあるはずだ」
「そんなわけないっす……ッて、ホンマや!」
「……」
「教授ッ! 黙らないで欲しいっす。ちょっと怖いっすよ」
もう無視だ!!無視!! 話が長くなる。
「何故2番目の引出しに封筒があるのか? それは、押し込むように入れた封筒が天板の裏に貼り付き引出しを開けた時に落ちたからだ」
「そんな事あるんすか?」
「確かに普通なら有り得ない。だが、花弁が降り積もるように重なった資料と私が裏返しにした封筒のはみ出した糊がそれを可能にしたのだ!! そう、桜餅に貼り付いた葉のようにな」
「えーーーーーっ、そんな都合のいい話があるんすか?」
「……」
「だから急に黙らないで欲しいっす!ちゃんと聞くっすから」
「いいだろう。 だから当然、給料袋もここにある」
私が2番目の引出しを探すと無くなった給料袋が出てくる。
「あっ!オイラの給料っす!!」
まだ渡していないからエドガーのものではないがな。
「待たせたがようやく給料を渡せるな」
「てか、結局のところ給料袋が無くなったのは教授のせいってことっすね」
「はぁ!? 何故そうなる」
「だって、袋が貼り付いたのって教授がケチって封筒を裏返しにしたのと、引出しを片づけられないせいっすよね?」
「……君は給料が要らないようだな!! ではこのお金で新しい助手を捜すととしようか……」
「え~~~! 勘弁してくださいっすよ〜~~」
了。
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